新メニュー
なんか一日100人200人の閲覧数だったはずなのにかなり増えててビックリした。
ギルドの依頼ということでやってまいりました。
お食事処めしくーべ。
開いていたらお昼ご飯でもと意気揚々と来たが閉まっていた。
外の看板を見たらどうやら夜しかやっていないらしい。
じゃあ頑張れば、今日にでも新料理をお披露目できるかもしれない。
そうと分かれば、気合入れて頑張るかな。
入り口のドアに手をかけ、中に入って行く。
「すみませーん。」
「あいよ、お客様かい?悪ぃけど、昼はやってないんだ。また夜にでも来てくんないか?」
中から出て来たのは、40、50歳くらいのおっさん。
なんかどっちかというと鍛冶とかやってそうな雰囲気の、そこそこマッチョなダンディーなおっさん。
この時間に店にいるってことは、この店の店長かな?
「あ、いえ、ギルドの依頼で来たんですが。新しいレシピとかなんとか。」
「お、そうだったか!悪いな。随分と前に出したのもそうだが、あんな依頼受ける物好きがいるとは思わなかったからな。あ、俺は店長のガントって言うんだ。よろしくな!」
やはり店長だった。
てか、確かに冒険者ってみんなプライドが無駄に高そうなイメージあるし、一攫千金って考えたら討伐やら駆除の方が報酬も高いしな。
「えぇ、自分は食べることが大好きなので興味を持ちましてね。あ、自分はカズキって言います。こちらはルナです。」
「ん、よろしく。」
「おう、そうかそうか。まぁ何もない所だがあがってくれや。」
「はい、失礼します。」
「ん。失礼します。」
ガントに連れられて店内に入って行く。
ふむ、まぁよくある大衆居酒屋的雰囲気だ。
さては、夜に地元の人中心にみんなでワイワイ飲み食いする感じの店かな?
席数は20人くらいの広さで、どうやら奥さんと二人で経営しているらしい。
店の奥にちょっとした小部屋のようなところがあり、そこに誘導された。
お茶を出されて、それでは早速と話を始めた。
「それじゃあ、依頼を受けて来たってことは何かアイデアがあって来たんだよな?」
「あ、はい。ただ、この店でどういう料理を出しているかを見てから決めたいのですが。」
「おう、ちょっと待ってな。」
ガントさんは店の方に戻って、少ししてメニューを持って戻ってきた。
「ほら、これだ。」
「ありがとうございます。」
ルナとメニューを見てみる。
まず肉を使った料理は、醤油ベースの煮込み、塩焼き、香草焼き、野菜炒めが基本。
魚料理も似たようなものばかりで、正直あまり面白味がない。
主食はパンとうどんのようなきしめんのような麺を使っている。
野菜を使ったものなら、煮物、サラダ、焼き野菜といった感じ。
うん、これならいくらでもアイデアが出てくるな。
「えっと、ちなみにこの店のコンセプトってどんな感じですか?」
「コンセプトかぁ。まぁみんながわいわい騒いで、美味いもん食って行ってくれればそれでよしだな。夜だからみんなも酒飲みに来るようなもんだしな。」
ふむふむ、それじゃああれで行こうかな。
多分コンセプト的にもあっているだろうし。
「それじゃあトンカツやフライがいいかな思います。」
「ほう、そのとんかつ?とふらいってのはどんな料理だ?」
「はい、トンカツは豚肉に小麦粉をまぶして、溶いた卵をくぐらせて、最後にパン粉をまぶして、揚げた料理です。フライってのは、豚肉の代わりにエビや魚、野菜などを使ったものです。ソースやマヨネーズと食べても絶品なんですよ。ご飯にもバッチシ合いますし。」
実際想像したら凄く食べたくなってきた。
トンカツなんかは揚げたてをおろしポン酢で食うと最高に美味いんだよね。
かつ丼にしても美味いし。
かつ丼の中でもタレカツ丼が大好きなんだよねー。
エビフライとか白身フライにレモンを絞って、それにタルタルソースを垂らしたらもう米が進むこと間違いなし。
あぁ、涎出て来た。
「えっと、なんかまた知らない言葉が出て来たんだが。まず、パン粉ってのはなんだ?パンの粉ってことは小麦粉か?そーす、まよねーずってのは聞いた感じ調味料か何かか?あとご飯ってのは確かコメとかいうのから出来る主食だよな?」
「あ、はい。なんと説明したらいいのやら。もしよければ取り敢えず作ってみて良いですか?」
「おう、そうだな。その方が分かりやすそうだな。」
そうと決まれば、早速調理場に。
まずパン粉だが、柔らかいパンがなかったので、丁度いい固さのパンを削ってパン粉もどきを作っていく。
次にソースだが、醤油、みりん、酢、砂糖、潰したトマト、塩、コショウなどで適当に味を見ながら作ってみる。
案外いい感じの味のものが出来て満足。
次にマヨネーズ。
大変だが、卵の黄身、塩、酢、少々のコショウを加えて、混ぜていく。そこに数回に分けて油を入れながらかき混ぜて行けばマヨネーズの完成。
ついでだから、タルタルソースも。
出来上がったマヨネーズにレモン汁、細かく刻んだあとに塩を振ってしんなりしたタマネギ、バジル(風な何か)、細かくした茹で卵(ついでにさっきのマヨネーズで余った白身も)を加えて混ぜて完成。
これで下準備はオッケイ。
お米はボックス内に炊き立てがあるから、それを出せばいいだろう。
そんなわけで調理開始。
大きめの鍋に油を張り、加熱していく。
その間に肉と魚を適度なサイズに切り、小麦粉、溶いた卵、パン粉の順にまぶしていく。
油が大体180度くらいになったら、まぶし終わった具材入れて、こんがり狐色が着くまで揚げて、油をきったら完成。
カツは適当にちぎったレタスなどの上に、切りやすい大きさに切って並べていく。
フライはそのまま並べて完成。
「それじゃあ完成しましたんで、食べてみてください。塩で食べてよし。ソースでもマヨネーズでもタルタルソースでも着けて食べてみてください。サッパリ食べたかったらレモンを絞って食べても良いですよ。あ、あとこれご飯も出しておくので一緒に食べてみてください。」
「お、おう。なんかどこから突っ込んでいいのか分からんが、それじゃあ、いただきます」
「ん、私も食べたい。いただきます。」
そう言って食べ始めるガントさん。
てか、お昼時で我慢が出来なかったのか、ルナさんも食べ始めたよ。
ふむ、しかしここまでやったらポン酢も作りたくなってきた。
あれって確か材料を一晩漬けておくとかで出来たよな。
確か醤油とみりんと柑橘系を混ぜた液体の中に、カツオと昆布とか一晩漬けておくだけで完成するよな。
漬ければ漬けるほどダシが染みて美味しくなるとかあった気がする。
うん、今度本格的に食堂ってか料亭的なの開こうかな。
そんなことを考えていると、物凄いスピードでカツやフライが消費されていく。
ご飯も出しておいたのは茶碗3杯分はあったけど、もう空っぽになっていた。
「あの、ガントさん。どうでした?カツとフライは。聞くまでもない気がしてきましたが。」
「おう、カズキ!これは最高に美味いな。これを売りに出したら絶対売れるぞ!」
「ん。おにぃのご飯。いつもながら、美味しい!」
「おう、ルナはいつもこんなうまい飯食ってるのか!羨ましいなおい!」
「ん、自慢のおにぃ。」
「だな!」
ガツガツと食べながら話をする二人。
うん、俺まだ一口も食べてないけどもう無くなっちゃった。
まだそんなにお腹減ってないからいいんだけど。
「しかしよくこんな料理知ってたな。どっか別の国の料理か?」
「はい。自分の故郷の料理なんですけど、多分こっちで知ってる人は誰もいないと思いまして。」
「なるほど。けど、これ使っちゃっていいのか?故郷の料理を俺みたいなよそ者が作るなんて。」
「あぁそれならむしろ広まってくれた方がどこでも食べれていいじゃないですか。」
「ふーん。まぁそれなら早速今日から売りに出してみるかな。作り方とか詳しく教えてくれ!」
「はい。じゃあ今日は自分とルナが協力しますんで、頑張りましょう。」
「ん!がんばろー。」
かくして、今日はお食事処めしくーべの手伝いをすることになった。
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「トンカツ、白身フライ二つずつとエールを4つお願いね!」
「2番、エビ、トンカツ1ずつ。」
「あいよ!ガントさん、カツ3、白身2、エビ1、あとエール4ね!」
「おう、エール入れて洗い物頼む!」
「了解!」
その日は、どこから聞きつけたのか物凄い客が来た。
あの後、奥さんも来てみんなで調理方法やいくらで売っていくかなどを話し合い、慣れていないだろうということで、俺とルナとガントさんがキッチン、奥さんがホールをやろうということになった。
奥さんは特に準備ないなと考え、近所の人に宣伝して回ったら、それがねずみ算式に広がってこんな状況らしい。
ちなみにさすが大都市だけあって、お米は近くで買うことが出来たので、定食として売ることにした。
と、そんなこんなで今日はいつもの5倍近い売り上げを出したらしい。
しかも、来たお客様はみんな大満足だったらしい。
皆一様に笑顔で幸せそうに帰って行った。
いやぁ、しかしこんなに売れるとはビックリだわ。
たしかにこの世界、揚げるって考えがまだなかったみたく、男女問わず夢中になっていた。
結局この忙しさは閉店間際まで続き、終わった頃には四人揃ってへとへとだった。
今はお疲れさまってことで四人で飲み食いしている。
「いやー今日はやばかったな。どいつもこいつもトンカツやらフライやらばっか頼むんだもんな。」
「ほんと、凄かったわぁ。こんなに売れたのはいつぶりかしら。これもカズキさん、ルナさんのおかげね。」
「いやいや、お二方の手腕あってですよ。」
「ん。疲れた。」
「けど、まだ2、3日でしたら俺とルナも手伝えますけど、それ以降二人では大変ではないでしょうか?そこんところはどうにかしないとじゃないですか?」
自分が提案したからには、ある程度は手伝うけどそれ以降に責任は持てない。
そこはガントさんにどうにかしてもらわないと。
「おう、それなら明日にでも求人って形式でギルドに依頼出すさ。ある程度の賃金出せばすぐにでも来るだろう。」
「それなら問題なさそうですかね。じゃああと3日間手伝いますから頑張りましょう。」
「おう、すまないな。その分報酬はいっぱい出すから。」
「いえいえ、もとはと言えば俺が蒔いた種ですから。」
「ん、頑張る!」
これで明日から3日間はやることも決まったし、頑張るとするか。
「あ、明日取り敢えず依頼完了の報告だけしちゃうんでこちらにサイン貰っていいですか?」
「おう分かった。――ほれ。」
「ありがとうございます!それじゃああんまり遅いと連れが心配するので、今日はそろそろ帰りますね。」
「おう。今日はほんとにありがとな。それじゃあまた明日。」
ルナと一緒にめしくーべを後にする。
しかしこっちの世界に来て初めて全力で仕事した気がするな。
いつもはチート頼りの楽チンだったからな。
「ルナ、楽しかったか?」
「ん!」
「そっか。明日からも頑張ろうな。」
「ん!頑張ろ。」
そんな感じで、この都市での一日目が終了した。
久しぶりに死んだように眠れそうだ。
そして相変わらずの食い物関連の話ばっか。




