8.熱 7
長老たちが祭場に入ると、塔長がすでに待っていた。
「遅かったのう。して、ユレイオンは行ったか?」
「なんじゃ、お見通しか。不景気そうな面をしておったから尻を叩いておいたがの」
ラマカ師が言うと、他の長老たちもうなずいた。
「そうか。それにしても、ラマカ殿はああいう手合いは嫌いかと思っておったがのう」
「わしは能力の上にあぐらをかいて何もせん鼻持ちならん奴が嫌いなだけじゃ」
「そうであったかのう?」
エスター師は髭を引っ張りながら口を開いた。
「四人目がユレイオンに決まったと聞いた時にはずいぶん心穏やかではなかったようだがのう」
「そなたは涼しい顔をして何事もそつなくこなす若造には厳しいからの」
「――そんな話をするためにわざわざこの場に呼んだわけではなかろう? 塔長」
ラマカは苦々しい口調で言葉を遮った。
「捜索に出ていた神官たちを呼び戻したことで、大神官が戻ったらしいという噂はすでに他の神官にも伝わっておる。宿舎は蜂の巣をつついたような騒ぎじゃぞ」
「そうであろうの。神官長が飛んできたわい。戻った大神官が自分のところではなくわしらのところに来たことでお冠のようじゃったがの」
「それは仕方がなかろう。しかし、この時期に祭に関わっておる大神官が外で目撃されては、それこそ大騒ぎになる。それぐらいは理解してもらったのじゃろう?」
しかし塔長は首を振った。
「それは納得してもらえたがのう。まあ、結果としてその心配はなかったが」
「……どういうことじゃ?」
塔長は再び首を振った。
「使者に託された手紙によると、閉鎖された神殿に戻ろうとしても門前払いに遭ったそうじゃ」
「何? 大神官の顔を知らぬ神官なぞおるまいよ」
「わしも信じられんかったよ。まさか、あのような姿になっておるとはのう」
「あのような姿?」
「そなたらは以前セイファード殿と会うたことがあったな?」
「少なくとも十年前の十年祭では会うておるの。九つになる子供があるとも聞いた」
「そうじゃ、将来が楽しみな息子じゃった」
「うむ、豊かな黒髪が羨ましかったものじゃ」
塔長はため息をついた。
「今のセイファード殿は、わしらと同じく白髪白髭の老人じゃ」




