17.恋する幼馴染
「で、合宿って具体的に何するんすか?」
「ふっふっふ、いい質問だな、奏汰。」
俺のそんな疑問に勿体つけながら部長が腕を組む。
「ずばり!キャンプだ!」
ドーン!と言う、効果音が後ろで聞こえてきそうな態度でそう言い切った言葉に俺と颯希は顔を見合わせた。
「まぁキャンプって言っても本格的なものじゃなくて裕の家の別荘を借りてバーベキューとか花火とか好きなアニメや漫画について語ったりする…言ってしまえばただの遊びだね。」
なんて笑いながら言う深月先輩の言葉になるほど、と思っていればガタンっと颯希が立ち上がった。
「ど、どうした?颯希。」
「裕先輩って別荘持ってるんですか?!」
「うん、まぁ親のって言うか兄ちゃんの別荘なんだけどね。」
「龍先生の?!」
目をキラキラさせながら食いつく颯希にまた、変なスイッチが入った…と、溜息をつく。
「はい、はい、話はそこまでにしてそろそろ下校時刻だし帰る準備するよ~。」
「はーい。」
深月先輩の言う通り外を見ていればすっかり日は傾いており、各々鞄を持ち席を立つ。
そうしてゾロゾロと扉に向かえば深月先輩が「あ、言い忘れていた。」と、こちらを振り返った。
「まぁ楽しい楽しい夏休みや合宿に想いを馳せるのも言いけれど、その前にあるテストが赤点だったら夏休み補修だからね、そこの所お忘れなく。」
そうやって笑う深月先輩の目は笑っておらず颯希と二人、「「はい!!」」と勢いよく返事をした。




