10.恋する警察官
健斗 side
それから更に2年が経った。
あの頃小学生だった昴も今年の春で中学3年生だ。
それは大変喜ばしいことではあるのだが......
カラン
「いやさ、確かに俺言った、待つってその時は何年でも待つつもりってか待てる気でいたんだぜ、でもな、でもそろそろ本格的に昴が可愛すぎてやばい。」
「おー。」
「ちゃんと聞いてんのか龍!?」
「聞いてる聞いてる。」
俺は再び龍を呼び出し
最近の想いを諸々吐露してたいた。
「て言うかもう最近のあいつの表情とか行動とか絶対俺の事意識してんだろ!好きだろって感じなわけよ!!そんなんで好きじゃないとか自覚がないとか分からないとか嘘だろって思うわけよ!!!」
ダァンツ
なんて思いっきり机を叩いてしまう。
そんな俺に龍は呆れた顔をしながら
「酔ってんな。」
「うるへー、俺は酔ってんなんかいねーろ。」
「おい、呂律がまわってないぞ。」
「うぅもう何か色々暴発しそうでやばい。」
「下ネタか。」
「ちっげぇよ!!馬鹿か!」
「冗談だろー。」
「お前は冗談かどうかが分かりにくいんだよ。」
「もうそんなに辛いんならさ自分で聞いちゃえば。」
「待つって言ったのにか?」
「イェス。」
「そんなかっこ悪ぃこと......」
「お前がかっこよかったことなんてあったか?」
「ひでえな!?」
「ははは、うそうそ。」
「も、ほんとお前のそういうところ......」
「でもさーらしくないんじゃない?自由奔放な健的にはさ、自分がルールなんでしょ。」
「うっ......臆病にもなんだよ、誰だって恋すると......」
「うーわー。」
「なんだよ!?」
「いやーあの健からそんな言葉が聞けるとは......恋愛ってやっぱり人を変えるんだねー。」
「バカにしてんのかバカにしてんだな、よし殴る。」
「まぁ落ち着けって。」
「涼しい顔しやがって......」
「とりあえずさなるようになれだよ!ふぁーいと!!上手くいってもいかなくても報告してね、ネタにするから。」
「もうおまえやだ。」
語尾にハートがついてきそうなセリフを放った龍に盛大にため息をついて机に突っ伏した。
そんな龍のアドバイス通りにするには大分躊躇したがそれ以外にこのもやもやを解決する手段が思いつかなかった。
「なぁ昴。」
「どうかしました?健斗さん。」
「返事をもらってもいいか。」
「返事?」
「あーその、2年前の。」
「あ」
「待つって言ったけどよ、最近のお前の表情とか行動とか見てると俺の勘違いじゃなけりゃお前も俺と同じ気持ちだって思うんだけど違うか?それともやっぱ俺の勘違いか?」
ずるい聞き方だなと自分で自分に呆れる。
でも仕方ねえよな、好きなんだから
好きだから同じ気持ちでいてほしいって思うし違うかったらと思うと怖くて臆病になってしまうこいつに関することではいつだって自信満々の俺でもほんの少しだけ不安になる。
振り回されているなと思うしそれと同じくらいこいつの事も振り回したい、もっと俺の事だけ考えるようにしたいと思う。
「......です」
「昴?」
中々俺の問いかけに応えなかった昴が小さく口を開く
けれどあまりにも小さい言の葉は俺には聞き取れず思わず聞き返してしまう。
すると俯いていた顔をばっと上げ大きな声で
「健斗さんのことそういう意味でちゃんと好きです!!」
と言った。
「その、俺、何か気恥ずかしくて......健斗さんのこと待たせてるから早く言わなきゃって気持ちとでも今更言ってもう健斗さんは俺のこと好きじゃなかったらって考えると不安で。ごめんなさい。」
そう言いながらしゅんっとするする昴は堪らなく可愛かったのだが俺の頭の中には先程の昴の好きですがリフレインして止まらず思考停止してしまう。
そんな俺を見て不安になった昴の呼びかけでようやく現実に戻ってきた俺は思わず昴を強く抱きしめていた。




