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青春エトセトラ  作者: 羽柴 歌穂
第1章
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79.恋する幼馴染

 奏汰 side


「颯希、その、俺の好きな奴、の話だけどな……」

「いや、もういいいよ。そ、そーうちゃんに例えす、すす好きな人ができたとしても俺の事大切に思ってくれてるってことは分かったから大丈夫!!全然大丈夫!!!」

「全然大丈夫に見えないんだが……」

「だいじょぶだよ!」

「いいから聞けって」

「やだ!」

「颯希!」

「だってやっぱり心の準備が「お前だよ!!」へ……?」

「っ~だから!俺が好きなのはお前!向井颯希!!俺が世界で一番大好きで大切で守りたくて笑顔にしたくて笑顔を見てえ奴はお前だけなんだよ!颯希!!」

「……」

「な、何か言えよ。」


 決死の覚悟でした告白に対して颯希はぽかんと間抜け面を晒したまま微動だにしない。

 そんな状況に居た堪れず少し語気を荒げてしまう。

 次の瞬間


 ぼふんっ


 だなんて効果音がしそうな程一気に顔を赤くした颯希の姿がそこにはあった。


「え、あ、はい、ソデスカ。」

「何で片言なんだよ。」

「あ、いや、その何ていうか予想していなかったと言うかえっとえっとぉ……お、おれかぁ……そっ、か……そっかぁ……あは、ははは、」

「ちょ、何でまた泣くんだよ!?」


 脳内でうまく処理できなかったのか急に笑い出した颯希の目から大粒の涙がポロポロ溢れ出すもんで俺は慌ててしまう。


「そんなにショックだったか!?嫌だったか??そりゃ、信頼してた幼馴染からそんな風に見られてるって衝撃だよな、悪い……お前の事余計傷つけちまった……」

「ちがっ、違うよそーちゃん!!」


 ガシッ


「うおっ急に肩掴むなよ。」

「ちがう、ちがうんだ……」


 俺の肩に頭を押し付けながらちがう、と小さく繰り返し呟く颯希は小さな頃、俺と喧嘩した後上手く自分の言いたい事を纏められなかった時の姿と重なって俺は背中に手を回しながらなるべく優しく声をかけた。


「分かった、分かったから。ほら、ゆっくりでいいから言ってみ、お前の言葉ちゃんと待ってやるから。」

「う、ん、うん……。あの、あのねそーちゃん。」

「ん?」

「……お、おれも、俺もね!そうちゃんの事好き、みたい。」


 てん、てん、てん


 コイツハイマナンテイッタ


「はぁ!?何だよそれ!」

「急に大きな声出さないでよ!」

「あ、悪い、ってそうじゃなくて!お、お前もおおおおれのこと好きって、ていうか、みたいってなんだみたいって!?」

「だだだって俺だって、さっき気がついたんだもん!!」

「はぁぁぁ?!お前分かってんのか、俺の好きってお前とキスしたいとかそれ以上のことしたいって意味の好きなんだけど」

「わ、分かってるよ!俺の好きだって気持ちもそーちゃんとき、キスしたいって、そ、それ以上のえ、っちもしたいって込で好きって意味だもん!!」

「おまっ、えっちって……」

「だって、だってだって、誰にもそうちゃん取られたくないって、そうちゃんに他の人とそういう事して欲しくないって俺以外見て欲しくないってそう思ったんだもん!!それってそうちゃんの事が好きって、事じゃん……」

「お、おう……」


 まじか

 いやいやいや、まじか


 突然の事で俺の頭はショート寸前。

 まさに晴天の霹靂ってやつだ。


 いや、だって普通思わないだろ、両想いだなんて。そんな夢みたいなこと。


「そうちゃん!?急にほっぺなんてつねりだしてどうしたの!?」

「いや、これ夢じゃねーかなって。」

「現実だよ!!!」

「いたい……って事は現実か!?」

「そーだよ!!ぷっ、あははははは、」

「何だよ急に……」

「いや、だって、そーちゃん可笑しいんだもん。ははっ」

「おーまーえーなー!こちとらお前の事がずっと好きだったんだよ!それが両想いとかそんな直ぐにはい、そうですかって信じられるわけねーだろ。」


 そうだ、ずっと、ずっと好きだったんだ。

 多分自覚するよりもっと前から俺は、こいつの、颯希の事が好きだったんだ。


「何でお前顔真っ赤なの。」

「な、んでってそうちゃんがこっ恥ずかしいこと言うから……」


 また声に出ていた。

 けどもう誤魔化さなくていいんだ。

 真っ赤な顔を腕で隠しながらぷるぷる震える颯希を見ていると胸の奥から愛おしさが湧き上がってきて


「なぁ、」

「何?」

「キス、してもいいか?」

「え、」

「あ、いや、やっぱいいまだ付き合ったばっかだもんな。はえーよな。」


 あー、がっついた……

 流石に付き合ってすぐキス、とか……

 いやいやいや、でも仕方ねーじゃん!?

 だけどさっきも思ったがずっと好きだったわけでそりゃキスくらいしてもいいじゃんとか思ったわけで……


「ぃよ。」

「へ」

「だから、きす、してもいいよ。」


 そう言う颯希の顔は更に真っ赤で俺もつられて顔が熱くなる。


「じゃ、じゃあするぞ。」

「う、ん。」


 こんな緊張今までしたことねーんじゃねーかってくらいに心臓の音がうるさく耳の奥で反響する。

 目を閉じる颯希の頬に手を置きゆっくり顔を近づけていき……


 ガチっ


「ったぁ~」

「わ、わりぃ!」

「ちょっ、もーそーちゃんキス下手すぎ!て言うか緊張しすぎ、もー……ぶはっ、あははははは、ダメだ、わら、いが止まんない、ははは」

「し、しょーがねーだろ!?初めてなんだから!!あー、もう笑うなよ!!」

「あはははは、って、え、」


 グイッ


 ちゅっ


「んぅ、」

「…はっ、どうだよ。これなら文句ねーだろ。」

「……」

「何か言えよ。」

「はぁ~。」


 何にも言わない颯希に流石に強引だったかと焦り始めた瞬間、突然ため息を吐きしゃがみ込んだ。


「さ、颯希?」

「もー何なの、そうちゃんほんと何なの。」


 そうぶつくさ言う颯希の隠しきれていない耳は真っ赤で


「ふんっ、笑った仕返しだ。」


 と、ちょっと得意気に言えば「あー。」だなんて唸り出す。

 そうやって動こうとしない颯希の腕を無理やり引っ張り立ち上がらせる。


「おら、道の真ん中でしゃがみ込むなよ。」

「道の真ん中なのにキスしていいか聞いてきたのは誰だよ。」

「おっ、まえ、それはお前がいいって言ったから……あーもう!ほら、今日も母さん達帰ってこねーんだからスーパー行こうぜ。」

「うー。」

「んな真っ赤な顔で睨まれても可愛いだけだな。」

「んなっ、かわ、かわいいって……」

「そうやってすぐ真っ赤になる所もすっげぇ可愛い。」

「急にどうしちゃったのさそうちゃん、そんな事言うキャラじゃないでしょ!?」

「いーや、俺は普段からずっと思ってけど口に出さなかっただけだ。でも、ま両想いってんならこれからたっぷり言ってやるよ。可愛いってな。」


 そう言えばワナワナと何か言おうとしては口を噤んで最終的に


「そうちゃんの意地悪!もう知らない!バーカバーカ!!」


 と言いながら走り去っていった。

 そんな颯希の背中を見ながらいつぞや見た光景だなと思う。

 そしてあの時とは違う穏やかな気持ちで「バカって子供かよ」と呟いた俺は颯希の背中を追いかけた。


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