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青春エトセトラ  作者: 羽柴 歌穂
第1章
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45.恋する幼馴染

 そんなこんながあってとうとう文化祭まで1週間。


 あれから喫茶店で出すメニューを決めたり、部室にある漫画だけでなく、各自オススメの漫画をそれぞれ持ち寄ったり、部長のお姉さんが作ったという制服を着るために再び女装する羽目になったり、と慌ただしく時間は流れていった。


 部長のお姉さん器用すぎるだろ……

 自分で服を作れるとかもう職人なんじゃねえかと、思ったことが口に出ていたようでそれを聞いていたお姉さんには「私なんてまだまだ〜もっと凄い人は沢山いるからさ。」と、返された。


 そうして今日も今日とて部室に集まり、当日の飾り付けをどうするか話し合いが白熱し、下校のチャイムでその議論が中断され、それぞれが帰路に着いたその時、俺と颯希はヒロ先輩に呼び出された。


 突然の呼び出しに身構えた俺とキョトンとした顔で立ち止まる颯希を交互に見て、ニンマリだなんて表現がよく似合う表情を浮かべてヒロ先輩が口を開いた。


「奏汰、そんな怖い顔すんなって、別にお前ら2人の進展にちゃちゃ入れようって訳じゃねーし。」

「しんてん……?」

「だぁー!なんか用っすか?!ヒロ先輩!!!」

「あはは、落ち着けって。いやさ、もうすぐっていうか文化祭の3日前って深月先輩の誕生日じゃん?」

「あ、確か10月25日でしたよね?」

「そうそう、それでさいつもお世話になってるお返しに俺達でちょっとしたサプライズって言うか、プレゼントを渡したいなってなわけで今からショッピングモール行くぞー!!」

「おぉー!いいですね!行きましょ行きましょ!!」

「え、あ、おい颯希?!」

「あれれ〜?奏汰は乗り気じゃない?じゃあ仕方ないよな俺と颯希で買いに行くか。ついでにデートでもしちゃうか。」

「はは、デートって何いってるんですか〜裕先輩。」

「別に行かないとは言ってないっすよ!!ほら行きましょ!」


 何かヒロ先輩に上手いこと操られている気がしないでもないがその事実からは目を逸らした。


 そ、それに俺だって深月先輩にはちゃんと日頃から感謝してるし……!


「で、深月先輩へのプレゼントって何か決めてるんですか?」

「いや、それが全く。」


 そう言って笑うヒロ先輩にこの人は本当に適当な人だな、と思わずため息をつく。

 そんな俺とヒロ先輩を交互に見ながら颯希がキラキラと目を輝かせながらあのっと声をあげた。


「ブックカバーとかどうですかね?みっちゃん先輩よく本読んでるし!ブックカバーなら普段使いも出来て、いくつあっても大丈夫そうですし。」

「確かに。」

「それで後、栞を3種類くらい選んでセットで包んで貰ったら読書セットみたいで良いかなって!」

「おー!いいねいいね!流石颯希、センスあるな〜。」

「えへへ。」


 そう言いながらわしゃわしゃと颯希の頭を撫でるヒロ先輩と、それを嬉しそうにされるがままになっている颯希の姿を見てイラっとはするもののそれより何より


 だからその挑発的な笑みを浮かべてこっちを見るのはなんなんだ!!


 そうやって目的も決まり、無事プレゼントも揃え、その日は解散した。



「え、今日みっちゃん先輩休みなんですか?」

「あぁ、風邪ひいちまってさ。」


 そう、あっけらかんと言う部長とは反対に颯希の顔は曇る。


「そう、なんですか……」

「そんな顔すんなって!大した風邪でもねーし、今日一日休んだら明日には元気になるだろうし、文化祭当日までには絶対に治るから!」

「あ、いや、今日みっちゃん先輩の誕生日だったじゃないですか、俺やそうちゃんの時祝ってもらったから今日はみっちゃん先輩の事盛大に祝おうと思っていて、裕先輩とそうちゃんと一緒にプレゼントも用意してたからちょっと残念で……」

「あー。」

「でも風邪なら仕方がないですよね!お見舞いとか行きたいですけど、あんまり大勢で行っても良くないだろうし。」

「逆に深月先輩の場合、風邪がうたるから来なくていいって言いそうだもんな。」

「お前らの気持ちはちゃーんとこの雅也先輩が伝えとくから、ありがとな。」

  「はい!」


 そうやって笑った部長につられて颯希も小さく笑った。


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