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ダラダラ異世界チート食べ歩記  作者: なすびいふん
10/26

遭遇してみた

 





 異世界五日目


 朝になりいつものように朝食を頂きながらルナと会話をする。


「なぁルナ、これからの旅で目的が一つ出来たんだが聞いてもらっていいか?」

「ん。」

「実はかくかくしかじかでな。」

「?」

「あ、ごめん。今のは冗談です。実はな、昨日教会で聞いた話なんだが――。」


 昨日神父さんから聞いた話と神様から聞いた話を聞かせてやる。

 勿論神様から聞いたなんて話はしていないが。


「それでな、いつかその魔法を使ってるやつを探して止めさせようと思うのだが、どうだ?」

「ん。あの子たちのためにもなる。賛成。」

「まぁあくまで機会があったらの話な。それじゃあ宿は明日までだから明日にはこの町を出よう。で、今日はその明日からの旅の準備をしよっか。」

「ん。」


 そんなこんなで、一日かけて旅の準備をすることにした。

 店を回って食材を大量に買い込んだり、野宿用のテントを買ったり、と色々買い物をした。

 これといったこともなく一日が過ぎ、そして次の日の朝。


「あら、もう行っちゃうんですね。」

「ええ、根無し草なもので。」

「あらあら寂しいわ。」

「またそのうち来ますから。」

「そう、楽しみにしてるわね。お土産ついでに面白い話も待ってますね。」

「ええ、楽しみにしててください。」

「ん。また話そ。」

「そうね、待ってるわよ、ルナちゃん。」

「ん。」

「それでは。」


 別れを告げ、お世話になった宿、街に別れを告げる。

 そういえば次どっちに向かおうか。

 適当に方向決めて行くか。

 そうと決まれば、1は東、2は西、3は南、4は北で――


「ルナ、1から4どれがいい?」。

「ん、……じゃあ3。」

「おっけ、それじゃあ南に向かうことにするか。」

「ん、任せる。」


 そうして南に向かうことにした。

 しばらく歩いて、街が見えなくなるくらい離れたところで一回止まる。

 さすがにずっと歩きとか嫌だわ。

 なんか乗り物が欲しい。


「ん、なんで止まったの?」

「あぁ、ちょっとな。」


 集中して創造魔法を使う。

 作るのは黒のビッグスクーター。

出す度にMP消費は無駄だし、使わない時は小さいキーホルダーみたいになるようにもしよう。

 ――ほいさ。

お、おう、なんかMP7割も持ってかれたわ。

やっぱ作るものによりMP消費違うのな。

あと、なんかMPの最大値が5000も減ってるんだけど、出しっぱなしなせいかね。

 とりま、道交法はないからヘルメットはいらないかな。


「よーしルナ、ずっと歩きもつらいし、これに乗って行くから俺の後ろに乗ってくれ。」

「ん。」

「結構な速度が出るからどっか適当に俺の身体に捕まってな。」

「ん!」ギュッ


 この前酔った時みたいに思いっきりしがみついてくる。

 うん、かなり密着しちゃってるけど、これなら振り落とされることもないだろう。


「よーし、じゃあ出発進行。」

「ん、しゅっぱーつ。」


 エンジンをかけ、アクセルを回す。

 おお、これはいい。

 景色がどんどん流れていく。


「おぉっ!」

「どうだー、ルナ。大丈夫か?」

「ん。平気。凄い、風、気持ちいい。」

「そうだなー。もっと速度出すか?」

「ん!」


 よっし、それなら、とさらにアクセルを回す。

 うぉ、早ぇな。

 さすがに転びそうで怖いわ。

 まぁ後ろからはキャッキャッて声が聞こえるからルナは平気なんだろう。

 ルナさん、肝っ玉ぱねぇっす。

 その調子で、どんどんと道を進んでいく。

 途中でいくつも馬車を追い越している。

 ハハッ、追い越しとかめっちゃ気分いいわ。

 つか馬車って速度10~20km/hとかそこらだったはずだから、抜くときが一瞬過ぎて笑える。

 それからいくつか休憩(座りっぱなしつらい)をはさみ、日が暮れるまで南へと向かった。

 ちなみに途中で何回か魔物を見かけたが、食えるかどうかも分からなかったので無視した。

 完全に暗くなる前に野宿の準備をする。

 買ってきたテントを張って、火をたく。

 お腹も減ってきたし夕食も用意しないとな。

 今日はクリームシチューでいいかな。

 名前はよく知らないが、見た目がまんまジャガイモ、ニンジン、タマネギ。

 あとは何の肉かは知らないが鶏肉みたいな見た目だった肉も取り出す。

 それぞれを一口大に刻み、塩、こしょうをして鍋で炒めていく。

 全部にある程度火が通ったみたいなので、一旦火から降ろして小麦粉を振り入れて混ぜていく。

 小麦粉が馴染んできたので、水と牛乳(の見た目の何かの乳)を入れて軽くかき混ぜて、コンソメ(なかったので創造した)を投入し、再び火にかける。

 とろみが出てきたら、塩とこしょうで再び味を調え完成!

 あとは固いパンを添えれば出来上がり。


「ルナー、出来たぞ。」

「ん。良い匂い。」


 ルナの分もよそってあげて座る。

 正面ではなく、何故かぴったりと隣にくっついてくる。

 ルナさんや、さすがにこれはちょっと食べにくいです。

 言わないけど。


「よし、それじゃあいただきます。」

「いただきます。」


 まずはシチューを一口。

 うん、ちゃんと出来てる。

 次にパンをシチューに浸して食べる。

 うん、柔らかくなって味もしみて美味しい。

 けど俺シチューにはコメの方が好きなんだよな。

 米探しも目標に入れるかな。


「ルナ、美味いか?」

「ん、おいし。」

「そりゃよかった。おかわりあるからいっぱい食べてな。」


 その後もシチューを堪能した。

 夕食も食べたことだし、水で濡らしたタオルで身体を拭いて、寝る準備を始めた。

 寝てる時に襲われるのは嫌なんで、テントの周りに結界を張る。

 転生物ってよく徹夜で夜の番とかしてるけど、俺はそんなの絶対にしたくないからね。

 てか異世界に来ていきなり順応するとかありえんだろ。

 郷に入ってはとか言うけど、そんなすぐには無理。

 それにしなくてもいいのにする意味はない。

 そんなこんなで夜は更けていく。






 ――――――――――――――――――――






 異世界七日目


 次の日の朝、起きるとルナに右手をがっしりと抱えられていた。

 テント狭いからくっ付いちゃうのは分かるが、これは確信犯だよな。

 起こさないようにして、ルナの拘束から抜け出し朝食の準備でもしようとテントを出る。

 出ると、結界の周りに狼みたいな魔物が群れていた。

 適当にはった割には、防音も備わっていたらしい。

 なんて便利な創造魔法。

 丁度いいからこいつら朝食の食材にするか。

 結界を解き、適当に狼を殲滅する。

 一体を残して、全てアイテムボックスに突っ込む。

 剥ぎ取りとかしたことないから、見よう見まねで適当に解体する。

 あ、そういえば血抜きとかしないとなんだっけ。

 適当に切れ込みを入れて体内の血を全部取り出す。

 下手なりに肉が食べれるように削いでいく。

 本来ならかなりもったいない捌き方をしているが、どうしようもない。

 残った部分は捨てておけばどっかの魔物が食ってくれるから無駄にはならないだろう。

 そう思ってそこらへんにポイ捨てする。

 それじゃあせっかくお肉を手に入れたし、何作ろうか。

 お昼までいちいちつくるの面倒だし、お弁当がてら作れるものがいいな。

 ……うん、生姜焼きにしよう。

 生姜をすりおろして酒、みりん、醤油が手に入らなかったけど魚醤で代用してみた、をボールに入れる。

 味見をして、なんとなくだが味が整ったので肉を炒めていく。

 本当なら漬け込みたかったが、あいにくそんな面倒なことは外ではしたくない。

 片面に焼き目がついたらひっくり返してタレを絡めて焼いていく。

 タレが絡んだことを確認して完成だ。

 あとはパンと、適当に作った野菜のスープも添えて朝食の完成。

 お昼の分はアイテムボックスに突っ込んでおく。

 完成したし、ルナを起こしに行くことにする。


「ルナー。朝食出来たよ。そろそろ起きなさーい。」

「ん、――起きた。」

「ほら、桶に水入れとくから顔洗ってな。」

「ん。」


 顔を洗ったルナと一緒に食事にありつく。

 そういえばルナは料理は……閉じ込められてたからしたことないかな。

 今度家とか買って落ち着いたら教えてみようかな。

 別にこれから料理の度に教えればいいか。

 てか、思ったより生姜焼きがいい味に仕上がっててビックリだわ。

 醤油なしだからどうかと思ったが。

 しかし生姜焼きにはやっぱりご飯が欲しいな。

 これからの旅、米探しを最優先にしよう。

 そんなこんなで朝食を食べ終える。


「そんじゃあ少しお腹休めたら出発な。」

「ん。」


 テントなどをしまい、地面に腰を下ろす。

 今日もいい天気でツーリング日和だな。

 30分くらいそうしてボーっとしてお腹を休め、出発する。

 バイクに乗り、昨日に引き続きひたすら南下する。

 そういえば南って何があるんだろう?

 お姉さんに聞いておけばよかったな。

 まぁ行けば分かるか。

 昨日同様、景色を楽しみながら旅を進めた。






 ――――――――――――――――――――






 しばらくバイクを走らせていると、前方で人影とそれを追いかける狼の魔物の群れを発見。

 どうやら魔物に襲われているようだった。

 これは助太刀した方がいいかな?


「ルナ、もしかしたら助太刀が必要かもだから準備しといてな。」

「ん。」


 取り敢えず余計なお世話ってことにならないように確認するかな。

 襲われているのであろう人影に近づいて行く。

 どうやら女の子のようだ。

 彼女に並走して声をかける。


「もし、お嬢さん。助太刀は必要ですかい。」

「あ、はい、お願いしたいです!」

「了解。ルナ。」

「ん。」


 狼の数と同じ数の氷槍を出して的確に貫いていく。

 ルナさんや、なぜこんなに短時間でそんなにも魔法を使いこなしているのかな?

 躱した一匹の頭部を銃で打ち抜き、随分あっけなく終わってしまった。

 一旦狼は放置して彼女に近づく。

 あ、結構可愛い。

 背はルナよりちょっと高いくらいで、目がクリッとしていて、アヒル口なとこがまた良い。

 胸も結構大きいし……ルナに脇腹を小突かれた。

 赤い髪を腰のあたりまで伸ばしていて、その髪の隙間からはネコミミのようなものが覗いていて、いわゆる獣人という奴かな?

 コスプレしている人を見たこともあったが、やはりケモ耳っ娘は素晴らしく愛でたくなる。



「あ、あの、ありがとうございます!ほんとに助かりました。」

「うん、無事そうで良かった。なんでこんなところに一人で?」

「あ、はい。この先の森にある月光草を取りに行こうと思ってたのです。依頼をしても受けてくれる人がいなくて…。やっぱり獣人は嫌われてしまうのです。」


 なんだと?

 こんなに可愛い子の依頼を受けないだと?

 聞いてみれば、どうやらこの世界は獣人を差別的に考える思考が多いらしい。

 光の神レイス様とやらが、人間絶対主義だからとかなんとか。

 ……くそレイスの奴、もしくはその名を語るやつ、いつか虐殺だな。

 こんな娘を差別するとかまじで殺す。

 神様が許しても俺が許さん。

 まぁその話は一旦置いといて――


「月光草?」

「はい、本当かは分かりませんが、黒呪病に効くかもと噂されていまして。母がその黒呪病にかかってしまったのです。基本的にはかかったら最後、ほぼ100%の確率で死ぬとされているのですが、どうしても諦めることが出来なくて。」

「その黒呪病ってのはどんな症状なの?」

「はい、身体の表面に黒い痣のようなものが出て、少しずつ衰弱していくのです。切り取ればいいのではないかと昔の人はその痣の部分を切り取ったりもしたらしいのですが、無駄だったらしいです。」


 それって皮膚ガンかなんかじゃないか?

 切り取ってもダメって多分他の部分に転移しちゃってたんだろうな。

 ふむ、ガン細胞だけ消すイメージでもすれば直せるんじゃなかろうか。


「でも、森にすらたどり着けませんでしたし、やっぱり諦めるしかないんでしょうか……。」


 今にも泣きそうな顔でしょんぼりする猫娘さん。

 どうにかしてあげたいな。

 出来るか分からないが試してみようかな?


「あの、もしかしたらだけど、俺その黒呪病とやらの治し方を知ってるかもしれないけど。」

「えっ!?本当ですか!?」

「うん、まぁかもしれないだから絶対に治る保証は出来ないけど。」

「いえ、少しでも可能性があるのでしたらお願いしたいです!どうせ月光草が効いたという話も眉唾程度のものでしたし……。」

「うん、じゃあ少しでも早い方がいいし、早速お母さんの所に行こうか。」

「はい!――ところでそちらの乗り物は一体……。かなりのスピードが出てましたが。」

「あぁ、これ?バイクって言って、まぁ自在に操れる馬みたいなものかな?馬よりも速いけど。」

「はぁ、今はそんなものまであるんですね。」

「いや、俺が作ったものだから世界に一つしかないよ?真似して作ることが出来る人もこの世界にはいないだろうし。」

「えっ?これを作ったんですか?ほへぇ、凄い方なんですね。」

「ん、まぁ色々な。そういえば君、名前なんて言うの?あ、俺はカズキ。」

「あ、そういえばまだ言ってませんでしたね。私はアナです。呼び捨てで構いません。」

「そっか。よろしく、アナ。ちなみにこちらは俺の家族のルナ。」

「ん、ルナ。アナ、よろ。」

「はい、ルナさん。こちらこそよろしくお願いします。」

「そんじゃあ行こうか。」


 アナも乗れるように、サイドカーを創造。

 バイクに取り付けてアナに乗るよう促そうとすると、アナがビックリしたといった顔でこちらを見ていた。

 あ、そういえば普通に創造魔法使っちゃったな。


「今のは内緒な。」

「え、あの、あ、はい分かりました。」


 口元に人差し指を当てて、シーッというジェスチャーをして忠告する。

 改めてアナにサイドカーに乗るように促し、俺たちもバイクに乗る。

 家の方角を聞き、出発進行。


「しっかり掴まっててな。振り落とされると悪いから。」

「あ、はい。」


 アクセルを回して出発する。

 急いだ方がいいだろうし、アクセル全開っと。


「うわ、凄い早いです!けど風が気持ちいい!」

「あはは、楽しいからってあんまり身を乗り出すなよ。」

「はい!」


 この世界の女の人はなんというか度胸あるな。

 いきなりこんな速度、俺だったらマジ無理だわ。

 絶対怖い。

 その後は、多少の会話をしながらアナの家へと向かった。






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