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青春エトセトラ  作者: 羽柴 歌穂
第1章
118/182

16.恋する後輩

 裕 side


「ヒロ先輩かっこいい……」

「だろ?」

「直接見たかったです!!」

「いや、本当に惚れ惚れするくらい綺麗に相手の急所に当てるからさ、もうそれ見た瞬間、この人に一生ついてこうって思ったんだよ。」

「その気持ち分かります!!」

「あと他にもさぁ、」


 隣で楽しそうに話す愁と虎徹を見ながら俺はスッカリぬるくなった珈琲を飲み下し、何度目かわからないため息を吐いた。


 事の発端は昨日、虎徹からの一通のメールであった。

 2週間程前に再会して一悶着あった元舎弟とはまぁなんだ、再び縁が繋がってやり取りが復活した。

 それもこれも愁が言った言葉が虎徹の奴に素直になるきっかけを与えてあれから今までの空白の時間を埋めるように毎日のようにメールが届くようになったのだ。

 元々素直な奴だ。

 それに思い込みが激しくてのめり込むと周りが見えなくなるタイプ。

 そんな虎徹のことを昔から放っておけない奴と思いながら接していたからか、毎日怒涛のように届くメールに対しても多少鬱陶しいなぁとか思ったりしてもいたがまぁこうなった原因の一つは俺自身にもあるようだし、そのうち落ち着くだろうと思い、好きにさせていた。

 メールの内容は昔の思い出話であったり、最近起きた出来事、俺がいなくなった後の事等々色んな話でそれを見て思わず吹き出したり、ほんの少し申し訳なく思ったりとしていたのだが昨日のメールはいつもと少し違っていてたった一行、「会って直接謝りたい、お礼が言いたい」と、送られてきた。

 誰に、なんて野暮なこと聞かなくてもすぐ分かって、けれどそのメールにすぐ返信するのに戸惑ってしまった。

 まぁ結局、本人に何とはなしに予定を聞いて空いていると言うので呼び出して会わせてやったんだけど、ほんの少しその時の自分の行動を後悔し始めている自分がいて益々戸惑いが広がる。


 先程からずっと今、隣にいる俺のことをほったらかしにして、過去の俺の話に夢中になる愁と虎徹を見て面白くないという感情が浮かぶんだ。


 仲良くなんの早すぎねえか?


 虎徹も愁も誰とでも仲良くなるタイプで多少似ている所がある。

 それに加えて2人とも俺のことが大好きでそんな俺の話で意気投合しているのだろう。

 けれど最初は俺の話ばかりだった内容が段々とお互いの趣味の話や日常の話へと発展していっているのを聞いていて思わず眉間にシワが寄る。


 虎徹は誰とでも仲良くなるタイプではあるが人一倍警戒心も強いタイプでもある。

 それなのに、だ。

 まだ会って2回しか経っていない愁に対して心なしかリラックスして自分の事をさらけ出している気がする。

 まぁ俺が一緒にいるっていうのもあると思うが、それだけでなくこれは愁自身の才能みたいなものだろう。

 愁は人に好かれやすい

 人から愛される才能がある。

 そんな風に思う。

 きっとそれは両親や周りの人間から沢山の愛情を一身に受けて育ってきた環境がそうさせているんだろうなと、愁を見ていると感じる。


 けれど、それにしたってお前ら俺の事、ちょっと放っておきっぱなしじゃない?


 大体愁も愁だ、いくら俺の知り居合だからって、そいつお前の事拉致した奴だぞ?

 危ない目にあいそうになったんだぞ?

 危機管理能力大丈夫か、おい。

 喉元過ぎればなんとやらって奴か?


 いや、まぁ会うように仕向けたのは俺なんですけどね


 それにしたってニコニコと楽しそうに話をする2人を見てもやもやするなんて……


 認めたくねー


 そんな言葉を心の中で吐きながらちらりと時計を見るアクションをして未だ話に夢中になっている奴らに


「そろそろ店混んできたし出るか。」


 と、声をかければ「はーい。」と、素直に頷いた2人を連れて外に出た。



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