表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/8

お塩様

「オギャア、オギャア!!!」

なんだ赤ん坊の声が聞こえる。耳元で聞こえる。うるせーーー。


「あらら、どうしたの?オムツ?おもちゃ?それとも……ご飯?」

目の前にいる女型の巨人が、大きな胸を出して押し付けてくる。


俺に奉仕をしてくるには嬉しいが、何か一線を超えてはいけない気がする……は!?そうだ俺は異世界転生……


「オギャアアアアアアアア(したんだったああああああああ)!!!」

「ど、どうちたの〜??」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それから5年ほどの歳月が過ぎて、俺は自分の足で地面を立ち、走れ回れるようになっていた。俺の名はライス・キュピロスというらしく、みんなからはライスと呼ばれている。


そんな俺が生まれた家は、農家で麦を栽培して売ることに生業としている。あと、家に置いてある高価な本を読んで見ると世界には魔獣が溢れており、冒険者なる職業が存在するようだ。


俺は命をかけてまで戦いたくねえ。楽に楽しくダラダラと生きていきたいんじゃあああ!!!


と……いうわけで、昼食タイムです。


「「「いただきマウス!」」」

この掛け声は俺が生まれて(異世界で)初めて発した言葉。何回も使っていると親が真似するようになった。マウスはいらなかったかな?と軽く後悔している。


それにしても料理の味が薄い。

「ねーねーオカチャン、塩って使ってるの?」

「塩ってあの塩!?そんな高価な物!家にあるわけないじゃない!」

「え、ええ〜塩ないの〜砂糖は?醤油は?味噌は?お酢は?ワサビは?胡椒は?コンソメは?オリーブオイルは?ごま油は?ケチャップは?マヨネーズは?ウスターソースは?ポン酢は?カレー粉は?マスタードは?ラー油は?餃子は?海苔は?バナナわ〜〜〜〜〜??????

「いい加減にしなさい!」

バシンッ!

「グベラッ!」

痛い!親父にも殴られたことないのに……いや殴られた相手、親父だったわ。


「ごぺんなさい」

「変な言葉使いだが、謝ればOKだ」

「サンクス親父」 

「サンクスってなんだよ?まあいい。食事の続きだ」

一般家庭には調味料すら高級品なのか。中世ヨーロッパの世界観と考えればわりかし普通か、昔は金と胡椒がどう価値の時代があったそうからな。歴史の授業で習った。


よしっ!決めたぞ!俺の最後の願いは!

【ショップスキル】だああああ!!!


ピコンッ

『ライス・キュピロスに【ショップスキル】が与えられました』

なんだ?急に頭の中に人工AIみたい変な声が、それに目の前にウィンドウが表示された。なになに……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

神が創りし【ショップ】にようこそ、ここでは、お金を対価にスキルを行使して様々なものを買うことができます。初回はお試しとして100ゴールド以下の物がタダで貰えます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ゴールドというはこの世界の通貨。1円が1ゴールドなので、100ゴールドは100円と考えられる。


100ゴールドなどで100均グッズやお菓子などは並んでいる。そこで俺は見た。調味料が並んでいる光景を。塩の欄を恐る恐る触る。


『塩を購入しますか?【はい】【いいえ】』

【はい】と書かれたところを押す。


『お買い上げ真にありがとうございます。……ただいま商品の発送中……ピコンッ』

脳内に音がなり、目の間に地面に真っ白の塩が入った瓶が置かれていた。


瓶にはうま塩と書かれおり、ゆで卵によくかけて食べていたやつだ。懐かしい〜。


「ライスちゃん。固まって何をしているの?それにその手に持っている純白な物は……」

母は俺の手を握り、塩の瓶をマジマジと凝視していた。そりゃまあ珍しい物だからな、当たり前っちゃ、当たり前か。


「……うそ……何で、お塩様がこの家の中に……ライス!まさか盗んできたわけじゃないわよね!」

「いやー、こんな子供に盗めるわけないじゃん、外に滅多に出て出てないし」

「確かに、ここ一週間で外に出たのは洗濯物が雨に濡れるからと手伝ってもらった時だけね」

母が俺を外で遊ぶ友達もいないかったわねと哀れみを含んだ目で見てくる。やめてくれ俺がニートみたいじゃないか……そんな目で俺を見るのは、やめちくり。


「で、お塩様をどこで手に入れたの?」

母の顔が俺にドンドン近寄る。黒髪から香る米のいい匂いがするが、目を開けて母の顔を見ると般若の顔だった。別に俺は何も悪いことしてにないのに……


「ああ……えーと、神様がくれたんだよ」

「神様〜〜〜!????」

物凄い胡散臭い目を見てしてらっしゃる。俺は嘘はついていないぞ、これは神から与えられた(無料タダ)と解釈することができるからな。


「あのねライス、いくらやましいことがあるからと言って神様をダシに使うのはダメよ。天罰が降るわ、さあ本当のことを教えて」

ダメだこりゃ、信じて貰えてない。


そんな修羅場となっている所に父が玄関の扉を開けて帰ってきた。

「たっだいま〜、うげえなにこの雰囲気……ライス!一体何をして母さんを怒らせんただ〜!」

父は俺の肩を掴み、激しく揺らす。


隠してもしゃうがないので、手に持っている塩を見せる。さあ、どう反応する?


「何だそれは……おま、え?おま、え?何でお塩様も持っているんだよ!?」

父の反応ツッコミを見るからに、やっぱり塩はやばいブツだったのか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ