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青春エトセトラ  作者: 羽柴 歌穂
第1章
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38.恋する幼馴染

「おら、颯希。いつまで寝てんだ、今日から学校だぞ。」

「うぅ~いやだぁ~まだねてたいよぉ~。」

「んな事言ってねぇでさっさと起きろ。」

「んぅ〜〜〜。」


 8月も終わり、今日から新学期が始まる。


 あの花火大会の後、結局人混みのせいで一緒に見れなかった打ち上げ花火の代わりに皆で花火をしようと提案した部長の一声によって、急遽次の日、学校に集合しコンビニで買ってきた花火セットを広げ、他の運動部や文化部、残っていた教師まで巻き込んでプチ花火大会が開催された。

 まさか学校でやるなんて想像すらしていなかったから最初は「これ、教師に絶対ぇ怒られるだろ……」と思っていたのだが周りの反応はやれやれと言った諦めにも似たような雰囲気で咎められる事もなく、「また雅也かよー。」「工藤も大変だな〜。」なんて言われ、教師陣からも「たく、ハメ外しすぎるなよー。」と、2.3言注意を受けるだけで済んだ。

 そうして、いつの間にか周りに人だかりができていたのであった。


 本当に部長って人の輪を作るのが上手いよな……

 教師陣まで巻き込んで花火って、普通やらねぇぞ……


 そんな事があって数週間


 いつものように颯希を起こしに来たはいいものの休みの間好きなだけ寝て起きる生活を送っていた颯希は中々手強かった。


 こいつ、長期休暇のたびにこれだと社会人になった時どうすんだ……


「始業式早々遅刻とか笑えねーからな。」


 そう言って布団を離そうとしない颯希から無理やり布団を引き剥がしながら起こそうと腕を掴んだら逆に引っ張られ、予測していなかった出来事に咄嗟に反応できず俺の身体はそのまま颯希のベッドに倒れ込む。


「そ~ちゃん、いっしょにねよ?」


 そんな俺に目をトロンとさせ、舌っ足らずに放たれた颯希の言葉の破壊力たるや……


 思わず自分の顔面に拳を打ち付け、ついでに颯希の頭にも一発拳骨をお見舞してやる。


 そしてベッドの上でお互い悶絶していれば中々降りてこない俺達を不思議に思った颯希の母さんがやってきて「あらあらまぁまぁ。」なんて言いながら「早く降りてこないと朝ごはん食べる時間も無くなっちゃうわよ~。」と言われ、俺達は力なく返事をしながら1階へと階段を降りた。


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