27.恋する幼馴染
ギラギラと照りつける太陽の光
俺たちは大自然の中……では無く、人混みの中にいた。
「あの、俺の記憶違いじゃなけりゃ合宿ってキャンプだって話だったと思うんすけど……」
「あぁそんな話もあったね。」
俺の疑問に対してあっけらかんとそう答える深月先輩に思わず怒鳴りそうになった気持ちを押し込めて再び口を開く
「でもこの場所コンクリートジャングルなんすけど、て言うか街中じゃないっすか?!」
最後の方の口調が荒くなったのはもう仕方が無いだろう……
なんせ当日にいきなり何の説明もなく目的地が変更になり、わけも分からず連れてこられ、目的地に着いた途端、颯希、ヒロ先輩、部長の3人が目を輝かせながらどこかに走り去ってしまい残ったのは現状を把握出来ていない俺とそんな俺を見ていつもの笑顔を浮かべる深月先輩だけだったのだから。
「奏汰……これは仕方が無いことなんだよ。俺達は何部だ?」
「漫画研究部っすね。」
「そうだ!!俺達は漫画研究部だ!!その部員として今季イチオシアニメである『探偵ですが怪盗です☆』の聖地が特定されたからには聖地巡りに行くしかないだろ!!」
「それ、部長の真似っすか。」
「あはっ、よく分かったね。」
「いや、まぁ……。て言うかえ、何?聖地巡り??」
「簡単に説明するとアニメに出てくる縁の深い場所を聖地と称してその場所に足を運ぶ事だね。」
「はぁ……。」
いまいち深月先輩からの説明が頭に入ってこない俺に対し、「まぁアニメに対して特に思い入れの無い俺らからしたらなんて事無い場所であそこの3人にとったら感極まるくらいに興奮する場所ってことだよ。」と言って指さした方向へ視線を向ければ無言で写真をひたすら撮るヒロ先輩とその隣で目をキラキラ輝かせながら熱く何やら語っている颯希と部長がいた。
「あんなに楽しそうに、生き生きとしてるのに水を差すのもアレだしさ、付き合ってあげようよ、ね。」
そう言ってウインクする深月先輩の口元は笑っていて俺は小さくため息を吐きながらも「うすっ。」と返事を返した。




