7.恋する幼馴染
「って感じでね、入る事になったんだ~。」
何て、昨日俺が逃走している間に起こった出来事を丁寧に説明し終わった颯希はニコニコしながらそう言った。
「漫画研究部ねぇ…。まぁいいんじゃね、お前好きだもんな。」
「うん!あ、そうちゃんも一緒に入る?」
「あー…俺はいいわ。」
そう誘う颯希には悪いが
生憎、颯希と違ってあまりアニメや漫画の類を見ない俺は断る。
「そっかぁ…。あと一人俺以外の部員が見つからないと廃部なんだよね…」
「んな顔で見んなよ。」
「まぁでも、こればっかりは仕方ないよね!でもそうちゃん運動部入っちゃダメだってなってるんだよね、部活動するの?」
「…とりあえずなんも入らねぇ。」
「えー!高校生活は一度しかないんだよ!青春は今しかできないんだよ!!部活に入らないなんて勿体ないよ~。」
俺の体に抱きつきながらそう言う颯希に
「そうは言っても俺が文化部に入ってるの想像できるか…?」
そう問いかければ一瞬の沈黙
「文化系のそうちゃん…ちょっと怖い。」
「おい、怖いってなんだ怖いって。」
「想像したら何か予想以上にそうちゃんじゃなくなって…」
「お前は一体どんな想像をしたんだ…」
そう呆れて言えば、えへへーなんて笑う颯希の頭を軽く小突いてやる。
「でもそうちゃんと同じ部活で青春したいな~。」
「そもそも漫画研究部で青春なんてできるのか…?」
「そ、それはまぁほら!本人達の気合い?」
「んだよ、それ。」
颯希の馬鹿な応えに思わず笑ってしまう。
「だって、何かを始めるならそうちゃんと一緒がいいんだもん。」
その言葉に思わず心臓が跳ねる。
勘違いするな、俺。
いつもの他意の無い言葉だ。
そう自分に言い聞かせて、
「うっせ、ばーか。」
と、軽くデコピンをしてやった。