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ダラダラ異世界チート食べ歩記  作者: なすびいふん
19/26

海に来ました

 





 今日はギルドに素材の報酬を取りに行くことにする。

 起きた時に上からはルナ、隣からはアクアに抱きつかれているのにはびっくりした。

 身動きが取れなくて、二人が起きるまで良い匂いを堪能できたのはいい思ぃゴホンッゴホンッ!。

 ギルドに着いて報酬を受け取る。

 今回は結構多くの魔物をボックス内に保存していたため、食べる用の牛肉もどき以外は売却した。

 報酬としては、346000ファルと、牛肉もどき50kg。

 うん、なんかもうしばらくお金なんか稼がなくていい気がしてきた。

 そもそもこの世界の食材って凄く安いから、普通に生活する分には月に30000ファルもあればいいんだよね。


「いつ頃この町出て次の街に行こうか。俺正直飽きてきた。米も醤油も味噌も腐るほど買ったし。」

「ん。じゃあ、もう次、行く?」

「そうだなー。じゃあ明日くらいに行くか。」

「ん。」


 ふむ、なんだかどの町も長くて三日くらいしか滞在してないな。

 まぁそのうちどっかで定住はするつもりだし、今は旅から旅への根無し草でいっか。

 そうと決まれば明日の出発の準備でもするか。

 そして昨日同様にアニメを見て寝落ちするということをした、学習能力のない三人と、相変わらず可哀想なフォンをしり目に、海に向かって出発をした。






 ――――――――――――――――――――






 今は車に乗って、四人で海への道を突き進んでいる。

 9日間、ルナに援護をさせながらアクア、フォンに魔物を倒させて経験を積ませて(ちなみに俺は運転と調理担当みたいになって)いた。

 その結果、みんなのステータスは次のようになっていた。




 Name:カズキ・ヒラノ

 Age:21

 Level:-


 HP:100000/100000

 MP:70000/100000

 STR:1000

 DEF:1000

 AGI:1000

 INT:-

 DEX:70


 スキル:創造魔法、アイテムボックス、ステータス鑑定、身体制御、調理Lv2、銃術Lv2、運転Lv2、詐術Lv1




 Name:ルナ・ヒラノ

 Age:18

 Level:27


 HP:176/192

 MP:4170/4800

 STR:12

 DEF:23

 AGI:57

 INT:430

 DEX:34


 スキル:魔力制御、氷魔法Lv4、雷魔法Lv4、土魔法Lv2、火魔法Lv1、調理Lv2、杖術Lv1




 Name:アクアリウス=リー=コルトルス(コルトルス王国第一王女)

 Age:24

 Level:11


 HP:42/42

 MP:108/108

 STR:10

 DEF:18

 AGI:12

 INT:43

 DEX:13


 スキル:光魔法Lv1、回復魔法Lv2




 Name:フォン・テスター

 Age:32

 Level:39


 HP:288/288

 MP:13/13

 STR:92

 DEF:87

 AGI:69

 INT:24

 DEX:31


 スキル:剣術Lv4、魔力剣




 なんか俺とルナはスキルの数が増えていた。

 詐術ってなんだよ。

 俺なんかしたっけか?

 てかルナはレベルがめっちゃ上がってるし、MPとINT増えすぎ。

 これもう魔法に関しては人外だよね。

 アクアとフォンは、ここ数日のおかげで少しずつレベルが上がっていた。

 こうして見るとアクアは完全に後方支援型だな。

 攻撃の方に全く能力が割り振られてない。

 フォンは、普通の冒険者に比べて結構強かった。

 てか魔力剣ってなんかカッコいいんだけど。

 とまぁ、魔物に襲われる以外何事もなく旅をして順調に成長してきた一行。

 そして、フォンが言っていた海までの距離がおおよそ正しかったのか、10日目の昼にして海岸線に到達した。

 進んできた道は適当だったので心配ではあったが、どうやら正しかったらしい。


「あらー、これが海というやつですね。文献でしか見たことがなかったので、初めて見ました。」

「ん、綺麗。」

「だねー。」


 確かに以前の世界で見た海に比べても、澄んでいてとても綺麗だった。

 この綺麗さは写真とかテレビとかでしか見たことがなかったから、初めて見て結構感動している。

 こんなに綺麗なのは、この世界工業とか盛んになってないし、廃水やら廃油やらがほとんど出ないことがやっぱり一番の原因だろうか。

 それともこんな世界だし、神の怒りを買うかもとかそういう類だろうか。

 まぁ綺麗なのに越したことはないよな。


「しっかしこんなに綺麗なら海水浴とか気持ちよさそうだなぁ。」

「かいすいよく……とは?」

「あぁ、みんなで海で泳いだり砂浜で遊んだりすることかな。」

「お、泳ぐ!?海でですか!?」

「う、うん。そのつもりなんだが。」

「いやいやいや、何考えてるんだカズキ殿!?海で泳ぐなんて自殺行為も甚だしいぞ!」

「へ?自殺?」

「あぁ。海なんてAランクやらSランクやらのやばい魔物でいっぱいだから、船ですら準備なしに航海しようものなら30分とせず海の藻屑になるだろう。」


 お、おぅ。

 なんかどっかで聞いたことあるような世界観だな。


「その準備って船の底には船を海の一部って誤認する何かを仕込んでいたり?」

「おぉ、それはご存知でしたか。船の底にはある人が開発した、特殊な魔法で仕組んだ素材を使っている。それが無ければ今も船で航海なんて出来ていないだろう。」


 ふーん、そんなに強い魔物がいるとかおっかなくて船乗れねえな。

 自慢じゃないが、飛行機も乗ったことなく、少しでも危険な可能性があると敬遠しちゃうチキンハートの持ち主だからな。


「あれ、でもそんだけ魔物ばかりだと小っちゃい魚とか全部餌にされちゃうんじゃない?」

「いえ、そこは問題はないかと。実際漁とかもしているらしいし、市場でもかなりの魚が出されているからな。」

「あ、そう。」


 海が魔物でやばかろうが、魚とかの海鮮類が無事食えるなら問題ない。

 いや、待てよ?

 むしろそのやばい魔物ってもしかして脂とか乗ってて相当に美味いんじゃないだろうか?

 ふむ、機会が出来たら怖いけど沖の方にでも行って狩ってみるかな。

 まぁ取り敢えずそういう小難しい事は置いておいて――


「折角の海だし、釣りしようぜ!」

「つり……ですか?」

「うん、釣り。」


 まだまだ見た限りだと町は見えてこないし、目標の海まで来たはいいけど、目標の海鮮物が食えないのは生殺しも同義。

 けど、ただ狩るのもこの道中の狩りと同じで面白くない。

危険とかいうけど海入らなければ問題ないだろうしな。

なら釣りしかないだろう。


「その、つり?という奴は一体?」


 ありゃ、釣りってこの世界にないのか?

 まぁ、あれって網漁とかがあると娯楽っぽくも見えるからな。


「釣りって言うのは簡単に言うと、棒に括り付けた糸の先に針を着けて、そこに魚が食いついたら引き上げる漁のことかな。詳しく説明すると――」


 三人に釣りについてやり方など詳しい説明をしてあげた。

 すぐにかかるわけでもないから、待っている時間にお話しするのも楽しかったり、釣れればそれはそれで楽しいし、というのも後付しておいたら、皆乗り気になったので早速やってみることに。

 釣竿と糸、針、釣った魚を入れておけるバケツみたいなものを人数分創造して、餌は適当に肉を切り取ったものを使えば何とかなるだろう。

 皆に配って早速釣りを始めることに。

 と、始めて早30分。

 全く想像していない事態に陥っていた。

 それは――


「ん、これで10匹目。」

「私もこれで8匹目ですわ。」

「姫様。私も8匹目です。」

「ふふん、俺はもう12匹だぜ!」


 ――なんという入れ食い。

 釣りを知らない世界だから、魚の警戒心が薄いんだろう。

 つまりはこの状況である。

 どれくらいかというと、着水した10秒後には食いついたりといった感じである。

 ある程度は予想していたとはいえ、これは酷い。

 なんかもうほんとに漁してる気分になってきた。

 俺のイメージとしては5分、10分くらいに一匹くらい釣って、楽しみながらも会話を楽しめるかな、と思っていたが。

 まぁこれはこれでみんな楽しんでいるしいいか。

 それから二時間でなんと100匹以上も釣ってしまった。

唯一の救いはでかい魔物やらなんやらがかからなかったことだな。

 てか、これ乱獲とか始まりそうだから広めるのやめよう。

 そんなこんなで折角の大量を祝って、今日の夜は魚パーティ。

 それでは皆さんで調理をしていきましょう。

 まずは、魚を捌いていく。

 鱗を落とし、その後、お腹の部分を捌いて内臓を取り除いて中を丁寧に水で洗っていく。

 頭を落として、背の方に先に切り込みを入れた後、腹側から骨に沿っておろす。

 反対側も同様にし、小骨を抜いて、皮を剥げば、三枚おろしの完成。

 大きいものは、おろした後に中央の骨に沿って左右に切り取り、腹側と背側のサクに分けていく。

 ちなみにアクアとフォンは料理の経験があまりないということなので、腹の中を洗うところまでやらせた。

 ルナは覚えると物凄い速さで捌いていくもんだから、この子のセンスは底知れず。

 魚をおろし終わったので、調理に入っていく。

 まずは天ぷら。

 小麦粉や卵を用いて作った生地に魚の身をくぐらせて、180度ぐらいの油で揚げていく。

 魚だけだと飽きるので、脂身の少ない鳥肉や野菜なども同様にして揚げていく。

 ついでに、三枚におろしたうちの真ん中をお煎餅にでもしようと思って、油の温度を落としてじっくり揚げておいたので、今度食べよう。

 その傍ら、ダシ汁に醤油、みりん、生姜もどきを少々入れて煮詰めて天つゆを作る。

 天ぷらはあとは油が切れれば完成。

 次にシンプルに塩焼き。

 おろしたものでなく、鱗、内臓を取って水洗いしたものを表面に塩をまぶして、串に刺して火にくべて焼いていく。

 あとは折角新鮮だし、醤油もあるということで刺身も作ることに。

 といっても、おろした魚を一口大の薄さに切ってお皿に並べていくだけ。

 ここに、味噌汁とご飯を添えて完成。

 釣りもしたし、動いてお腹が減っていたので早速食べることにしよう。


「それじゃあいただきます。」

「「「いただきます。」」」


 折角なので作った順番に。

 揚げたての天ぷらに塩をまぶして一口。

 折角天つゆ作ったけど揚げたてはやっぱり塩だよね。

 うん、白身魚だけど脂が乗っていて、それでいてほとんど歯を入れなくても身が崩れ、外はサクサクで美味い。

 次に折角作ったので天つゆで一口。

 うん、衣にいい感じにつゆが染み込んで、けど揚げたてのサクサクした触感を残していてこれも中々。

 次に塩焼き。

 これはシンプルに魚の味をそのまま楽しめて良いし、余計な脂を焼いている時に落とせているので、淡白ながらも中々に美味い。

 そして最後。

 ワサビがないのに少し不満を感じつつ、醤油に着けて刺身を頂く。

 どの魚も中々に脂が乗っていて、それでいてしつこくなくて非常に美味い。

 これはご飯にもいいが、物凄く日本酒とご一緒したいものだ。

 ちなみにこの刺身、三人は最初は生だからと警戒していたが、俺が何事もなく食べて幸せそうな顔をすると、ルナが続いて、その様子を見て残りの二人も続いて、最終的には皆さんご満足いただけたよう。

 そんなこんなで、波の音をBGMとした海辺の魚パーティを楽しんだ。






 ――――――――――――――――――――






 翌日、一行は朝食を食べて西に向かった。

 聞けば、(多分だけどの一言が入ったが、)西に行けば海沿いに海洋国家があるらしい。

 海洋国家ジャスカ。

 海に面して位置し、船を用いた貿易で栄えた都市であり、漁業に関しては右に出る国は無いとも言われている。

 現国王もかなり民衆に支持されており、他国とも友好的な非常に評判の良い国家である。

 アクアも何度か親、てか国王に連れられて訪れたことがあるらしく、その時も街の活気ある様子を見て、良い印象を抱いたらしい。

 という話も聞き、早速ジャスカに向かうことにした。

 そんだけの国なので、近づけばすぐに分かるだろうと思い、適当に向かうことにした。

 と、そんなこんなで旅を再開したが、俺は今相当気分がいい。

 和食の定番である、ご飯、味噌汁、漬物(浅漬けだけど)、焼魚(鮭っぽいの)という朝食を久しぶりに堪能出来たからである。

 もう昨日の夕食といい、今日の朝食といい、これだけで海にまで来た甲斐があった。


「いやぁ、しかし潮風が気持ちいいね。」

「ん。」


 今は海沿いに車を走らせ、気分はバカンスである。

 ほんと、大した目的を持たずにこの旅を続けているが、こういう一時もいいものである。

 空は限りなく青く広がっているし、前の世界と違って高い建造物もない。

 海も青く澄んでいて、砂浜は余計なゴミなどない真っ白な砂で、海岸線に沿って伸びている。

 改めて海の方を見れば、遠くで白鳥のような鳥が飛んでいたり、魚がたまに飛び跳ねたり、巨大なタコみたいのが船に襲い掛かっていたり。

 横ではルナと、アクアが食い入るようにアニメを見ていたり。

 なにやらフォンは酷く慌てた顔をしているが、さては車にでも酔ったのかな。

 と、そんな感じでのんびりと西へと車を走らせていた。

 ……………ん?


「あれ、もしかしてあの船襲われている?」

「もしかしなくても襲われているだろ!」

「だよねー。」


 ふむ、助けたいけどあの船はどう考えてももう無理じゃないかな。

 あ、沈んだ。

 まぁいくら力があろうと助けられるものには限りがあるし、なにより今から行くの面倒だしな。

 そんなことを考えつつ、無視して進もうと思ったら何やらタコもどきが海岸に向かって来た。

 てか気のせいか、あのタコこっち来てる気が……。

 うわー久しぶりに面倒事な予感。






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