49.恋する幼馴染
「つっかれた~。」
「思ったより繁盛したなー。」
「それもこれも颯希効果かな。」
「あははー。」
「皆おつかれ様。」
文化祭1日目も無事終わり、後片付けを終わらせて明日の用意を全て終え、机に突っ伏した俺の後に続くように各々椅子に座る。
1日目は生徒しかやって来ないからそんなに忙しくならないと言う先輩達の予想を裏切り、次から次へと漫研の部室には生徒だけでなく教師陣までやってきた。
ヒロ先輩の言うように颯希目当ての客も多かったが漫画喫茶という訳で、漫画が無料で読めるって事や女装姿を面白がって見に来る生徒も多く、大いに賑わったのである。
そんな風にドタバタと過ごしていたらあっという間に終了時間を迎え、今に至るわけで、疲労困憊という訳だ。
「まぁでも本番は明日だからね!」
「そうそう、お前らー気合い入れてけよー!!」
「でもハメ外しすぎちゃダメだよ。」
「はーい!」
「ほら、奏汰も返事は。」
「うぃっす。」
先輩達のその言葉に元気に返事をする颯希を見ながら俺も小さく頷いた。
「じゃあ帰るかー。」
「そうだね、後片付けも大体終わったし。」
「でも今日でこんなんだから明日が怖いですよねー。」
「まぁ、明日はほら、匠海先輩達も手伝いに来てくれるからさ!」
「ですねー。」
そう言いながら各々鞄を引っ提げ部室を後にした。
そうして先輩達と別れて颯希と2人、家路に着く。
「は~今日疲れたけど楽しかったねー。」
「おー。」
そう言いながら大きく伸びをする颯希に俺も同じように腕を伸ばして応える。
「木村君達も来てくれたし、良かったねそうちゃん。」
「良かったってなんだよ。あいつらはただ冷やかしに来ただけだろ。」
「もー、そういう事言わないの。」
「お前はやけにあいつらの肩もつよな。」
「そういうんじゃないってばー。」
「どーだか。」
「何だかんだそうちゃんだって嬉しかったくせにさ!……それにしても準備期間も含めて本当にあっという間だったよねー。もう明日が終われば文化祭が終わるだなんてまだ実感が湧かないや。」
「確かにな。」
「すっごく楽しみなんだけどちょっと寂しいなって……。ほら、お祭りの後って何だか寂しくならない?」
そう言って軽く笑う颯希になんて返せば良いのか良い言葉が思いつかず、思わず頭を掴んだ。
「う、わわ、ちょっとそーちゃん何すんのさ!」
「ばーか、まだ始まってねーんだから最初っから終わりのこと考えてんじゃねーよ。確かに終わりはちょっと寂しく感じるかもしんねーけどそんな寂しさぶっとばすくらいに思っきり楽しめばいいだけだろ!」
「そうちゃん……はは、そうだね、そうちゃんの言う通りだ。」
俺の言葉で少し調子を取り戻したのか小さく何度も頷いた颯希が再びこっちを向いて
「そうちゃん、明日も頑張ろうね!」
なんて言うものだから俺もそれに
「おう。」
と、一言頷いた。




