35.恋する幼馴染
「じゃあ何食べよっか~?」
「ここはガッツリ焼きそばだろ!!」
「たこ焼きも外せませんよね!」
「お!颯希、わかってんじゃねーかー。」
「俺は焼き鳥とかポテトがいいっすねー。」
「おっさんみたいなチョイスだな、裕。」
「雅也先輩酷くないっすか?」
そうやって各々、食べたい物を連ねながら歩く。
「じゃあ二手に別れて……って言いたいところだけれどこの人混みじゃあ離れたら合流出来そうもないから、とりあえず買いたい屋台が近づいたら声上げて買いに並ぼうか。」
「「はーい。」」
そうやっていつものように的確に指示を出す深月先輩の姿を見て思わず
「部長よりよっぽど部長っぽいよな、深月先輩……」
と言葉がぽつり零れ落ちた。
「だね。」
そんな俺の言葉に隣を歩いていた颯希が小さく笑って同意する。
本当に深月先輩は何でこの部活に入ったんだ……?
部長と幼なじみだったからつっても大して興味がある訳でもない部活に入るかねぇ、普通。
……俺も人のこと言えた立場じゃねーけど。
そうやって考えていれば
「そりゃー我が校の生徒会長様だからな!」
なんてヒロ先輩がドヤ顔で言ってくるもんだからとりあえず無視を決め込む。
そんな俺の態度に
「奏汰俺に対して冷たくない!?」
なんて大袈裟にショックを受けたみたいに言ってくる……言ってくるんだけどもよく良く見れば口角はぴくぴくしており必死に笑いを堪えている顔なのでぐっとため息を吐きたいのを堪えて
「ご自分の胸に手を当ててよーく考えて見てください。」
とだけ返す。
俺のその返しがツボにハマったのなんなのか分からないが盛大に噎せて笑いだしたヒロ先輩とそんな先輩を呆れたように見る俺の顔を交互に見ながら颯希はクエスチョンマークを浮かべ、深月先輩には微笑ましく見られ、部長はいつの間に並んだのか両手に焼きそばとたこ焼きのパックを抱えながら俺達の方へそれを渡してきた。




