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ダラダラ異世界チート食べ歩記  作者: なすびいふん
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未知との遭遇

 ……………ここ何処だよ?



 ふと目を覚ますと、目の前には視界いっぱい広がる白い空間。

 右を見ても、左を見ても、上も下も前も後ろも真っ白い空間。

 全くもって見覚えがない。

 何処だよここ。

 と、そんな感想が出てきても良いのではないだろうか。

 取り敢えず、こんな状況に至るまでをちょいと整理してみることにする。


 俺の名前は平野和樹ヒラノカズキ、やや難関と言われている?大学の、卒業を迎えるのみとなった理系大学生四年生男子。

 でも理系は得意じゃない、最近よくある馬鹿学生の一人。

 就職は、一応は大手企業に就職することが出来てたので、将来は無難に生きていけるだろうと考えていた。

 アニメとかラノベ、漫画が大好きヲタクではあるが、人並みに社会を生きていけるという、何とも言えない性格だと自負している。

 女性にモテることはないだろう趣味性格。

 彼女はいたことはあるが、そういった経験はないし、今はもう別れてしまっている。

 美味しいものを食べること、美味い酒を飲むことが生き甲斐のだらだら大好き人間だ。

 両親と姉、妹がいたが、皆が皆放任主義なので、そんなに大きな問題はないだろう。

 ちなみにここに来るまでに覚えている記憶の最後は、マイカーのヴィッツたんに乗ってラーメンを食べに行こうとしていたところである。


 うん、死ぬ直前以外はしっかり覚えている。

 けど、何故かそこからここに来るまでの記憶が全くない。

 こいつは一体全体どういうこった?

 俺は最後にラーメンは食べれたのだろうか……。

 ……まぁそんなことは考えても仕方ないし、ここにいてやること無さそうだし、寝て起きたらどうにかなっていること祈って寝るとするか。

 丁度いいことに、ここはなんだか寒くないし、地面も固いわけでもないから寝心地も悪くないだろう。

 そう考え、俺は横になった―――。






――――――――――――――――――――






「……き……じゃ。」


 ん?なんか聞こえた?

 意識してからは、眠気も覚めて徐々に覚醒を始める。

 そうして、意識を覚醒していくと、自分の上に何か黒い影が覆いかぶさっているのが認識できる。

 流石にこの状況で寝れるほど、図太い神経はしていないので、目を開け起きることにした。

 すると――


「お願いだから起きてなのじゃぁ。」


 そんな女の子の声が聞こえ、目の前で女の子が自分を起こそうとしていたのが分かった。


「やっと起きたのじゃ。」

「―――――うん、取り敢えず君は誰かな?」


 てっきり車が事故に巻き込まれて、寝て起きたらどっかの病院で入院でもしていた。

 なので、さっきまでのは夢だろうと予想していたのだが、起きてみてもいまだに先程の真っ白い空間にいるではないか。

 先程までと違うのはこの謎の幼女がいるということである。


「我か?我はお主の知識の中の言葉で言うなら神様という奴じゃの。」


 ……うん、そういう設定なのかな?

 最近の子供は幼稚園とかでも携帯持っていたりとマセてるからなぁ。


「おいこら、何が設定じゃ。れっきとした神様じゃよ。」


 あ、そうなんですかー(棒)

 ん?あれ?俺今声に出してたか?


「声には出ておらんよ。心の声を読んだだけじゃからの。」


 なんと!?そんなファンタジーな人間は見たことがない。

 いや、たまたま俺が考えるであろうことを先読みしたとか―――


「ちなみにお主の名前は平野和樹。理系大学生で卒業と同時に某大手企業に就職を予定。ラーメンが大好きで記憶の最後もラーメンを食べに行こうとしていたとこじゃろ。アニメとかラノベが大好きで、生き甲斐はまさに酒飲んで食っちゃ寝すること。ちなみに黒歴史は小5、中2、高1、大学1年の時にそれぞれあるようじゃな。なんなら、内容も「いえっ、結構です!!!」うぬ。」


 くそう、なぜそんなにも俺のことを知っているのだ。黒歴史に関しては他の人に言ったことすらないのに。

 これは本当に……。


「うむ、信じてくれたかの。」

「はぁ、まぁ信じてもいいのですが、そうだとしてなんで神様が俺なんかの前に?」


 そもそも俺は世界に貢献したわけでもなく、特別な力を持っていたわけでもない。

 ただの一般人だ。

 才能があるわけでもなければ、容姿、性格とかもこれといって優れているとは思えない。


「うぬ、それなんだがのう。実は我の配下の天使が書類でちょいとミスをしてしまっての。」

「あぁ、書類ミスね。そんなのは頻繁にある――」

「お主死んでしもうたのじゃ。」

「頻繁になかった!?」


 いやいや、えっ!?俺死んだの!?死んじゃってたの!?

 確かにそれなら色々と辻褄合うけどさぁ。

 死んだならこんなに意識はっきりしてないんじゃないか?え?あれ!?


「しかし、本来は生きていたはずの魂を放置するわけにいかなくてのう。申し訳ないとは思うのじゃが、ひとまずこちらに連れて来たというわけじゃ。」


 なるへそ。しかるべき処置をするわけですね分かります。

 いやまぁ自分のことだしあんまり分かりたくないけど。


「それで、俺はどうすればいいの?てかどうなるの?あの世逝きなの?選択肢は?」


 まだまだやり残したことがある身としては、まだ死にたくはない。

 けど自然の摂理とかなんとかあるならまぁ仕方ないかもだけど。

 でも死にたくはない。


「それなのじゃが、選択肢としては三つほどあっての。一つ目は、普通に死んだ者の魂と同様に、輪廻の輪に入って新たな生命として生まれ変わることじゃの。この場合は記憶とかが無くなるの。」


 うん、言い回し的に記憶が無くならない方法があるらしいのでこれは却下だな。

 けど、生き返ることが出来るらしいので一安心っちゃあ一安心。


「二つ目は元いた世界、地球と言ったかの。そこで違う人間として人生を歩むことじゃ。じゃが、この場合お主が住んでいた国では、国籍やらなんやらが大変そうじゃのぅ。」


 うん、確かにそれだとストリートチルドレンとかになっちゃうな。

 そんな人生は御免です。

 そもそも日本でストリートチルドレンって生きていけるの?


「ふむ、その場合、元の身体でってのは無理なのか?」

「うむ、お主の元の身体なのじゃが、実は死んだ原因が後ろから大型トラックが突っ込んできて潰れたからでのう。それはもうニュースにもなっての。そんなぐちゃぐちゃで即死したはずの人間が蘇生した場合の世の中を想像してみるのじゃ。まぁ、それでも構わんというなら良いのだがのぅ。」


 うん、大パニックてか絶対ニュースになる。

 下手したら国とかに身柄取り押さえられて研究対象やら何や。

 うん却下だな。

 そもそも将来のビジョンが全く見えない。


「となると三つ目しかないわけだが……。」

「うむ、三つ目は別の世界。いわゆる異世界に転生してもらうことじゃ。その場合は向こうの世界でやっていける用にある程度は欲しい能力とかつけられるのじゃ。」

「それでお願いします!!!」

「う、うぬ、まだ向こうの世界の詳細とかも告げていないのだがのぅ…。」


 いやいや、そんなことはどうでもいい。

 だって好きな能力をつけてくれるってことは、夢にまで見た異世界生活を過ごせるってことじゃん!

 数多くの異世界転生もの小説を見てきた俺に、そんなの断る理由がないって!


「そんなに喜んでもらえればこちらとしても助かるのじゃ。配下のせいとはいえ、まだまだ長く生きるはずであった生命を殺してしまったのは大変申し訳ないと思っておったからのぅ。」

「いやまぁ誰にでもミスはあるし、すでに起こったこと責めてもしょうがないじゃん?それで横暴な態度取られでもしたらキレるけど、そんな態度どころか親身になってくれてるし。」

「うむ、お主良いやつじゃのぅ。気に入ったから能力とか望みがあったら少しでも多く叶えるのじゃ。」


 マジで!?なんか普通に接してただけなのにラッキー!

 貰えるものは全て(有意義なものに限る)もらう主義ですの!


「神様ありがとー。それじゃあ早速だけど、これから行く世界って一言で言うとファンタジーでおけ?」

「うぬ、そちらの世界で言う中世時代に魔法とか魔物を加えた世界と考えればよいと思うのじゃ。ちょっとした知識を送るの。」 


 ほいさ、という掛け声の後、軽い頭痛と共に膨大な量の知識が流れてくる。

 それから5分程経って、ようやく痛みが引いてきた。

 そりゃ常識って言っても全く違う世界のものだしちょっとでもこんな量にもなるか。

 内容は……てか、うん、大体テンプレだな。

 それはもう、どっかのコピペのごとく。


「ところで知識の中にはなかったけど、魔王とか邪神みたいな世界の脅威みたいのっているの?」


 いたならそれを倒すことになるとか面倒だし。

 まぁいても関わるつもりはないけど。


「魔王ならいるけど、特に世界を崩壊させるほどの脅威はないから心配はいらないと思うのぅ。勇者は別に存在しておるしのぅ。」


 んー、なら大丈夫か。

 よしそうと決まれば早速、出来る限りのチート検討タイムに入りますか!


「よし、じゃあ早速だけど欲しい能力順番に言っていくね。まずは、簡単には死なないかなり高い身体能力。人生楽しむ前に死にたくないからね。次に出来たらでいいんだけど、創造魔法かそれに近いものが欲しいかな。それから、それを使うだけの魔力も。あと、物を収納できるアイテムボックスみたいなもの。あと、色々なものを文字、数値化して見れるゲームのステータスみたいなものを見れる能力。あとはアニメとかラノベ、漫画も見たいから、それらをスマホで見れるように出来たりしないかな?インターネットも!まぁ出来ないなら諦めるけど。」

「うむ。身体能力は了解したのじゃ。創造魔法は、その世界にそのような魔法があるので、それを使えるようにしておくの。魔力は創造魔法を使える程度にしておく。収納に関しては、スキルのアイテムボックス、ステータスを見たいということに関しては、スキルのステータス鑑定を与えておくの。あとは、スマホ?とやらは、お主の知識から読み取った通りにしておくのぅ。」


 マジで!?よっしゃぁ、ラッキー!

 勢いで言った望みがほぼ適っちゃいましたよコレ!


「よしっ!ありがとう!あ、あと最後だけどそのスマホで神様と電話できるようにとか出来ない?」

「ん、我とか?」

「うん。」


 いや、折角知り合ったのにこれでお別れとか寂しいじゃん。

 それに神様って俺からしたら自分の起源を知ってる肉親みたいなものだから色々と話したいし。

 あと、下心丸出しで言えば、神様と知り合いとかどこかで役立ちそうだし。


「お主、中々黒いこと考えるのう。」


 しまった!

 心の声聞こえるんだっけ!?


「ま、まぁ、暇な時にでも話せたら楽しいだろうし、神様も愚痴とかあれば聞くからさ。」

「おぉ、そういうことならこちらからもぜひお願いするのじゃ!並び合う者がいないというのも退屈でのぅ。おかげで年中ボッチじゃ。」


 遠い目をする神様。

 余程つまらないんだろうなぁ。

 しかもおそらくだけど、人間みたいに自殺とか出来ないだろうからその長寿は苦痛にも近いのだろう。

 どのくらいの年月過ごしてきたかは想像もつかない。


「それじゃあお願いする能力はそんな感じでお願い。」

「うぬ、了解したのじゃ。」


 よし、これで楽しい楽しいファンタジー生活が……あぁほんとに楽しみだ。

 これからはわけ分からん法律とか就活とかその他諸々に関わらない生活できるんだよなぁ。

 あ、そういえば――


「ちなみにだけど、ミスしちゃった天使?だかと会ったりって出来る?」

「出来るけど、どうするのじゃ?」

「いや、気にしてないならいいけど、気にしてるようなら本人から大丈夫だよ的なこと言われないと心配とかしてると思って。」


 人から聞いたのでは、信用できても心配してしまうのが人間である。

 まぁそもそも天使だから人間じゃないけど。

 あれ、じゃあもしかしていらないのかも?


「そういうことなら問題ないのじゃ。―――ミカエル、先程の青年が呼んでいるからこっちに来るのじゃ。」


 念話のようなもので天使、ミカエルに話しかける神様。

 その次の瞬間、神様の横に、申し訳なさそうな顔をした金髪美女の天使が現れた。

 神様と違ってスタイルは抜群である。が――


「あの――」

「この度は大変申し訳ありませんでした!私に出来ることは何でもしますのでどうかお許しください!」


 いきなりDO・GE・ZAを始めた。

 おう、良い歳した女性の土下座というのは、なんというか罪悪感半端ないな。

 下手したらなんかのプレイにも見えそうでもあるというのは口チャックで。

 俺が特に気にしていないこと伝わってないのか。

 


「えっと、取り敢えず頭を上げてください。別に取って食ったりしないので。」

「ですが……。」


 なおも申し訳なさそうにする美女天使様。


「あー、神様には言ったんだけど、俺は別に気にしてはいないからさ。天使さん、えっとミカエルさんでしたっけ?も気にしないで大丈夫ですよ?」

「と、まぁ本人も言っておるし、もう気にすることはないのじゃよ。どっちにしろ後で仕事は増えるって罰は受けるんだしのぅ。」


 ここで空気を読んだ神様がミカエルさんに告げる。

 まぁいつの世もそれ相応の罰というものはあるものだしな。

 神様とかの世界にそんな所帯染みた概念は少し夢が壊れるが…。


「あの、もう気にしなくていいので、これからはミスに気を付けてお仕事頑張ってくださいね。」

「はい!頑張ります!」


 ミカエルが笑顔になったのでこれでもう問題ないだろう。


「それじゃあ神様。取り敢えずこれで用事終わったし、二人も仕事とかあるだろうからさっさと異世界送っちゃってくださいな。」

「うむ、そうだの。それにこれからはスマホとやらでいつでも会話できるしのぅ。」


 そう言って神様が手を軽く振ると、足元にはアニメとかで見たような魔法陣が展開された。


「それじゃあ異世界生活楽しむのじゃ。」

「おう、行ってきまーす。」


 その言葉を言い切ると同時に、その白い空間から和樹の姿が消失した。






――――――――――――――――――――






 その後、白い空間にて――


「あの、神様?いつでも会話できるってどういう……。」

「うぬ、スマホというものでいつでも和樹と話せるようにしたのじゃ!」

「な、そんな!羨ましい!」

「くふふ、いいじゃろ羨ましいじゃろ!」

「ぐぬぬ。私が悪い以上何も言えないのですが、納得が……。」








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