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2.狼狽する若者 4
「一つお伺いしてもよろしいでしょうか。その……なぜ私を?」
太陽神殿の十年祭、と塔長は確かに言った。大陸全土から人が集まる大きな祭りだということくらい、ユレイオンでも知っている。
そんな大きな祭りの儀式となれば、重鎮が選ばれるのが道理だ。まだ個室ももらえぬ銀三位のひよっこ風情に回ってくるようなお鉢ではないはず。
「つまらん質問はするな」
長はさらりと言ってのけた。
「風の加護を受けたわしでは務まらんからじゃ。それ以上の理由はない」
「そうですか」
「ああ、それと、言い忘れておったが、他の面子が爺ばかりではつまらんと思うての。若いのを一人連れて行くことにした。多少世間知らずゆえ、そなたの監視下に置いてくれ。わしらではわからんこともあるしの。明朝引き合わせるゆえ」
「は? 私の下に、ですか?」
塔長の言葉から察するに、塔の人間ではないのだろう。他人とかかわるのは御免被りたいところだが、塔長は有無を言わさなかった。
「明日になれば分かる」
意味ありげな塔長の笑顔が、ユレイオンには不吉なものに思えて仕方なかった。




