2.恋する警察官
ここから暫く「恋する幼馴染」は休載し、「恋する警察官」が続きます。
一段落しましたら高校2年生編として「恋する幼馴染」を再開する予定です。
健斗 side
「おっ、不良少年発見~、」
警察官になってすぐの頃、配属された交番付近の公園にいつもぽつんと隅っこの方で何をするでもなく、ぼーっとしているガキがいた。
「オラ、ガキんちょが何でこんな時間に公園にいるんだ。ガキはけーれけーれ。」
「......」
「あ?無視か、態度悪いがきだな~。」
「た、態度悪いのはそっちだろ。それに知らない人と話したらダメだっておばあちゃんが言ってたもん!!」
「あー?どっから見てもお巡りさんのカッコイイー兄ちゃんじゃねーか。」
「おまわりさんのコスプレした変態かもしれない。」
「はー!?今時のガキはそんな事まで考えんのか、屁理屈こねくり回したような自論だな。」
「......」
「あー......お、あったあった。」
「?」
「おら、これで俺様がおまわりさんだってちゃんと証明できんだろ。」
「何これ。」
「警察手帳ってんだ、本物のお巡りさんは皆これ持ってんの。」
「......にせものじゃなくて?」
「ちっげーよ!疑り深い奴だな、たくっ俺は橘健斗。ガキ、お前の名前は?」
「......すばる。」
そう言って目の前に突きつけた警察手帳をまじまじ見ていたガキに再び名前を聞くとまだ少しの間の後、俺の質問に答えた。
そう、これが俺と昴の出会い
「何でこんな公園にいたんだ?いくらこの辺に街灯があるっつっても、もう辺りも暗くなってっし、ガキが出歩いていい時間じゃねーんだけど。お前、父さんや母さんはどうした。」
「......おとうさんはいない、おかあさんは今日大事な仕事があるからあんたは外の公園にでも行ってきなさいって言って僕のこと家からだしたの、だから公園にいた。」
その内容を聞き俺の頭には育児放棄やネグレクトの言葉が浮かんだがあえて言葉にすることは無かった。
そうして暫しの沈黙。
俺が何も言わない事に対して特に話しかけてくることもなく昴はぼーっと俺の存在など居ないもののように街灯を眺めているそんなガキらしからぬ態度に舌打ちを一つ
そして頭をガシガシと掻きながら。
「ガキ、お前いつもこの時間こんなところいんのか?」
と聞いてみたそんな俺に対して
「おかあさんが仕事の時はここにきてる。」
と応えた奴に
「ふーん、よし!じゃあこれからは俺がお前の話し相手になってやろう。」
「え?」
そう胸を張っていえば大きな目をさらに大きく開いたそんな初めて見せる表情に満足感のようなよく分からないモノが少し湧き上がる。
「流石に小学生のガキんちょが一人こんな夜の公園にいるってのを知っちまったら放っておくわけにもいかねーしな!」
「いや、いいよ......仕事しなよ。」
「ハハハ、ガキが遠慮すんなって!」
「遠慮じゃないし......ていうかさっきからガキガキ言うけど僕はもう小学6年生だし来年の春には中学生だから。」
「は~?んなもん俺から見たら充分ガキだよガキ。」
「じゃあそう言うあんたは何歳なわけ?随分若そうだけど。」
「あ?23だけど。」
「まだまだ若いじゃん。」
「うるっせ、口の減らないガキだな。」
そう言いながら頭を軽く小突いてやった。




