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青春エトセトラ  作者: 羽柴 歌穂
第1章
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39.恋する幼馴染

 ダァン!!


「何で!うちの高校は体育祭と文化祭を同じ時期にやるんだ?イベントごと詰め込みすぎだと思わないか?なぁ奏汰。お前もそう思うだろ?」

「はぁ……。」


 休み明け、部室に足を踏み入れた瞬間先程まで座っていた部長が突然立ち上がり、俺の肩を揺さぶりながらそう、一息に言った。


「ほら深月!奏汰もおかしいって言ってんぞ!今年はお前会長なんだから何とかして文化祭か体育祭どっちでもいいから日程ずらせなかったのかよ!!」


 そして顔だけぐるりと深月先輩に向けて更に言葉を重ねる。


「もー、雅也うるさい。何回も言ったけれどそもそも生徒会長にそんな権限無いから。」

「かーっ!何の為に生徒会長になったんだよ!」

「少なくとも文化祭や体育祭の日程をずらす為、ではないかな。」


 うん、部長も、深月先輩も俺を挟んで言い合うの止めてくんねーかな。

 と言うか俺を巻き込むなよ……


「あ、あの、雅也先輩は文化祭も体育祭も嫌なんですか?」


 そう、おずおずと俺の後ろから顔を出しながら言った颯希の言葉に部長は深くため息を吐く。


「違うんだよ颯希、別に俺は文化祭や体育祭が嫌なわけでは決して無い、むしろ大好きだ。」

「雅也先輩、祭りごと大好きですもんねー。」

「おう。でもな、どうせやるならどっちも思いっきり楽しみたいわけだ、それなのに!!体育祭、文化祭一緒くたにされてたら楽しみが減っちまうだろ?!」

「でも確かにうちの学校って変わってますよね。体育祭も文化祭も一括りにして星雲祭って呼ばれていて、1日目に体育祭、2日目、3日目に文化祭って言うスケジュールですもんね。」

「まぁね、体育祭は主に運動部メインで、文化祭は文化部メインだから。クラスでやるのはクラス対抗リレーと展示物だけ、後はそれぞれの部活で出し物やら、競技練習やらするってわけ。」

「うちの高校、力入れてる部活動が多いっすからねー。」

「そこだよ!」

「どこですか。」

「部活動に力を入れるのは一向に構わねーよ!そうじゃなくて、そうじゃなくてさー、」

「つまり、体育祭でクラス対抗リレーしか出れないのが祭り好きの雅也先輩としては不満ってわけ。」


 そう再びグダグダ言い始めようとした部長の言葉を遮ってヒロ先輩がそう言い放った。


「成程。」

「そーだよ!そーなんだよ!!運動部じゃなくったって競技に参加したい奴だっているだろうし、文化部じゃなくったって何か出し物がしたい奴らだっているかもしれねーだろ??それなのに不公平だと思わないか?!」

「はいはい。」


 そうして止まらない部長のマシンガントークに適当に相槌を打ちながら深月先輩が俺の背中を押しながら部長から距離を取る。


「あの、放っておいていいんですか?」

「いいの、いいの、毎年この時期になるとギャーギャー騒ぎだすんだよ。一通り文句並べたら落ち着いて静かになるからさ。」

「は、はぁ。」

「ほら、颯希もこっちおいでー。めんどくさい雅也は裕に任せよう。」

「俺っすか?!」

「おい、深月、めんどくさいってなんだめんどくさいってーーー!!」


 そう叫ぶ部長の言葉にこっちへやってきた颯希と二人、顔を合わせながら、ははは、と乾いた笑いを零した。


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