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詩集

冬の詩:笑顔/霰/半月/白昼夢/我が子…/ツリー/寒い夜/真夜中の秘密

作者: 夢のもつれ


   笑顔


いつも笑ってるんだねって

みんなから言われる

それって、ほめられてるのか

けなされてるのかわかんないけど

悪いことじゃないよね


笑うことはあたしには

とても自然なこと

ただ一回だけ違ったけど


あなたがあたしの中で

いちばん好きだって言ってくれたから

がんばったよ

最後だもんね



   ************


   (あられ)


あたしは指の先がいつも冷たい

だから、こんなところで言わないで

なべ焼きうどんを食べてるときも

ホットココアを飲んでるときも

お天気の話をしてたくせに


だからほら

鉛色の雲が広がって

今にも降ってきそう

そんな公園でなんて


雪は静寂をもたらすもの

でも、霰は音を聴くもの

だからほら

聞こえなかったじゃない

好きだって言ったの?



   *************


   半月


寒いのも、暗いのも好きじゃないけど

あなたといっしょなら楽しい

肩を抱いてくれれば

もっとうれしい


なんか不思議だよね

ずっと前から知ってたような

でも、まだまだ知りたいことがいっぱい

もう半分?

まだ半分?


じゃあ、またね

握手して

軽くキスして

お月様をパキンと二つに割って

おうちまで持って帰ろうね



   ***********


   白昼夢


どうしたの?

鳩が豆鉄砲食ったみたいな顔して

え? 何言ってんの?

髪の毛切っただけじゃない


しゃべるといつもどおり?

悪かったわね

トレーナーとジーンズの方が似合う?

ぷん。どうせドレスってがらじゃないもん


ひらひらひら……?

まだぼおってしてるね

どこにもいかないでって?

わかったからそんなに抱きしめないで

翼が折れちゃうじゃない



   *************


   我が子…


親はなくても子は育つ

そう。あたしがもし死んじゃっても

元気に育ってくれたらいいな


子は親の背中を見て育つ

そう。あなたたちは

あたしの見えないあたしを見ている

まるで神様のように


親の心、子知らず

そう。そんなの気にすることはない

自分たちで自分たちの道を行きなさい

そして、親になったら笑ってちょうだい

その日になったら



   ***************


   ツリー


今はこの小さなツリーがいいの

二人っきりで見つめながら

夢を語り合うには


この間、行ったデートスポットのツリーは

夜空に向かってずっと伸びて

幾千ものイルミネーションで

幾千もの願いを聴いていたね


もし想いがかなって

あたしたちの子どもができたら

もうちょっと大きいのを買おうよ

その子がサンタを信じている間

見上げるくらいの



   **********


    寒い夜


オレンジ・マーマレードを

紅茶に溶かして飲んでみた

好きなドラマの最終回を見ながら


ブルーの水性ボールペンで

今年もよろしくねって年賀状に書いた

スマホが鳴らないかなって思いながら


結露した暗い窓を指でなぞる

子どもじゃないからハートなんて書かないけど

お布団に入っても眠れないから

独り言をつぶやいてしまう

あたためて


   *************


   真夜中の秘密


下弦の月がぬりゅって昇って

ハートのクイーンが裏返り

なめらかな背中に薔薇が咲く

ふるえる舌に花びらを撫でられて


倒錯した砂時計が

夜明けまで1時間と9分だと告げる

あなたは1回と3/4は楽しめると笑って

あたしの小さなボタンを弾く

真紅の花火が

アーチの肢体を浮かび上がらせる


潮が深海から満ちてきて

スペードのエースが貫き

きつい貝殻に挟まれあえぐ

インモラルな使命感にそそられて


痙攣した脳みそが一瞬の

幻影に(あたしの?)

引きずり回される(あなたが?)

蝸牛のような跡を引いて(混じり合って)

流星のような声を挙げて


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