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ダラダラ異世界チート食べ歩記  作者: なすびいふん
2/26

一般人?いいえチートです

 





 異世界一日目


 というわけでやってきました異世界。

 テンプレのように空に放り出されなかった辺り、あの神様の性格の良さが伺える。

 降り立った地面の眼前に広がるは、よくテレビとかで見るアフリカとかのような見渡す限りの草原。

 近くには森も見えるが、どのくらいの規模なのかはチートを確かめながら確認しよう。

 あと遠くには黒い影が点々と見えるが、魔物という奴だろうか、普通の動物なのだろうか。

 これも後で要確認だな。

 取り敢えず、神様に伝えた順番に能力を試していってみることにする。

 まずは身体能力。

 相当強力なものにしてもらったから、何かを思いっきり殴るのも良いだろうけど、実際まだ信じられないので無理。

 なので、脚力から見るために、全力でその場でジャンプしてみることにした。

 のだが――


「ちょ、待って、高っ!」


 軽く見て、昔見た東京タワーの特別展望台くらいの高さはあるだろう。

 そんな高さまで数瞬で飛び上がってしまった。

 神様のおかげで身体はチートになっているので怪我はしないだろうと、考えれば分かりそうなものだったが、それとこれとは別問題である。

 何がって、俺はついさっきまでただの一般人だったのだ。

 勿論精神などはいじってもらってはいない。

 つまりは――


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ、死ぬうぅぅぅぅぅぅぅ!!!」


 THE・恐怖。

 心の中では平静を装ってみたはいいものの、もう無理怖い。

 異世界来て早々ショック死しそう。

 てかそんなこと言ってる場合じゃない。

 このままじゃ地面にフルダイブしてまう。

 やばいやばいどうしようんーとえっと。

 はっ、創造魔法!


「取り敢えずなんか適当に翔んでえぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 叫んだ瞬間、急に落下する感覚が消えた。

 ほっ、として恐る恐る目を開けてみると、地面からもう数mも間がなかった。

 危なっ!

 チート貰って異世界来たのに5分と経たずに退場とかマジ勘弁。

 まぁこれで身体能力と創造魔法は多分問題ないことが確認できたし結果オーライだろう。

 ……しばらく空飛ぶのがトラウマになりそうだけど。


「さてさてお次はっと。」


 アイテムボックスと心の中で念じてみる。

 すると目の前に黒い四角の空間が開いた。

 適当に石を拾ってそこに入れてみると黒い空間に消えていった。

 今度は黒い空間に手を入れて、先程入れた石を意識すると、手元に固い感触がしたので掴んで引き抜いてみた。

 うん、確かに先程の石を取り出すことが出来た。

 容量とか入る大きさとかは、追々確かめればいいか。

 ちなみに、アイテムボックスは消えるイメージをしたら消えた。


「次は……ステータス。」


 そう唱えると目の前にゲームのような四角の枠が表示された。

 文字はどうやら日本語、英語で表示されているので、問題なく見ることが出来る。

 ちなみに今表示されているのは、俺自身のステータスだが――




 Name:平野 和樹

 Age:21

 Level:-


 HP:100000/100000

 MP:90000/100000

 STR:1000

 DEF:1000

 AGI:1000

 INT:-

 DEX:50



 スキル:創造魔法、アイテムボックス、ステータス鑑定




 うん、自分で頼んでおいてなんだけど完全にぶっ壊れ性能だねこれ。

 レベル表示ねぇしナニコレ。

 てかINTが-になってるのは、想像次第ってことか?

 ちなみに平均的な一般男性冒険者のステータスはこんな感じらしい。




 HP:200/200

 MP:20/20

 STR:50

 DEF:50

 AGI:30

 INT:20

 DEX:20




 ぶっ飛び過ぎてる件。

 この世界最強ってホントにこんなのだとしたら人間勝ち目ねえじゃん。

 あとMPさっきの魔法で減ったんだろうけど一回の発動で10000も使うって、普通の人には絶対使えないねこれ。

 MPは1日毎に半分回復するらしい。

 ってことは、あれが一日当たり頑張れば15回も使えるわけですね。

 さすがチート。

 もしかしたら発動するものによって必要な魔力が違うかもしれないけど。

 まぁ取り敢えずこれで命の危機は早々無いだろう。

 でも、心臓に一突きとかくらったらどうなるか分からんから、一応気を付けよう。

 そういえばスマホでアニメとかインターネット、電話がどうの言ってたけど、俺スマホ持ってたっけ?

 そう考えた瞬間に、目の前が何やら光り始めた。

 光が収まってくると目の前に、生前(と言っても今も生きてるから表現としてどうなのか悩むが)使っていた某リンゴ社製ではない部品の寄せ集めのスマホが目の前に現れた。

 恐る恐る手に取ると同時に、“神様”という名前から電話が掛かってきた。

 勿論そんなぶっ飛んだ名前の登録を生前はしていないので、そこはまぁ異世界というか神様クオリティという奴であろう。


「はい、もしもし?田中ですけど。」

「あれ?田中さん!?ごめんなさい、間違えたのじゃ!」ガチャ


 あれま、ノリで言ったのに本気にするとは。

 それから1分もしないうちにまた“神様”から電話が来る。


「はい、もしもし。神様ですか?」

「う、うぬ。お主は和樹でよいのじゃよな?」

「何言ってんですか?俺以外が出るわけないじゃないですか。」

「そ、そうじゃよな!……おかしいのぅ、番号合ってたはずなのに」


 神様。聞こえています。そしてなんかごめんなさい。テヘペロ。


「それでどうしたんですか?まさかもう寂しくなっちゃたんですか。」

「ち、違うわ!スマホを渡すのを忘れていたからちゃんと届いたかの確認じゃ!」

「あぁなるほど。スマホならこの通り確かに届きましたよ。」

「うぬ、それなら確認できたのじゃ。アニメとかラノベも見れるようにしておいたから安心するのじゃ。それじゃあの。」ガチャ


 うん、神様が言うんだしちゃんと見れるんだろう。

 それにしても、心読めるならさっきのが冗談見破れたんじゃないのだろうか。

 まぁ多分常に心が読めるようにしておくと情報量が多いからとかなんとかで、On/Offが出来るとかなのだろう。

 と、これで一通りのチートは確認できたと。

 あとは街とか目指しながらにでも試せばいいだろう。

 そうと分かれば、まずは当面の目標を決めないことには行動の指針が見つからないしどうするかな。

 異世界転生でありがちな目標と言えば――




 1、ギルド最強を目指す

 2、家を買って地味に暮らす

 3、商人か何かになって世界を旅する

 4、どっかの国に就く

 5、いっそ人里離れて暮らす

 6、店とか国を作る




 ふむ、1と4は確実に面倒事が舞い込んできそうだな。

 2と5はまぁ悪くはないが、いくらなんでも退屈になりそう。

 となると3か6か。

 気長に旅してて金が貯まってきたらなんか店でも作ってみるとかでいいかな。

 しかし旅かぁ……

 一人旅もいいけどやっぱ話し相手欲しいよなあ。

 でも能力とか色々と勘繰られるのも嫌だなぁ。

 まず街に行ってゆっくりしてから決めるかな。

 よし、そうと決めたらまずは街を探そう。

 さっきの魔法で空飛んで確認するだけの簡単なお仕事わけだが。

 ふわっと浮き上がって再び感動する。

 さっきはただ浮いてただけだから翔んでたわけじゃないしな。

 MPの消費も先程と同じく1000持って行かれている。

 10m、20mと高度を上げていくが、特に操作が困難になることもなく、先程同様に300mくらいの高さにまで到達した。

 これ使い続けるとまたMP1000消費したりするのかな。

 それも今後確認していこう。

 今度は焦ることもなく、周りの光景を見ることが出来た。

 限りなく広がる緑の草原に、それに追随して広がっている森林、草原の中に延びている街道の先には街らしき影も見ることが出来る。

 後ろを振り返れば、街の影は見えないが同様の光景が広がっている。

 第一目標である街を見つけたので、地面に降り立ちそちらに向かうことにした。

 ちなみにまだ魔法に慣れていなくて着地に失敗したのには一人でちょっと悲しくなった……。






 ――――――――――――――――――――






 歩くこと1時間半、道中に魔物に襲われては創造魔法でファイアーボール(デカ過ぎて服も少し燃えてしまった…)を作ってみては蹴散らして、6人の盗賊みたいなのに襲われそうになったから落とし穴(深すぎて全員落ちた時に足を挫いたらしく、罪悪感が…)を作ってみては撃退して、創造魔法の練習をしてたら何故か食べ物関係(調味料は出るというこのご都合主義はいかに)が創造できなくて悔しい思いをしたり、そんなこんなでようやく街の入り口の目の前にまで来た。

 街の名前はリミヤというらしい。

 ちなみに入場の際に、身分証がない場合はお金が銀貨一枚程かかるらしいのだが、そこは襲われた盗賊からちゃっかりと奪っておいたので問題はない。


 通貨に関してだが、価値の順に下から銭貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨となっており、

 銭貨10枚=銅貨1枚

 銅貨100枚=銀貨1枚

 銀貨100枚=金貨1枚

 金貨100枚=白金貨1枚

 なので、銭貨=1円、銅貨=10円、銀貨=1,000円、金貨=100,000円、白金貨=10,000,000円程度ということになっている。

 てか一枚で一千万円とか白金貨とかぶっ飛んでんだろ。

 盗賊から奪ったお金は、金貨1枚、銀貨13枚、銅貨127枚、銭貨16枚占めて114,286円になる。

 うん、まぁ普通だな。

 ちなみに実際の通貨単位はファルで1円=1ファルなので計算がしやすい。

 なんというご都合主義。

そんなこんなで、無事街に入ることも出来たのだが、一応身分証無しなのは不味いということで、どこで作れるかを街の入り口の兵士さんに聞いたところ――


「それなら、ギルドに行ってギルドカードでも発行してもらえばいい。」


 とのことなので早速ギルドにやってまいりました。

 木でできた入り口の扉を開けて中に入って行く。

 なんかイメージとしては、酒場っぽいものを想像していたのだけど、案外綺麗なのな。

 いや、油断してると入って変なやつに絡まれるとか――


「すみません。」

「はい、本日はどういったご用でしょうか。」


 ――全くありませんでした。


「あの、身分証がないのでギルドに登録をしたいのですが……。」

「はい、登録ですね。登録は初めてでしょうか?」

「あ、はい。」

「それでしたらこちらの用紙の記入事項に記入をお願いできますでしょうか。ちなみに必須の項目以外は未記入でも構いません。」

「はい、分かりました。」


 そう言って用紙を受け取り、記入事項に目を通す。




 ※必須事項


 ※名前:

 ※年齢:

 ※性別:

 ※種族:

 拠点:

 得意武器:

 魔法属性:




 うん、取り敢えず登録するのに問題になりそうにはないな。




 ※名前:カズキ ヒラノ

 ※年齢:21

 ※性別:男

 ※種族:人間

 拠点:

 得意武器:

 魔法属性:風




 名前は苗字ではなく名前を先に名乗るのがこの世界の常識らしいのでこんな名前になった。

 武器は剣とか無理だし、主に銃でも創造して使おうと思ってたけど、この世界に銃があるか分からないから、必須項目でもないし問題ないだろうと思い未記入。

 拠点は決まっていないので当然未記入。

 属性は適当に決めた。

 最初に使った空飛ぶのが風っぽかったというのもあるが。

 こんなかんじで提出する。


「はい、これでお願いします。」

「かしこまりました。カズキ様、得意属性は風ですね。それでは登録料が10,000ファルになります。」


 銀貨十枚を差し出す。

 んー、元の世界感覚で言ったら登録するだけで10,000円って高いと思ったけど、税金とか考えたら圧倒的に安いのかな?

 お金を払うと、受付のお姉さんはナイフとキャッシュカードより一回り大きいくらいのカードを一枚取り出した。


「はい、こちらがギルドカードになります。こちらにカズキ様の血を一滴垂らしていただくことで登録完了となります。」


 なるほど、ナイフは指かどこかを切って血を出す用なわけだ。

 でもそれなら針とかの方がいいのではないかと思うが。

 心ではそう考えながら、指先を軽く切って(もちろん切るまでに相当躊躇いました。一般人舐めんなや。まぁ覚悟したはいいけど、中々歯が通らなくて切るのにも苦労したが)カードに血を垂らすと、カードがわずかに青く光った。

 5秒ほど光ったかと思うと光が消え、ただのカードに戻った。


「これでギルドの登録が完了になります。ちなみにご登録は初めてということでしたが、詳しい説明はお受けになりますか?」

「あ、お願いします。」

「はい。まず、今お渡ししたギルドカードは個々の生命に宿る情報を読み取ることで複製が出来ないようになっております。また、血を垂らした際に青く光ったと思いますが、犯罪歴のある方はその際に赤く光ることになります。もし赤く光った場合は特別な手続きを踏んでいただき、終わり次第登録完了となります。また、身分証の他にギルドカードには実績が貢献度、ポイントとして加算されます。そのポイントを溜めるとギルドカードのランクが上がっていき、登録現在ではGランク、そこからG→F→E→D→C→B→A→S→Zと上がっていき、冒険者のクエストに関しては、ランクごとに受けれる依頼が制限される場合があります。また、ランクが高くなれば国からの支援という形で、国設営の設備を安く使うなどのサービスを受けることが出来ることがあります。逆に国の非常時等には強制的に出てもらう場合もあります。ちなみに依頼を受けるカウンターは依頼掲示板の脇にあります。右手のそちらですね。と、こんなところですね。あとは、出来ないとは言われていますが、ギルドカードを偽造した場合は白金貨1枚、もし紛失した場合は再発行に金貨1枚の罰金が掛かりますのでご注意ください。以上ですが、何かご質問はありますでしょうか?」

「あ、多分大丈夫です。」

「はい、それではこれから頑張ってくださいね。」

「ありがとうございます。」


 うん、長々とよく噛まずに話せたな。さすがは受付のお姉さん。

 普段から説明ばかりしててゲシュタルト崩壊しないのかな?

 まぁこれで身分証もげとしたし今日は宿でもとって休むかな。


「ところで受付のお姉さん。この町でお勧めの宿があったら教えて欲しいんだけど。」

「宿ですか?……そうですね。ギルドを出てすぐに西にしばらく行くと“ぼんやり亭”という宿があるので、そこでしたらはご飯も美味しくて値段も手頃かと。」

「なるほど、そこに行ってみますね。度々ありがとうございました。」

「いえいえ、これも仕事なので。」


 早速ギルドを出て向ってみることに。

 5分ほど歩くとそれらしき宿が見えてきた。

 うん、多分これだろうな。

 迷わずに突入する。


 カランコロン

「いらっしゃいませー!お一人様ですか?」

「あ、はい。」

「一泊5000ファルになります。夕食と朝食付きになっていますので、一食抜くごとに500ファル割引になります。」

「あ、じゃあ普通に朝夕食つきで5泊ほどお願いします。それ以降も泊まるようだったらまた連絡しますね。」

「はい、分かりました。それでは25000ファルになります。」

「あ、すいません。大きいのしかなくて。」


 そう言って金貨を差し出す。


「あ、はい、お釣りの銀貨75枚になります。あとこちらがお部屋の鍵です。202号室なので二階、階段を上がったすぐのお部屋になります。夕食はもう今からでもとれるので、お好きな時に食堂の方へいらしてください。」


 鍵を受け取って食堂に向かう。

 夕食はちょっと固いパンに野菜とくず肉のスープ、何かの肉のステーキと豆を炒めたものが出て来た。

 なんか色々あったせいかあまり味を覚えていない。

 そして、大したことはなかったけど凄く眠い。

 食堂を後にして部屋に入り、身体を清潔にする余裕もなく、ベッドに横になってすぐ意識を闇へと落とした。







HP:体力、生命力

MP:魔力、精神力

STR:筋力

DEF:耐久力

AGI:素早さ

INT:賢さ

DEX:器用さ


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