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3.困った子供たち 12
「さっそくやってくれたか。予想よりは遅かったがのう」
シャイレンドル失踪の一報を聞いて、塔長はなぜか嬉しそうだった。
「……は?」
てっきりきつい叱責を食らうもの、と覚悟して深々と頭を下げていたユレイオンは、顔を上げて長を見た。
「ああ、すまんすまん。そなたには説明しておらんかったのう。実は、この町はシャイレンドルの故郷なのじゃ。まあ、帰郷は十年ぶりじゃろうがの。身内はすでにないと聞いておるが、知り合いは残っておろうから、挨拶にでも行ったのであろうよ。心配せずともよい。町の結界はすでに張ってある。どこにも行けぬよ。ここからでも町にいる彼を監視することはできよう?」
「それは、そうですが」
相手の波長さえ分かっていれば、水鏡に呼び出すことは簡単だ。自分の得意分野でもある。
「ならば問題あるまい。あとで彼を探し出して、監視を続けてくれればよい。それより他の皆を呼んできてはくれぬか? 食事が終わったら次は神子の神降ろしの準備じゃからの」
「分かりました」
それならそうと最初から教えておいて欲しかった。
長の話が本当ならば、別に監視も何も要らなかったのではないだろうか。
――今回の塔長は容赦ないらしい。
その台詞が不意に脳裏に浮かんだ。この人の言動には必ず裏がある。そう感じずにはいられなかった。




