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幕間-執事長の日常-

エスタール家に仕える執事たちの筆頭を務めているセスアルド・華楊の朝は早い。

アザレアから貰った執事服ー中華風の漆黒の衣服。丈長の上衣は袖口が広く、その下に履くズボンも広く作られている。白虎を象った刺繍が施されているーを着込み、彼がまずやることは使用人のみの朝会である。


「さて、皆揃いましたか?」


「「「「「「はい」」」」」」


「では本日の朝会を始めます。まずメイド部より報告をお願いします。」


「はい。本日は旦那様が王城へ、奥様がアデリッド伯爵夫人の御茶会へ行かれます。アザレアお嬢様とアルフォード様は朝食が済みましたらファナカード学園へ御挨拶に、ゼクシアート様はギルドへ、ヴィアインお嬢様は戦闘の授業がございます。」


「ありがとうございます。では…」


朝会では各使用人の長達が報告を行い、情報を共有しているのだ。


「警備部ありがとうございます。では最後に暗部お願いします。」


「昨夜、屋敷の周りを彷徨いていた者が3人いたので捕らえた。尋問したが口を割らない。」


「ふむ。貴方がやって口を割らないのですか?」


「お手上げです。」


「わかりました。ではラインにやらせなさい。」


「…はい。」


「ですが、いくら貴方が痛め付けるのが好きではないとはいえ、あまり甘いとそれがいつかエスタール家の弱味と成り得ます。ああ、貴方の性格上、暗部よりも警備部の方が良いかもしれませんね。検討しておいてください。」


「なッ!!」


「そんな驚くことですか?エスタール家にとって常に最善を選択することが我々、華楊一族の信念であり誇りであり存在理由です。その方面に向かぬ者をつけていてはそれが揺らぎます。だからこそ貴方は選択なさい。甘い自分を殺すか、道を変えるか。」


「承知…しました。」


エスタール家に仕える使用人は全て黒髪黒目と首から肩にかけてに魔法の刺青が入っている。その容姿をある裏組織に目を付けられ、一族全てが捕らえられていた。名を華楊という一族だ。心が折れそうだったその時に助けてくれたのがエスタール家だった。それ故にエスタール家に絶対の忠誠を誓う一族。もともと、才能溢れる者達だったため、今ではメイドでありながら戦闘もこなし、警備でありながら礼儀作法も完璧という使用人集団ができあがったのだ。そして、セスアルドは華楊一族の長。エスタール家以外であるならば命令できるのはセスアルドだけだ。


「では、以上で朝会を終了致します。」


朝会が終わると散っていく使用人達。しかし、やることはそれぞれでの鍛練である。セスアルド曰く、「エスタール家の使用人たるもの完璧でなくては。」とのことだ。


ちなみにセスアルドが行う鍛練は走り込み、素振、指一本で行う腕立て伏せ、天井に足の指の力だけでぶら下がり行う腹筋運動などを他の者の15倍ほどが準備運動だったりする。



そんな鍛練が終われば朝食の用意をし、主人達の朝の支度を行う。それが終われば朝食の時間だ。そして毎回使用人達の間で熾烈な戦いが起こる。理由は…


「「「「「「いただきます」」」」」」


他の貴族のように無駄に大きいテーブルで離れて食べるわけではなく、エスタール家ではそれなりの大きさのテーブルを使っている。それがエスタール家の仲の良さを象徴しているようで、「やはり我らの主は最高だ」と思える食事の時間は使用人達の中で取り合いに成るほどの人気なのだ。


朝食が終わればセスアルドは雑務に追われる。リヒトに頼まれたもの、セーラに頼まれたもの、ゼクシアートに頼まれたもの、アザレアに頼まれたもの、アルフォードに頼まれたもの、ヴィアインに頼まれたもの、そして自分の仕事。


ある日には、


「さて、皆、庭に各自武器を持ってきなさい。」


と言い、セスアルドが握っているのは大鎌。死神が持っているような大鎌がセスアルドが愛用する武器なのだ。これを持ち、やることは、庭の手入れだ。木の剪定や草刈りなどを刃物系の武器を持つ者達で行うのだ。



またある日には、


「セスアルド様、不審な者達が敷地の外を彷徨いております。」

「人数は?」

「はい。15名です。」

「わかりました。では警備部と暗部と執事合同で狩りましょう。用意なさい。」


怪しい者を狩るための指揮を取ったり、



別の日には、

「セスアルド~!!お庭にまた新しくお花を入れるわ!!」


「左様でございますか。それはよろしゅうございました。では花の名をお聞かせください。ご用意致します。」


「うふふ。ンサーリュの花よ。国境にある拒絶の谷に咲く、綺麗な青い花弁を持つとっても刺激的なお花らしいわ。」


「承りました。では私が採取して参ります。」


「ふふ。お願いね。」


エスタール家の庭に植えるために人が立ち入ることのない場所へと採集に行ったり、


「セスアルド!!あたしと模擬戦してーっ!!」


「はい。ヴィアインお嬢様。」


「ルールはー…」




「私の勝ちですね。お疲れ様でございました。」


「あーあ、今日も負けちゃったーっ!!さすが鉄人!!強いなぁー」


「…??なんですか鉄人って…?」


ヴィアインと模擬戦をして最近付けられた渾名を知ったり、などなど。



そして今日も今日とてセスアルド・華楊はエスタール家の執事として完璧であることを求めて、エスタール家のために働く。


「皆様、おはようございます。」


「ああ。おはよう。」

「ふふ。おはよう、セスアルド。」

「クククッ鉄人。はよ。」

「おはようセスアルド。今日もよろしくね?」

「おはようございます。」

「おっはよー、セスアルド!!」



「今日も誠心誠意、仕えさせて頂きます。」

(私達の敬愛する皆様の為に。)


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