4.祭りの始まりは危険が一杯 1
神殿の鐘が高らかに鳴り響く。それに応えるように、町のあちこちからも鐘の音が響き始めた。
オスレイルは飛び起きた。まだ夜明けには遠く、部屋の中は暗い。手探りで明かりを灯すと、暗がりでアマドも起き上がっていた。
「なんだよ。今の音」
「知らねぇよ。ここんとこまともに寝てねぇんだ、起こすなよなぁ」
毛布を抱き込んで、再び寝台に倒れこむ。階段を上がってくる足音が聞こえた。
「おはよう、お寝坊さんたち。ほら、起きた起きた」
明かりを持って入ってきたのはやはりミリアだった。
「ほら、しゃきっとしな。祭りが始まるんだから。あ、これ、あんたたちの服」
服を渡し、ミリアは窓に歩み寄って内側からよろい戸を閉めた。
「今日一日はこの窓を開けないように。特にこの窓は大通りに面しているから、絶対開けないこと。ああ、それからまず裏で水浴びておいで。それに着替えるのはそのあとだよ」
ミリアに追い立てられて部屋を出る。階段から見下ろしてふと気がついた。
「なあ、なんか皆同じ服着てないか?」
階下に集っている泊り客のほとんどが、同じように薄い黄色に染められた衣装をまとっている。例外と言えば、魔術師の黒衣ぐらいか。
「これも同じ色だし。何か意味があるのかな」
オスレイルは腕にかけた新しい服に目をやった。
「ま、そりゃそうだろ。神殿の祭りで意味がないことなんかひとっつもないぜ」
大して気にも留めない風でアマドはあくびをした。
「ま、きちんと伝わらずに意味不明になっちまってることもあるけどな。って、お前、神殿にいたんだろ? なんで知らないんだよ」
「いたって言ったって、ほんの小さいときだし」
「そりゃそうだけど、親父さんから何も聞いてないのかよ」
「知らないよ。知ってたら聞かない」
「ま、そりゃそうか」
「あんたたち、何のんびりしてるんだいっ! とっとと身を清めておいでっ」
ミリアの声が頭上から飛んでくる。二人はあわてて風呂場に向かった。




