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俺は冒険者にならないーー!!!

「へ〜ここが王都か〜」

地面は手のひらサイズの石が沢山埋め込まれて道ができており、建物は木造建築のものや石でできた建物も多く建てられている。


今向かっている場所は商業者ギルド。


馬車のおじさんに貰った地図を貰い商業者ギルドを目指して歩いていると着いた場所は、


なんと盾の上に斧と剣が交差している看板が掲げられている『冒険者ギルド』だった。


「そんな馬鹿な……(嵌められた。自分のこと道は自分で選ぶことに同意しながら、これじゃ冒険者の道へ、行けと言っているようなもにじゃないか)」

俺は身を翻し来た道を戻ろうとした。


だが、父が俺の右腕を、母が俺の左腕をガッチリと掴み、冒険者ギルドのなかに強制的に連れて行かれた。

(なんでー?)


強制的に連れて行かれた冒険者ギルドの中には、まさに荒くれ者と言って相応しいモヒカン頭の男女、肩にドクロマークを掘っている者、無精髭で背中に大剣を背負っている者がいた。


勿論、ちゃんと身なりを整えた若者や聖職者がいるが、彼たちの胸には金色のプレートが光っていた。


「おーここが冒険者ギルドか」

言葉を発したのは父、その発言で「おい、家族連れだぜ」「ちっリア充が」と嫉妬と憎悪の目が俺たち家族に浴びせられた。


その中で、ハゲ頭で右眼に眼帯をした、いかにも悪党の親玉みたいな70代くらいの老人の男が手に酒瓶を持ち、チマチマと飲みながら目の前にのっそりと出てきた。


「おい、お前さんたちよ。ここは冒険者ギルド……ひっく、お前たちのような浮かれたものの来る場所ではないぞ〜ひっく、まさか冒険者になろうなんていうまいな〜ひっく」


泥酔をしているのか?目の周りが赤く腫れ上がっている老人の男が絡んできたが、俺は冒険者になろうなんて今は思ってないので、反論しようとしたが、なんと父が一歩前に出てこう言った。


「冒険者に俺はなる!」

(父、あんたがなるんかい!)

心の中でツッコミをしていると隣にいた母が、拳を震わせながら、父と同様一歩前でた。

「私も冒険者になるわ!」

(あんたもかい!)

再び心の中でツッコミをする俺に、父と母はこちらを見て何を言って欲しそうにしている。

(いや、俺は冒険者にならないからね!)

そう心の中で思うが、父と母は俺にどんどん顔を近づけ圧力をかけてくる。


たまらず俺は、父と母に背を向けてしまう。


「冒険者に俺はならないーー!!!」

そう言い残し、俺は冒険者ギルドを出た。

(父と母が自分勝手に生きるなら!俺も自分勝手に生きてやるーー!!!)

こうして俺は父と母に初めて反抗して、王都で離れ離れになった。


「はっはっは……(どこまできたのだろうか?)」

周りは薄暗く、ボロボロで激しく汚れている木造の建物が所狭しに並んでいた。まさに裏の世界といった感じだ。


「おいおい、誰だお前は?

薄汚れたバンダナを頭に巻く吊り目の少年が、数人の子分をつれて目の前に現れた。


「いや、あの、王都に観光に来たんですけど、道を間違いまして」

「迷子かよ」

「「「ハハハハ」」」

「ハハハハ」

タイミングを合わせて俺も笑う。こうすることで親和性が高まって攻撃しづらくなるんだよね。ハハハハハハ


「お前は笑うんじゃねえ!」

吊り目の少年が殴ってきた。ギリギリの所でかわすことができた。


「なんでー?」

「なんでじゃねえ!お前はよそ者だろうが!」

「確かにそうだけよ。俺たちゃ同じ人間、困った時はお互い様じゃねえか」

「ふんっ!知ったことか!それよりもさっきから変な言い方やめよろ!親父臭えぞ!」

「ガーン!そこまで言わなくたって……」

下を向き悲しみにくれていると急にお腹からグギュルルルル!という凄い音が鳴った。

そういえば、俺はゆで卵も食べてなかった。


ああ、腹減ったな。みたいな目を向けると


彼らは身を翻し、スタスタと路地裏の更に奥に進んでいく。吊り目の少年は一度俺の方を振り返り、


クイッと顎を横のずらした。あっ壁に頭をぶつけた。痛そう。


どうやら、『ついてこい』ということらしいので、ついて行ってみる。着いた場所は十字架かが掲げられている教会でつるが壁中に張り巡らせいる古い建物のようだ。いい匂いがする。


「お姉ちゃんの特性スープは僕のものだ」

「いや、僕のだ!」「独り占めは良くない」

「ふふふ、お姉さんのスープ美味しい。これが愛の味……」

「ちょっとちょっとみんな落ち着いてー、スープはまだ沢山あるから」

教会の出入り口では薄汚れた服を着ている少年少女がいい箇所に集まっている。中心にいるのは、白いローブをきた美しい女性シスターだ。


美しく巨乳の女性シスターは、なんとか子供達を落ち着かせて大きな鍋で煮込んだスープを子供達に配っている。


そんな所に俺はよそ者だという目で見られながら美しい女性からスープを受け取った。

「はいどうぞ、ふふふ」

美しく巨乳の女性シスターの笑顔は天使そのものだった。女性の頭をふと見ると『天使の輪っか』が浮かんでいた。


「『輪っか』!?」

「えっ……『輪っか』が見えるのですか?どうして……他の子達には見えないのにおかしいですね……」

頭の上に『輪っか』が浮かんでいる美しき女性は、顎に手を添えて、こちらを観察してきた。


(もしかして転生者とバレたのか?)

ドッキンドッキンと心臓が激しくなり、額から冷ややかに汗が噴き出てきた。


『輪っか』の美しい女性の瞳孔が開きそうになった時、つい先程出会いここに案内してもらった頭に赤いバンダナをした少年が『輪っか』の美しく巨乳の女性シスターに喋りかけた。


「エリナさん、こいつ腹空かせているみたいなんだよ。スープあげてやってくれないか?」

「そうなの?勿論いいわ。神は全ての人に平等に幸せを与えているの、さあ神の慈悲をどうぞ」

『輪っか』の美しく巨乳の女性シスター、エリナさんは俺の頭をなでなでした後、鍋からスープをすくい、木皿に注いで、木のスプーンと共にこちらに渡してきた。


スープの中身は、玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモなどの野菜だ。



ズズッ

一口食べる美味しいが、塩気がないのと肉が入っていないのが少し辛い。


前世と比べて香辛料と肉は市民が手を出しづらい程、高価なものだと分かってはいるが、塩気でも欲しくなり『アイテムボックス』から塩を素早く取り出して周囲に気づかれぬ内にささっとスープの中に入れる。


「んー、ウマーベラス」

やはり塩の相乗効果で旨味がより引き出している。ただやはり俺は、何か物足りない。

そう動物性タンパク質、つまりは『肉』をこの体が激しく求めている。


ああ『肉』!『肉』!『肉』を食いてえ!

そうだ。確か『アイテムボックス』には『火竜の死体』があったはず。きっと溢れんばかりの肉が付いているだろう。


俺は『アイテムボックス』から『火竜の死体』を取り出した。


ドサッ

『火竜の死体』は思ったよりも大きく教会の出入り口を塞いだ。


「「「「「「え?????」」」」」」

子供たちは驚いて目を点にその場で固まり、


教会の美しく巨乳の女性シスター、エリナは俺にギュッと抱きつき、こう言った。


「勇者様……」

と。

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