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俺様の名はガビル

「グビビビビビ〜〜」

俺様の名はガビル・アルフォート、幼い頃にゴブリンの血を誤って飲んでしまい、血が混ざったせいかゴブリンの特徴である長い耳と緑色の肌が身体の現れてしまった。


この緑色の肌のせいで、幼少期は周囲から「ゴブリン小僧!」と呼ばれて随分と妨げされたが、お陰で忍耐力がつき、悪知恵が働くようになった。グビビビビ


現在俺は、冒険者のプレートを持っているが、これは冒険者から隙を見て盗んだものだ。つまり俺は盗賊、冒険者共は力こそ強いが、頭は弱々、脳筋という言葉がよく似合う職業だぜ、グビビビビビ〜。



数時間前、俺は盗賊として間抜けな冒険者を探していたが、急に冒険者ギルドの扉が開いた。


現れたのは、なんとビックリ、子供連れの家族だった。最初は依頼人だと思っていたが、「俺は冒険者になる!」という意気往々とした言葉を聞き、思わず笑い声が吹き出そうになり、危うく、俺様も注目されちまうところだった。


その後、家族で揉め事があったらしく子供が一人で冒険者ギルドから出ていくので、子供から何か奪えるものがあるのではないか?と思い、子供を尾行した。


子供を尾行していると着いた場所は、孤児院。

噂には聞いていたが、路地裏にあるとは知らなかった。孤児院のシスターは巨乳で美しい。


まさに天使だ。奴隷にすればものすごい大金が手に入るだろう。近くの国である闇の国で売れば痕跡は残らない。それに竜の肉はご馳走だ。と思い誘拐するついで盗んだ。


「あなた、人攫いはいけないことだとわかっていますよね?」

「グビビビビビ〜、そんなこと当たり前だろ。俺様は既にありとあらゆる犯罪に手を染めてきたんだ。お嬢さんには悪いけど、生活の足しにもなってくれや」

「そうですか……残念です」


なんだ?女の身体から翼が生えている

幻覚でも見ているのか?

天使なんて本当に存在しているわけねえし

おかしいな〜グビビビビビ


それになんだが、顎の下がものすごい痛い。視界もぼやける。なんだこれは……


「あなたは私に、殴られて吹っ飛んだんですよ」

そうか……殴られたのか……か弱そうな女だったが、

本質は違ったのか……俺様はなんて愚かなことを……グビビビ……


俺の意識はプツンッときれた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「全く愚かなことです。この大天使長である私を攫い、挙げ句の果てに奴隷にしようなどと馬鹿げたことを」

大天使エリナとは私のことだ。主神の命により地上に降り立って1000年。私は勇者様を探し回っていた。


そして、今日この日、勇者様を見つけた。


「勇者様の元へ戻らないと♡」

背中から普通の人には見えない天使の翼を広げて、孤児院にいる勇者様の元へと飛んでいく。


だが、そんな私の麗しき足首を掴むものがいた。それは荒く激しい息を吐く緑色の獣。


ガビルという私を誘拐しようとしたら愚かのものの肉体だが、当人の意識はないようで、人間離れした力で私を振り回して、近くの木に叩きつけた。


「ガハッ」

なんて馬鹿力、まるでかつて戦ったゴブリンファイターのようだ。昔は一撃で葬れたが、全盛期の力をほとんど失った私では、勝敗は五分五分だ。


「グビビ……グビビィィィ!!!」

奴は私を目掛けて走ってくる。こんな所で死ぬのか?私は……


【パーフェクトバリア】

「!??」

勇者様の声が聞こえると、私とガビルとの間に分厚いガラスのような透明ないたが現れ、理性を失ったガビルは激突して、痛そうに頭を押さえて転げ回る。


「大丈夫ですか?エリナさん」

「はい……」

(ああ、さすが勇者様……男らしい。頰が熱くなりますわ)


「グビィィィ!!!」

理性を失っているガビルは、本能の赴くままに透明な板に再度突撃するが、壊すことはできない。


壊すことができないとわかると奴は、活動を停止して、その場で止まる。


「なんなんですか?この男は?」

「この男はおそらく、かつて世界を脅かしたとされる吸血鬼の末裔、それも変異種だと思われます」

「吸血鬼……変異種……ですか」

勇者様は戸惑っていらっしゃる。無理もない、吸血鬼といえば他種族の血を吸うことにより、己の肉体を強化できる特別な種。


そして吸血鬼の中から、ときどき魔王種と呼ばれる異質な者が現れることがある。その者は肉体の強化のみならず、種族の固有スキルなどを吸収してしまうので、厄介な存在だ。


目の前にいるガビルという男は、吸血鬼なのに昼間でも行動できる変異種。魔王種も持っているため、現時点で最強の吸血鬼と呼べる。 


勇者様は果たして、奴を倒すことはできるのだろうか?

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