3.困った子供たち 1
カリス。
大陸の南に位置するキレニア諸侯領のひとつ、クスファ公国の北の入り口にその町はあった。
三方を山で囲まれたこの町は昔から交通の要所であった。
北に広がる大国リムラーヤとつながる唯一の山道は冬になると完全に雪で閉ざされる。大国の野望からこの地域を何度となく守ってきた天然の要塞でもあった。
南に広がる肥沃な大地は公国に豊かな実りをもたらしてくれる。
そんなカリスの町外れに、太陽神殿は建てられていた。
町の北門から街道をそれて延びる白い一本道は遠目でもよく見えた。白い石造りの堅牢そうな建物が木々の合間からも見える。
久々に故郷の土を踏んだオスレイルは、馬を引きながら黄金に彩られた白亜の館を懐かしげに眺めた。
十年ぶりの祭りを前に、町はいつもにない賑わいを見せている。神殿への道も夕刻だというのに人で埋め尽くされている。
「まいったな」
町を南北に走る大通りには、荷車を連ねた隊商や身分が高い人の馬車がひしめく人々の波に立ち往生しているのが城門からでも見て取れる。なれない人ごみに気が立っている馬をなだめながらようやく城門をくぐると、喧騒が一段と高まった。
通りに面した宿屋からは夕餉の煙が上がっている。露店から漂ういい匂いに気を取られながら、じりじり進む。
宿にたどり着いた頃には太陽はすっかり没した後だった。




