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ダラダラ異世界チート食べ歩記  作者: なすびいふん
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触らぬバカに面倒なし

 





 金持ちらしき人が声をかけてくる。

 てか、周りの人にめっさ見られてる。


「あの、すいません。何かご用でしょうか?」

「お前があの魔道具の持ち主か?」


 よく初対面でそんな態度取れるな。

 てか説明不足過ぎて何のことを言いたいのか普通伝わらないだろそれ。


「(態度デカいな。うぜぇ。)あの魔道具とは?」

「あの馬よりも早く走る魔道具のことだ。」

「いや、知らないですけど。」

「そこらの平民から聞いたから、お前が持っているのは知っている。譲れ。」

「……え?いや、知らないって言ってるじゃないですか。」

「貴様!平民ごときが歯向かうか!こちらの方はハルバン子爵様であるのだぞ!」


 いや、それなんつー暴論だよ。

 知らないって言ってるのに譲れって。

 大体初めて見たし、紹介もされていないのに貴族とか知るかよ。

 しかも、人の上に立つ立場として、平民ごときとか虫けらみたいな扱いは問題外だろ。

 誰の金で贅沢してんだよこのカス。


「そんなこと言われても、俺には関係ないですし。そもそも貴族が偉いのって義務果たしてこそでしょ。俺はその恩恵を受けてないのに、貴族の特権だけ振りかざそうなんて、虫が良すぎるとは思わないの?」


 確かに階級ってので上下を決めるのは悪くない。

 が、上下ってのはその関係を釣り合ったものだと知らしめる実益などが無ければ成り立たないだろ普通。

 こいつが納める領地の住民であれば、確かに従う必要があるだろう。

 けど、あいにく俺は今のところ根無し草。

 絡まれたって我知らずだわ。

 もうこれ以上関わるのが嫌だったので、構わずギルドから出ていく。


「ほう、子爵である私に逆らって。ただで済むと思っているのか?」

「知らないね。こちとら悪いことしていないのに罰せられる意味が分からない。それじゃあ、自分そろそろ行くんでどいてください。」

「貴様!」


 引き留めようと突っかかってくる兵士を躱して、ルナと一緒にギルドから出ていく。

 後ろから待てだの貴様などの暴言が聞こえるけど、効く耳を持たずにガン無視する。

 はぁ、しかしこの街にもあんまり長くはいれないかもなぁ。

 てか、思わず逃げ出して来ちゃったけど、依頼受けようとしてたの忘れてた。

 周りの人が見ている中であんな感じで出て来ちゃったし、今日はもうギルドには行けないなぁ。






 ――――――――――――――――――――






 あの後、また絡まれるのが嫌だったから、かと言って、街を観光しようものならさっきの奴らに見つかって厄介になることこの上ない。

 そう思って、今日は街の外に出かけて憂さ晴らしでもすることにした。

 ルナと一緒にそこら辺の魔物を蹂躙してストレス解消したり、バイクでアクセル全開にして街道を駆け抜けたり。

 そんなこんなで、夕方になったので家に戻ることにした。

 昨日は家の前にバイクを置きっぱなしにしていたが、あの子爵に見つかると厄介だったので、今日は小さくしてしまっておいた。

 家に入ると、すでにアナが家に帰ってきていた。


「あ、おかえりなさい。今日は大変だったみたいですね。」

「ただいま。もう最悪だったよ。交渉も何もなく権力振りかざしてきてさ。てか、この世界の貴族って全部こうなの?」

「うーん、この街以外に行ったことがないので分かりませんが、この街にいる貴族はみんなあんな感じですよ。」

「そっかぁ。目をつけられちゃったみたいだし、迷惑掛かるといけないから、近いうちに街出ようかな。」


 話して分かる賢い奴じゃあなさそうだしな。

 俺らがここに住ませてもらっていることがあいつらにばれたら、アナやカリナさんにも迷惑がかかってしまう。

 それは俺の心が穏やかではない。


「え、まだ来たばかりなのにですか?」

「うん、まぁ一応旅の途中だし、目的もあるからね。それにこのままだと迷惑掛かりそうだし。」

「そんな、大してお礼も出来ていないのに。」

「気にすることじゃあないよ。もしそれでも足りないと感じているなら、またこの街に戻ってきたときにも泊めてもらったりとか出来る?バイクがあれば簡単に戻って来れるし。」

「っ!そんなことでよければいくらでも!」


 それなら、これ以上してもらうと、むしろ申し訳無さが先行してしまう。

 なので、お礼とか云々の話はもうお終い。


「まぁ、でもあと2、3日は出発の準備として泊めてもらいたいかな。」

「うん!ぜひ泊まっていってよ!」


 そんなこんなで、アナに納得してもらった。

 しかし、早くも異世界で故郷と呼べるような場所が出来てしまったな。

 心配かけないようにこれからはちょくちょく顔出すようにしようか。

 てか、その内携帯みたいなの作れば、いつでも連絡出来るし考えてみようかな。


「ねぇ、カズキさん。2、3日後には出発しちゃうんですってね。」

「え、えぇ。」

「折角アナが仲良く出来たのに残念だわ。」

「まぁ、バイクもありますし頻繁に顔出すとは思いますよ。折角できた友人ですから、大切にしたいですしね。それに、可愛い女の子と仲良く過ごせるのならば、多少の代償を払ってでも駆けつけますよ。」

「あら、ですってアナ。良かったわね。」

「カリナさん。からかわないで下さいよ。」

「けど、アナばかりで私はどうでもいいのね。悲しいわ。」

「あ、いや、えっと。カリナさんとお話しするのも凄く楽しいので、決してアナだけでは……。」

「うふふ、冗談よ。」


 くそぅ、この人にはほんとに適わないな。

 しかし、この人と話していると、凄く心がポカポカするんだよね。

 会って間もないってのに、家族みたいな感じがする。

 こんなに楽しい場所にだったら、いつでも帰ってきたいものだ。


「まぁ、そういうわけなので、一旦は出ていきますが、またいつでも遊びに来ますので、その時にはよろしくお願いしますね。アナ。カリナさん。」

「はい!」

「こちらこそよろしくお願いしますね。カズキさん。ルナさん。」


 その後は、和気藹々としながら夕食を食べた。

 途中、何度かカリナさんにからかわれたが、それもまた家族のやりとりのように感じて心がポカポカした。






 ――――――――――――――――――――






 異世界九日目


 次の日、ルナは家でアナとゆっくり過ごしてもらうことにして、一人でギルドに向かうことにした。

 受付に行って査定の結果を聞くことにした。


「あ、すみません。昨日素材の査定を頼んだカズキ・ヒラノですが。」

「あ、カズキ様ですね。無事査定が終わっていますよ。42匹のうち損傷が激しいものが一体1,000ファルで18体、残り24体は大きな損傷もありませんでしたので、一体2,000ファルで合計66,000ファルになりました。カードも更新しておきますね。」

「はい、ありがとうございます。」


 お金を受け取り、ポーチにしまう。

 てか討伐報酬と素材がほぼ同じ額ってなんか意味あるんだろうか?

 証明部位が高価ってことなのかな?

 等々、報酬に関して思考を侍らせる。

 さてさて、そんなのは頭の片隅に置いて、すぐ終わる依頼が何かないか調べる。

 てか、昨日狩った魔物も売るか。

 討伐依頼が出ている魔物なのかを調べてみるが、出ていないところを見ると、今は特に問題になるほど増えていないのだろう。

 素材だけを売りに行くことにした。

 倉庫に着いて、昨日同様に素材を売ることにする。


「あ、すみません。昨日に引き続いてですが、素材の買い取りをお願いします。」

「え、あ、はい。分かりました。」


 昨日同様にアイテムポーチからドサドサと魔物を出していく。

 シカのような魔物、イノシシのような魔物等々。

 昨日のを見たのか、若干マシではあったがやはり引かれてしまう。


「あの、この魔物は昨日一日で?」

「はい。昨日あの後面倒なのに絡まれてイライラしてしまったので、妹と一緒にストレス解消がてら蹂躙してました。」

「……お強いんですね。分かりました。この量ですと、今日の夕方には終わると思いますので。」

「はい、分かりました。」


 受付さんに任せて、倉庫を後にする。

 さてさて、今日は何をしようかね。

 明日からの準備でもするにしようか。

 といっても、前の街で買った食料も野営の道具もあるから、特に買うものもないんだよな。

 ……ふむ、暇だし神様と電話でもしようかな。

 思い立ったら吉日。

 早速かけようかね。


「はいはい、こちら神様なのじゃ。」

「あ、ネイト。やっほー、今暇かい?」

「うむ、まぁ特に問題はないぞ。」


 その後、町を歩きながらネイトとの会話を楽しんだ。

 ただ、携帯を知らない街の人々に変な目で見られてしまったので、途中からは人目につかない所に隠れて会話をした。






 ――――――――――――――――――――






 結局その日は、ルナはアナと二人で家でゆっくり会話などを楽しんでいたようだ。

 俺は、あの後喫茶店に入り、携帯でラノベを読んで過ごした。

 窓際の席で読んでいたら、昨日の子爵の兵隊らしい姿が見えたので、見つからないように隠れたりすることもあった。

 ちなみに、報酬は忘れずに貰いに行った。

 討伐依頼は出ていなかったのだが、肉が高く売れたのと、数が多かったので、100,000ファルほどになった。

 なんだかんだでお金も貯まったし、これで旅に出ても問題ないだろう。

 家に帰ってきて夕食を食べながら、明日には出発することを伝えた。

 次の日の昼頃、準備も出来たのでさよならをすることにする。


「それじゃあ、またね。」

「ばいばい。」

「はい。ルナさんもカズキさんも気を付けて行ってきてください。」

「次に来る時には美味しいもの準備して待っているわね。」

「ではこちらは面白いお土産話を準備してきますね。」

「はい、楽しみにしています。」


 そんなわけで、出発進行する。

 バイクに跨り、ルナをサイドカーに乗せる。

 折角サイドカー作ったし、長時間しがみついているのは大変だろうから丁度いいよね。

 最初は拗ねて、説得するのに時間がかかってしまったために、出発するのが遅れてしまったのはちょっとした思い出になるだろう。

 なんでそんなに後ろが良かったのだろうか。

 さてさて、そんなことは置いておいてバイクを走らせる。


「ルナ、昨日はアナと話して楽しかったかい?」

「ん、仲良し。」

「それは良かった。また遊びに来ようね。」

「ん!」

「それじゃあ出かけようか。それで、この前食べた米ってのがある町を目指そうと思うんだけど、ルナは大丈夫?」

「ん。」

「よーし、そうと決まればレッツらごー!」

「ごー!」


 二人でノリノリになりながら出発することにした。

 目指すはペイルの町!

 ……そういえば、はるか東って聞いたけどどのくらいの距離か聞いてなかったな。






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