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3.困った子供たち 3
宿屋の玄関をくぐると、外とは別の喧騒に包まれた。
一階は食堂に鳴っていて、食器の音や客の笑い声が響く。厨房からは料理人の怒号が飛んでくる。宿屋の受付は次々到着する客でてんてこまいだ。
アマドはと見れば、客の荷物を担いで部屋に案内するところだった。こざっぱりした格好に着替えて忙しく働いている。
「オスレイル!」
客の応対をしていた女性はオスレイルを見つけると声をかけてきた。
「おばさん、ご無沙汰しています」
「おばさんだなんて水臭い。ミリアと呼んどくれよ。今戻ったのかい? よく休みが取れたねえ」
抱擁を交わす。最後に見たときよりすこしふくよかになった気がする。
「ええ、今年は十年祭がありますから、特別にお休みをいただきました」
「そうかい、よかったねえ。もしかしたら間に合わないんじゃないかと思ってたよ。今忙しいから、部屋にあがっといとくれ。いつもの部屋、空けてあるから。あとで食事持ってったげるから」
部屋の鍵を渡すと、ミリアは受付に戻っていった。
いつもと変わらない喧騒、いつもと変わらない匂い。
帰ってきたと実感しながら、オスレイルは鳴れた足取りで階段を上がっていった。




