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他人の夢の断片短編小説  作者: モシャス男子
6/9

時川 北海の場合

実家で銃撃戦する夢で窓から、飛び降りたところで、目が覚めた。妹ちゃんが出来る子で、銃は打つは、バイクは乗りこなすわで、ピィ!!!!

より

一家団欒の定義が変わった。


今日も銃声で目が覚める。

大方お父さんが妹を部屋まで起こしに行ったのだろう。

妹はパジャマなんて可愛いものは着ないでシャツと下着だけで寝る性格をしているので寝起きをお父さんに見られるのが嫌だと言っていた。

人並みな思春期を送っているので姉としては懐かしい目をしながら相談を受けた。


目ヤニで開かない左目をウェットティッシュで揉みほぐしながら部屋を出て洗面所へ向かう。

一階まで降りる途中の階段でも流れ弾が飛んできていたが妹とお父さんの弾道はある程度慣れているのでスイスイと避けつつ洗面所に難なく着くことができた。


出したての冷水で顔をパシャリと濡らし、段々と温かくなっていく水道水でうがいを済ます。

今日はいつもより少しタイミングが早かったようで前歯が少ししみた。

歯医者に行こう。


銃声が鳴り止んだ頃リビングのテーブルに座る

食パンに納豆、マヨネーズを挟んで食べるのがわたしの朝ごはん、これが案外美味しいのだ。


パァン、という渇いた音と共に目の前にあった牛乳が入ったコップが割れる。

ママは命中率が悪い。

「もっと早く起きなさい!ご飯も自分で作るようにしなさい」

ハイハイと生返事でトーストを食べ進める。

もう一発はお父さんがまだ手をつけていないトーストに当たった。


妹とお父さんが朝ごはんを食べにリビングに集まってきた。

おはようと挨拶を交わしテレビに目をやった。

視線の道中に居るお父さんは少し悲しい目をしてた。


なぜ家庭内で銃撃が起きてるのかというと

今年の初めに国が新しく法律を作ったのだ。

家庭内暴力禁止法。

これはわかりやすく家庭内での暴力を禁止したもの。

かなり厳しいものでデコピンのような指で弾くことでも懲役刑になるほどのものだった。

そしてその法律と同時に

家庭内戦争許可法というものができて

各国民に激痛は伴うが致死性のないピストルが配布された。

マイナンバーを刻印されたその銃は本人にしか使用できないというなんだかハイテクな技術が搭載されていた。

そういうなんだかよくわからない法律で家庭内が戦争の場になった。

家族に何か文句があればとりあえず撃ってストレスを発散する。

死ぬことがないのでみんな気軽に撃つが気軽に撃たれる。

この法律ができてから割と景気が良くなったので意外と言えないストレスがみんな溜まっていたのだろうな。


そんなこんなで例に漏れず私の家も今日も戦争が起きている。


納豆トーストを食べ終わり、自室でノロノロと着替えを済ませていると

「お姉ちゃん遅刻するよー」

窓の外から重い音を響かせるバイクの音と共に妹の声が入ってきた。


勉強机の上のヘルメットを手に取り窓からさながらアクション映画のように飛び出した。


いつものルーティンなので綺麗に妹の後ろに着地し、学校へ向かう。


こんな毎日でも家族は円満だ。

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