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19.恋する幼馴染
「テスト返すぞ~。」
そんな教師の声をどこか遠くから聞いているような気分に逃げた所でテスト返却から逃げられるはずも無く、「松永。」と呼ばれた俺は「はい。」と、小さく返事をして教師の元へ向かった。
「まぁ前回に比べればよく頑張ったんじゃないか、ギリギリだったけどな。」
そう、ニッカリ笑って返されたテストの点数は先生の言う通り本当にギリギリではあったが何とか赤点を免れるだけの点数が書かれていて、思わず「よっしゃぁ!!」だなんて、ここが教室であるのもすっかり忘れて大声を出し、ガッツポーズを作ってしまった。
そんな俺の奇行にもクラスの奴らは一瞬驚いただけでまばらに拍手をしながら「よかったなー。」だなんて言ってくれる。
俺はその言葉に「おう、さんきゅ。」と言ってそのままいそいそと自席へ戻って言った。
暫くして颯希の名前も呼ばれ、目でその姿を追っていると、こちら側を向きピースサインをする颯希にほっと、胸をなでおろした。
こうして俺達のテストとの戦いは幕を閉じたのであった。
さぁ、後は夏休みだ。




