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青春エトセトラ  作者: 羽柴 歌穂
第1章
112/182

10.恋する後輩

 愁也 side



 そんな男の人の言葉に一瞬目を丸くしたヒロ先輩はガシガシと頭を掻きながらゆっくりと口を開いて


「……悪かった。別に見捨てたつもりは無かったんだよ。チーム抜けたんも特に理由なんてなくて別の事に忙しくなっちまっただけだ。」


 と言った。

 そんな先輩の言葉に


「そっ、すか……」


 とだけ言って男の人は静かに立ち上がり、他の人達と一緒に俺達を置いて行ってしまった。

 そんな後ろ姿にヒロ先輩は何も言葉を投げかけること無く一瞥しただけで、直ぐに俺の方へ視線をやり小さなため息と一緒に言葉を吐き出した。


「お前って弱いくせに度胸は一端だよな。」

「そりゃー昔からこわーい人に連れていかれるのは慣れてますから。」

「はは、笑えねー。」


 そんな会話をしながら2人揃って倉庫を後にする。

 そうして少しゆっくりとした歩調で帰るいつもの帰り道。

 俺は先程から疑問に思ったことを口に出した。


「ヒロ先輩、何で不良やめたんすか?」

「あー、だから言ったろ、他のことに忙しくなったって。」


 そう言いながら目線を合わせようとしないヒロ先輩にますますその他の理由が気になってくる。


「だーかーらーその忙しいの理由が聞きたいんすよ!さっき言葉濁したでしょ。」


 そんな俺の言葉に観念したのかヒロ先輩が口を開いた。


「コミケ出るようになって原稿で修羅場潜るようになったから。」

「はい?」

「高校生になったらコミケ出るのが夢でさー、でも実際出てみることになったらもう大変で大変で完徹とかめっちゃしててさーあ、これ喧嘩に明け暮れてる暇ねーわってなってさ。そもそも不良やってたのもまぁ、親父への反抗とかもあるけれどそれより何よりちょっと憧れてたんだよな……ほら、よく漫画にも出てくるだろめちゃくちゃ喧嘩が強いヤンキー。丁度中学の頃にハマってたヤンキー漫画のライバルかっこよくてさー。」

「……それあの人に言わなくて正解ですね。」

「だろ?」


 いや、そんなキメ顔で言われましても……


 全く、この人は


「あー何笑ってんだ?」

「何でもないですよ~。」


 そう返す俺に何が言いたげなヒロ先輩の顔を真っ直ぐ見る。


「ヒロ先輩ありがとうございました。結果的に助けてもらう?事になって。久々の喧嘩するヒロ先輩の姿かっこよかったっす!惚れ直しました。後、さっきのあの大切な奴っての俺自惚れちゃってもいいっすか?」

「バーカ、あれは大切な後輩って意味だ。勝手に勘違いすんなよ、恥ずかしい奴。」


 そんなつれない先輩の言葉にちぇーっと言う。

 けれどそっぽ向く先輩の耳は真っ赤で俺はつい笑ってしまう。


「また、笑ってる。そもそもお前俺を好きだってんなら俺より……いや、せめて俺と同じくらいには強くなりやがれ。」

「え~。喧嘩とかまじ無理っす」

「もやし」


 ははって笑うヒロ先輩の笑顔が眩しくてきゅぅんとしたから


「ヒロ先輩、好きです。」


 と告白してみるものの


「お前がもっと頼りになる奴になったらな。」


 そう言ってうまくかわされてしまう。


「でも何かあっても裕先輩が助けてくれるんでしょ?」

「調子にのんなばーか。」


 あぁ、俺の恋が実る道のりはまだまだ長そうです。





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