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ダラダラ異世界チート食べ歩記  作者: なすびいふん
25/26

急がば回るよりもダラダラがいい

なんだか何を書きたいのかが分からなくなってきた。

 





 宿に帰ってアクアに追加の刑を食らわせた翌日。

 特にやることもなかったし、そもそもなぜ毎日外に出かけなくてはいけないと考えていたのだろう。

 と考え、最近おろそかになっていたアニメを消化することにした。

 アクアとフォンは出かけるらしいので、俺とルナは宿のベッドに横になって、ひたすらにアニメを見て時間を潰した。

 そういえば昨日宿に帰ってから、前にジャーキーとか作るとか考えてたなと思って作っていたな。

 スライスした魔物の肉を、醤油、塩、コショウ、赤ワイン、すりおろした玉ねぎやリンゴもどき、その他にニンニクや香草などを混ぜた調味液に浸して放置していた。

 昼ごろ見たら、良い感じに味が染み込んでいたので、外で天日干しすることにした。

 もし乾ききらなかったら、あとで魔法でドライヤーみたいにして乾燥させればいいだろう。

 そんな感じで、久しぶりに趣味でダラダラとした一日を過ごした。

 翌日、ヴァルトがお金を届けに来る日なので、昨日同様にぐうたら過ごすことにした。

 朝起きてからずっと、ベッドで横になってアニメを見ていたら、昼前くらいであろうか、部屋のドアがコンコンッとノックされた。


「はいはーい。どちら様で?」

「うむ、ヴァルトだ。素材の報酬を持ってきた。」

「ほいほい、今開けますよっと。」


 ドアを開けると一昨日見た第一王子就きの近衛騎士ヴァルトが目の前にいた。

 その右手には大きな袋を持っていた。


「それでは早速だが、これが報酬だ。詳細はこちらのリストを見てくれ。」


 そう言ってお金の入った袋と、何枚かの束ねられた書類を渡される。

 ふむ、いくらくらいになったのだろうか。

 まだ話が続いているので、話の途中でお金を見始めるのは失礼だと思って我慢した。

 書類の方を見ると、かなりの数が書き込まれていた。




 査定リスト

 ・デビルクラーケン(本体)×1 2500000

 ・デビルクラーケン(足)×9 4500000

 ・アイアンリザード×4 36000

 ・キングベアー×3 75000

 ・ウェアウルフ×13 52000

 ・キラーボア×6 36000

 ・ドレイク×2 300000

 ・オーク×8 16000

 ・コカトリス×7 35000

 …etc




 とこんな感じに記されていたのだが、クラーケンの値段が酷い。

 それはもう酷い。

 なんか桁が違う。

 こんな感じで延々と書き連ねられており、合計は13271000ファルとなった。

 なんかもうお金がいっぱい手に入り過ぎて、金銭感覚破綻してきた。

 てか初めて白金貨見たよ。

 こんな5cmくらいの小さな硬貨が一千万円とか誰が信じるよ。

 いやはや、これからは魔物狩るの自重しようかな。


「うん、もう数えるの面倒だからいいよ。」

「……まぁカズキ殿がいいなら構わないが。」


 呆れられた。

 しょうがないじゃん。

 こんな数の金数えるの面倒だし、なんかもう多少誤魔化されても良い気がするし。


「そういえばカズキ殿、ギル様が、もし街を出るのなら一声かけて欲しいと申していた。」

「ん、まぁ構わないけど。その時はまた会わないと駄目か?」

「いや、街を出たことを知るためだけらしいから、正面入り口にいる兵士にでも伝えてもらえればいい。面倒かけるが頼む。」

「まぁそんくらいなら。」


 それを伝えるとヴァルトは去って行った。

 さて、今日はもうやることないし、何するかな。

 この街来てから(てか来る前もだけど)身体動かしてないし、たまには身体動かすか。

 ルナとアクアはアニメを見たいらしいので、操作方法を教えてフォント一緒に都市の外に出る。

 なんか寝るとき以外で初めてこいつと二人でいる気がする。

 寝る時もこいつすぐ寝るから話し相手にもならないからな。


「で、フォンは何する?俺は銃の練習でもしようと思うんだが。」

「うむ、自分はいつも通り剣の練習をしようかと。」

「ふーん。」


 こいつも飽きないねー。

 いやまぁこの世界はやっぱ自分を鍛えることが楽しいと思える世界だから気持ちは分かるけどな。

 ぶっちゃけ数値は見えないだろうが、気分はロールプレイングゲームだからな。

 こんな言い方失礼だけど。

 ふむ、剣か。

 そういえば――


「剣と言えば、魔力剣って知ってる?」

「っ!?」

「いや、なんかどっかで聞いたことあったんだけど。その反応、フォンって使えたりするの?」

「あぁ、まぁ一応な。」

「ふーん。なんか名前カッコいいけど、それってどんなものなの?」

「魔力剣は名前の通り剣に魔力を通らせるのだが、その時に込める属性によって色々あってな。火を込めれば敵を焼切る、風を込めれば敵を切り裂く、といったある意味剣士の奥義ともいえる。使える人は滅多にいないがな。」

「へぇ。じゃあフォンって実はすごい人だったり?」

「まぁ仮にも騎士団の副長を務めていたからな。」

「何それ初耳。」


 そんなことを一回も話してくれなかったし、そもそも魔物と戦ってる時、そんなに凄そうに見えなかった。

 これからもうちょいこいつの戦い見るようにしてみるかな。


「ちなみに、フォンは魔力剣完璧に使えるの?」

「うむ、私が使えるのは風と水属性だけだな。他は魔力の消費が激しくてな。その点、この二つは攻撃の瞬間に使えばいいだけだからな。」

「ふーん。」


 どのくらいの威力なのか気になって、よく日本刀などの試し切りに使う巻藁を創造。

 一回普通に切ってもらうことに。


「ねぇねぇ、ちょっとこれ普通に切ってみて。」

「ん、どれ。――ふんっ!」


 ズバッという音と共に斜め一線に切れる巻藁。

 もう一つ巻藁を創造する。


「今度こっちを魔力剣で切ってみてくれない?」

「ん、まぁ構わんが。――ふんっ!」


 今度はスパッと言う音と共に斜め一線。

 さっきの巻藁と比べてみると、最初の方は切り口がズタズタだが、後の方は切り口が綺麗で繊維があまり痛んでいなかった。

 これは魔力剣の凄さを思い知ったわ。


「ちなみに本気で魔力を流してきればこれくらい――ふっ!」


 20cm位の石を空中に放り投げて、それを横一線。

 石が上下の二つに分かれた。


「ってえぇ!すごっ!魔力剣すごっ!」

「だろうだろう。」


 胸を張ってドヤ顔をするフォン。

 うぉ、超殴りたい。

 思い立ったが吉日、銃にゴム弾を込めてフォンの腹にぶち込んでおいた。

 くらって悶絶するフォン。

「な…ぜ…うぐっ?」とかいう声が聞こえる気がするのはスルーしておく。

 さて、じゃあ俺も特訓でもしようかな。

 遠くに人型の的を準備して、急所を的確に打つ練習や無力化だけする方法などを考えながらしばらく練習を続けた。

 その日の午後はそんな感じで適当に時間を潰した。






 ――――――――――――――――――――






 二日後、ジャスカの街を出て、次の街を目指すことに決めた。

 そういえば、結構色々な魔物の討伐したし、ましてやワイバーンとか討伐したのに、なんでギルドランクとか上がらないんだろう?と思ってふとギルドカードを見たら、いつの間にかDランクになってた。

 これわざわざ更新しなくてもランク上がるのね。

 しかも出発の報告がてら王城の正面入り口の兵士に挨拶に行ったら、ヴァルトがいて、ギルがご丁寧にデビルクラーケンの分も加算してくれたことを教えてくれた。

 うん、てかこれのせいで誰が倒したかばれたりしないのかね?

 とそんなことを考えてたが、もうポイントは加算されてるから考えても無駄だけど。


「さて、それじゃあ次はどっち方面に向かって旅する?」


 どう考えても行き先を街を出てから決めるのは間違っている気がするが、二人にルナと俺が今までどういうルートを旅してきたのかを教えて、これからのルートを相談してみる。


「ふむ、ここは丁度リアスの真南位に位置しているし、ここより北西の方ならまだ行ったことがないのでは?我々が目指そうとしていたイルサの街も、丁度そちらに位置しているし。」

「イルサの街って助けを乞うために向かってたところか?ふむ。」

「逆に、ベイルに戻ってさらに北東に行けば、私たちの住んでいた国、コルトルスがありますよ。今向かうと私たちがどうなるかは分かりませんが。」

「いや、それ絶対面倒事だろ。嫌だよそんなの。」


 なんでわざわざ敵地のど真ん中に人質連れて突っ込まなきゃいけねえんだよ。

 ドMの所業だよそれ。


「うん、イルサ方面に行こうか。」

「まぁ私も何も考えなしにはあの国には戻りたくないからな。」


 というわけで、次の目標はイルサ方面に向かうことに決まった。

 そうと決まれば、早速出発しようか。

 いつも通り、街から少し離れた場所で車に乗り込み、エンジンをかけ走り出す一行。

 出発してしばらくして、そういえばまた俺運転ばっかになるの嫌だなと思い、途中途中でフォンに運転の仕方を教えることにした。

 そのことを告げると、「無理!」と頑なに拒否されたが、馬車より楽だからと必死に説得した末にようやく運転させることに成功。

 ATだったので、教えることは大したことがない。

 そのため、一時間もしないで普通に運転出来るようになっていた、が、ブレーキの踏み込みが強くて、毎回急ブレーキのようになって少し心臓に悪い。

 ルナとアクアもそこに関して愚痴を垂れて、フォンは少し居心地が悪そうにしていた。

 なにはともあれ、新しく運転手が出来ておかげで、俺は助手席でぐうたらすることが出来るようになって非常に嬉しい。

 さすがに一日7、8時間ずっと運転するのはきついんだよね。

 交代で運転出来るだけで気持ちが楽になるな。

 と、そんな感じで旅を続けた。






 ――――――――――――――――――――






 それから一週間、魔法の練習や剣、銃などの特訓はするようにしたが、魔物は倒しすぎると前のように処理に困ることになる。

 お金は、クラーケン討伐で得たお金が有り余っているので、無理に倒す必要はない。

 なので、出会っても出来る限り逃げ続けることにした。

 馬車なら逃げるのが難しいのだろうけど、いかんせんこちとら車なので、余裕で逃げることが出来る。

 てか、魔物から逃げているうちに、フォンがドリフトとかし始めるもんだから追い駆けている魔物がこちらに追いつけなすぎて可哀想である。

まぁ同情はしたくないけど。

 後部座席の二人はアニメに夢中で、アニメ以外の時間では窓から外に向かって魔法の練習をしたりと、そこそこ暇しない生活を送っていた。

 と、そんなくだらない旅路。


「しかし、旅って暇なもんだねぇ。」

「いや、普通はこんな感じではないのだが……。」

「へぇ、実際ってどんな感じなの?」

「うむ、食料は保存食がメインだからでこんなに美味しくはないし、馬車も車に比べたら遅いし揺れるし、下も固いからすぐに尻が痛くなる。それに、馬車を守らなくてはだから、魔物に襲われたら絶対に戦わなくてはならないからな。」

「ふむ、それ考えるとこれは完全にズルだな。」

「うむ、ズルだな。」


 まぁそりゃそうだわな。

 何でも創造魔法やらボックスやらで解決って、ただのチート便りの旅って感じだしな。

 チートがなかったと思うと、俺もうこの世界でやっていけないわ。


「しっかし、次のイルサの町ってどんなとこなの?」

「うむ、まぁ何の変哲もない一領主の収める町だな。」

「ふーん。なんかパッとしないのな。」


 じゃあ次の町もまたすぐに旅立ちそうだな。

 てか俺はいつになったら定住することになるんだろうか。

 そんなことを考えながら4日間ほど車を走らせていくと、イルサの町と思われる姿が見えてきた。

 さてさて、次はどんな出会いがあるんでしょうかね。






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