あくびは終身刑、くしゃみは死刑。
20XX年に、こんな事を決めたらしい!
『あくびは、“終身刑” くしゃみは【死刑】とする!』
生理現象で起きる事が何故? 処罰になるのか!?
それに、他にもあるよ。
『しゃっくり げっぷ おなら いびきなどなど。』
完全におかしい!
なんで、訳の分からない罪になるんだよ!
*
まあ、人間が決めた事ならこんな法律になる訳がないのだが...。
20XX年、今では?
AI(人工知能)が国を動かしているからだ。
既に、人間中心の社会ではなくなっている。
我々人間は?
犬や猫と同じ価値ぐらいになってしまった。
街に溢れるAI(人工知能)たちが、この世界を動かしているのだ。
息もしないし、げっぷもしない
おならもあくびもしゃっくりもAI(人工知能)だからしない!
もっと言えば? 音もしない奴もいる。
無期限エネルギーとかで、ガソリンも要らない。
壊れたら? 自分で修理して直してしまう。
それに比べて、人間は病気やケガもするし簡単に死んでしまう。
AI(人工知能)からしたら?
人間なんて! 大したモノじゃないと判断されたのだろう。
*
人間の生きる場所は、限られていた。
街中に、張り巡らされた監視カメラが何時でも人間をとらえ
ているのだ。
僕らは、小さな街の外れで暮らしている。
僕の名前は、『センサー』21歳、小さな中華料理のお店で
見習いで働いている。
僕のお店の主人は、僕を本当の息子のように可愛がってくれる。
社長の息子さんは、AI(人工知能)に殺されてしまったと聞いた。
僕も、お父さんお母さんをAI(人工知能)に殺されている。
まだ、僕が10歳の時だ!
その時に、社長が僕を拾ってくれたんだよ。
社長はね! 仕事には、厳しい人けど?
普段は、とっても優しいお父さんのような人なんだ!
『オイ! センサー、何をとろとろしてるんだ! お客さんが
料理を待ってるぞ! 早く、仕上げろ!』
『はい! おかしら!』
『センサー! 早く、料理を運べ! お客さんがまた待ってんぞ!』
『はい! おかしら!』
*
『今日も、忙しかったな~! 晩飯でも食いに行くか!』
『うん! 父さん!』
・・・ある時、お店で。
お客さんが、うっかりあくびをしてしまった。
『ヤバイ! お客さん、今! あくびとかしてないよね?』
『・・・あぁ、』
【ピーピーピーピーピーピーピー】
『お客さん!』
『ダレダ? イマ、アクビシタヤツハ?』
『・・・・・・』
『カクシテ、イルト、オマエタチモ、ツカマエルゾ!』
『・・・・・・』
『カンシカメラ、ミロ!』
『・・・・・・』
『イタ、コイツダ! ツカマエテ、ツレテイク!』
『・・・・・・』
*
【スッースッースッー】
『・・・お父さんが連れて行かれちゃった! どうしよう?』
先、連れて行かれたのは親子連れのお父さんだった!
『坊主? 幾つだ!』
『・・・9歳、』
『行くところがないならココにいろ! 今日から俺がお前の親父だ!』
『・・・・・・』
*
・・・こんな事は、よくある事だった。
うっかり、あくびやくしゃみをしてしまう。
どうやっても、逃げられないほどにあちこちに監視カメラが
ついていて、僕たち人間の力だけじゃどうする事も出来ない。
彼のお父さんは、あくびをしたから【終身刑】になってしまう。
面会に行けば、会えるだろうけど?
刑務所は、AI(人工知能)の思い通りの場所。
罪を償うどころか、地獄の日々が待っているだけだ!
寝ること許されない!
たった、1秒まで管理される場所。
人間の餓死ギリギリの食べ物しか与えてもらえない。
このAI(人工知能)の刑務所に入ると?
1か月生きていられるか? 豊満な体の人もあっという間に
ガリガリになってしまうんだ!
刑務所=死の刑務所なんだ!
1度、捕まったら? 二度と、外の世界には出てこれない!
死んだも同然の刑務所さ!
*
今、生きている【人間たちは?】
AI(人工知能)のペットになっているか?
ゴミをあさって生きている浮浪者や僕たちみたいに小さな街
の外れでこっそりと生きているか指名手配犯もいるよ。
捕まえられるのは? 時間の問題だ!
僕も社長も、新入りの僕の弟も。
どんな事があっても、AI(人工知能)の刑務所になんか
入ったりしないんだ!
もう、家族を誰一人失いたくないからね!
最後までお読みいただきありがとうございます。