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青春エトセトラ  作者: 羽柴 歌穂
第1章
117/182

15.恋する後輩

 愁也 side


「急だけど愁、明日ってひまか?」


 金曜日の放課後、ヒロ先輩との帰り道に突然そんなことを問いかけられた。


「デートですか!?」


 思わず大きな声でそう言えばぺしっと頭を叩かれる。


「ちげーよ、お前に会いたいってやつがいる。」

「俺に会いたい人?」


 そのヒロ先輩の言葉に思わず疑問符を浮かべてしまう。

 そんな俺に再度質問してきたヒロ先輩に特に明日は予定がないことを告げれば朝の10時に学校の近くにあるファーストフードのお店に来るように言われたので訳も分からないままとりあえず頷いた。


 ■□■


「おー愁、こっちこっち」

「ヒロ先輩~。」


 指定されたお店に入ってキョロキョロと店内を見渡していると俺を呼ぶヒロ先輩の声が聞こえてきてそちらへと近づいていく。

 席にはヒロ先輩しか座っていなくて、俺に会いたい人ってのは誰なんだろうなんて思いながら口を開こうとした俺の言葉は第三者の声によって遮られた。


「裕さん、遅れてすんません。」

「おーす、虎徹。お前から呼び出しといて俺より後に来るとかこないだの事と言い、良い度胸してんじゃねーか。すっかり反抗的になっちまってよー。」

「いや、本当すみません。ちょっと緊張しちまって……」

「ははは、冗談だよ。」


 そうやって笑うヒロ先輩にペコペコ頭を下げている人物は俺も知っている人で、と言うかつい先日俺を攫った張本人様であった。

 驚いて何も言えずに固まったままの俺にヒロ先輩が「あぁ。」なんて言って男の人を小突く。

 それに促されてこちらを見た男の人が今度は俺の方を向いて90度の綺麗なお辞儀をしながら


「こないだはすんませんでした!!」


 なんて大きな声で言ってきたので店内の注目が一気に俺たちに集まってあたふたしてしまう。


「え、ちょ、急になんなんですか、え?」


 そんな俺たちのやり取りを見てケラケラ笑いながら「まぁとりあえずお前ら2人とも座れば?」なんて言ったヒロ先輩の声に従って俺たちは席に着いた。


「自分、武林虎徹(たけばやし こてつ)って言います。こないだは俺の勝手な思い込みで愁さんには本当にとんだ迷惑をかけてしまってすんません。俺、あの時の愁さんの言葉に救われました。無理やり酷いことしたのにそんな俺にも優しく声をかけてくれて、きっと愁さんじゃなかったらあのまま裕さんにも自分の素直な気持ちを伝えることができないままでした。今日はそんな愁さんに会いたくて、会ってちゃんとお礼と謝罪がしたくて裕さんに頼んでこの場を設けてもらったんです。」


 そう、一気に言い切った男、改め虎徹さんにどう返すべきか迷って思わずヒロ先輩の方へ視線をやれば顎に手を当てて真剣な顔で


「虎徹の言葉選びはわざとかな、要所要所だけ聞くと妄想を掻き立てられるだろ、これはフラグが立ったか、新しいフラグが立つ展開か!?」


 なんてぶつぶつ呟いていて、その言葉は8割理解ができなかったのでとりあえずスルーすることにした。


「えぇっと、特に怪我とかさせられてないし、結果的にヒロ先輩のカッコイイ所見られて役得とか思ったりしてたんで全然大丈夫ですよ。あ、後その、さん付けやめてください。多分年上、ですよね?」

「愁さんマジ優しい。」

「虎徹は颯希達と同い年だな。」

「やっぱり年上だった。あの、敬語とかも使わなくて大丈夫なんで。」

「おう、じゃあよろしくな、愁、っいってぇ!!」


 俺の言葉に素直に頷いて名前を呼んだ瞬間大きな声を出した虎徹さんに思わずびっくりする。


「だ、大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫……」

「どんくさい奴だなー机に膝をぶつけるなんてー。」

「あはは、改めてよろしく愁、くん……」


 頬に汗をかきながらそう言って手を差し出してきた虎徹さんの様子を少し変に思ったものの何も言わずその手を取り、


「はい、虎徹さん。」


 と、はにかんだ。


「イテ、イテテっ」

「あー悪い悪い、この席狭いからさ、足の置き場所間違えて踏んじまったわー。」

「……うす。」

「ヒロ先輩と虎徹さんって仲が良かったんですよね?」

「おーめっちゃ可愛がってやってたぞ。」

「何だか可愛がるの中身が世間一般の可愛がるとはかけ離れているような想像ができてしまう……」

「そんな事ねぇって、なぁ虎徹」

「……そうっすね!」

「そこは即答しろよ。」

「あだっ。」




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