現実へ帰還
~1日と12時間後~
「んん〜…。ここは……」
私は目が覚めると、第一に自分が今どこにいるのかを確認した。ここが夢なのか現実なのかが分からなかったからだ。それだけあの夢は記憶がはっきりとしていて、意識があり、現実味があった。
しばらくして自分は今、現実の病院にいるのだと分かった。だとしたら、一体誰がここまで運んでくれたのだろう?
華美は状況を整理し始めた。
目が覚めてから数分後、誰が病室に入って来た。
「華美!目が覚めたのね!良かった…!」
お母さんだ。そしてその後ろには…
「良かった。目が覚めたんだね。路地裏で倒れていたところを私が見つけてから、1日半ぐらい意識がない状態だったんだよ。体の方は大丈夫?」
鈴汝がいた。どうやら私のことを見つけてくれたのは鈴汝だったらしい。
「ありがとう。大丈夫だよ。…………………?!ちょっと待って、1日半?!嘘…そんなに?!」
(まさか!だって…えっ?!現実ではそんなに時間が経っていたの?私にとってはほんの4時間くらいにしか感じなかったけど…)
多くても6時間だと思っていた。予想、体感の斜め上にいった現実の時間に、驚きを隠せない華美であった。
「そんなにって言われても……。それだけ元気なら心配なさそうだね。」
鈴汝は苦笑いをして私に言った。
「そうね。………それより華美、どうしてあんな所にいたの?お母さんにも皆にも心配させて!もしものことがあったらどうするの?!」
お母さんは突然怒り出した。それだけ心配していたということである。
滅多に怒らないお母さんが怒った。それだけで私はびっくりして……
「!!ご、ごめんなさい…。」
泣きそうな顔になって謝った。無論、謝ったのはお母さんだけではなく、迷惑をかけてしまった鈴汝にも謝った。
「まぁまぁ、無事だったんですから。医者は軽い寝不足と熱中症、貧血だって言ってたよ。」
怒り出したお母さんを止めてくれたのは鈴汝だった。
「寝不足と熱中症と貧血?」
華美は疑問に思った。倒れていた理由はそれではないからだ。
確かに最近、生徒会や部活のことで忙しくて、あまり寝られなかったけれど、それでも倒れるほどではなかった。熱中症というのは何となく心当たりがあった。思えば全く水分をとっていなかったのだ。貧血もいつもの事だからあまり気にしなかった。しかし、倒れたのはこれらのせいではなく、あの耳鳴りのせいだ。だが、都合が良かったので華美は何も言わないでおいた。
「うん。体調管理、しっかりしてよ、華美。」
と鈴汝が言った。
しばらくお休みします