3.恋する警察官
健斗 side
そんなやり取りをしてから数日後、俺が例の公園に行くとやっぱりそこにガキ、もとい昴はいた。
何をするでもなく、以前と同じようにぼーっと突っ立っている昴の方へ特段、足音を消すこともなく近づいていく、すると俺の足音に気が付いた昴がふいっと視線をこちらにやった。
「うわっ、本当に来た。」
「んだ、そのうわって。」
「不良警察官だ。」
嫌そうな、呆れたような顔をするアイツの頭を前回同様、軽く小突いてやると警官が子供に暴力奮っていいわけと相変わらず生意気な口を聞くもんで今度は後ろから羽交い締めにしてやる。
そうやって俺と昴の奇妙な関係は出来上がった。
夜、アイツの母親が仕事の日、誰もいない小さな公園の隅にあるベンチに座り、2人で他愛もない事を話す。
「けんとは、」
「さんをつけろ、さんを。」
「けんとさんは、どんな学生だったの。」
「んぁ?別にふつー。」
「絶対嘘だ。」
「はー!?嘘ってなんだよ。」
「どうせ色々やらかして毎日のように先生に怒られてたんでしょ。」
「......黙秘する。」
「ほーらやっぱり。」
「う、うるせーなー!良いんだよ、学生のうちは好き勝手して!学生の頃にしかできねー事とか沢山あんだから。」
「けんとさんは今でも好き勝手生きてそう。」
「あれだ、俺は何にも縛られない自由な人間なんだよ。俺は俺の信念のもと生きてるわけ、だから別に好き勝手やってるわけではなくてだな......」
「モノは言いようだね。」
「お前そんな難しい言葉どこで覚えてくんだ......ガキのくせに。」
「ぷっ、あははは」
「っ、」
「あははははは、はぁ......って、どうしたのけんとさん?」
「あーいんや、お前がそんな笑ったとこ初めて見たなーってか何がそんなに面白かったのか分かんねぇ。」
びっ、くりした......
急に昴が笑うもんだからその笑顔にドキってして......
ドキってなんだ!?
ガキの笑顔にドキってするって何だよ!?
「だってけんとさんバカだなーって思って。」
「にゃろー」
「へへへ」
ドキっ......て、だから何で心臓が跳ねるんだよ!?
最近こういう事が増えた。
昴の、こいつの嬉しそうな顔や楽しそうな表情を見るたびに俺の心臓は俺のもんじゃなくなるみたいに勝手に鼓動を早くする。
何なんだよ......
そう、いつからかこんな時間が俺にとってかけがえのないものに変わっていることに気がついて俺は少しだけ変な気分になった。




