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15②-①:芽生え

 黒い化け物が焼かれている時、現実では銀色の化け物もまた、身もだえをしていた。苦しみに咆哮しつつ、口から水色の石を吐きだす。その次の瞬間、体の表面にひびが入り、体の内から青白い炎が上がったかと思うと、それはその化け物の体を焼き始めた。化け物は、山地全体に響き渡る断末魔を上げながら、自らの体が産みだした炎で焼かれていく。


 そして、その化け物の姿が完全に燃え尽きた頃には、広がり続けていた魔方陣は跡形もなく、後には木も草もない荒れた山の大地と、



 二つだけが残っていた。





 それから、何時間がたっただろうか。やがて、夜が明け、その二つの上に朝日が降り注ぐ。

 その二つとは、水色の石と…



「…」

 眩しさに意識が浮上すると、すぐに頭がずきずきと痛みだす。


「…」

 うっすらと目を開ける。うつぶせに倒れていた。体を起こそうとして、やたらと重いことに気づく。まるで、体中に、重りをつけているかのように。


―……?


 長い長い夢を見ていた後のような、意識が目覚めきらないぼんやりとした心地。それでも、周囲の確認のため、首だけを回して辺りを見る。あたりには何もない大地と、そして、目の前に水色の石。


「…?」

 よっこらせと体を起こし、それを拾おうとした。しかし、そこで、自身の姿にはたと気づいた。一糸まとわぬ、産まれたままの姿。やたらと白い肌の色。その上、胸に重い肉が二つ付いていて、そして足の間にあるべきはずのものがない。これは、明らかに自分の体ではない。


「…ッ!!」

 と思った刹那、一瞬にして明晰になった頭に、今までの記憶が怒涛のように押し寄せる。正確に言えば、今までの自分本来の記憶と、今までの誰かの記憶の2人分が。



「…俺は、一体…?」

 セシルは呆然と、自身の体を見ながらつぶやいた。いいや、厳密に言うとそれは、セシルの体をしていても、中身は最早セシルではなかった。



「…俺は…一体どうなったんだ…?」

 男―テス・クリスタは、自身の体―セシルの体を見ながら唖然と呟いたのであった。

 これってもしかして、俺達は入れ替わって…ません。一度は2人とも肉体&魂ごと消滅、そしてその後、なぜか肉体は甦り片方の魂も甦ったものの、セシルの魂は消滅しちゃいました・笑。


 小説のタイトルとサブタイトルの伏線を回収しました(タイトルの方はまだ伏線残ってますが)。15章が終わったので、予告通りここで物語は折り返しとなります。

 後、残り7章です。後半も何卒よろしくお願い致します。


 次回より舞台は、ヘルシナータのホリアンサに移ります。

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