表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

まおうさまの愛玩日記

まおうさまと愛玩動物

作者: からせ
掲載日:2013/11/18

わたしはレシィ。

まおうさまのペット。アイガンドウブツというそうよ。



ある日、住んでいた城からさらわれて、この魔王城へやってきた。

そして、まおうさまに会ったの。

まおうさまは、さらわれてきたわたしを見て、不思議そうに首を傾げたわ。

わたしも、城の入口でマゾクの帰りを待っていた子どもが、まおうさまだなんて思っていなかった。

まおうさまはわたしを見て、小声でなにか仰ったけど、ぼそぼそというものだから聞こえなかったの。そうしたら、「わがはいのペットにする!」と大きな声で言うものだから、びっくりしたわ。

ペットだなんて、どこにいるのかしら?

辺りを見渡したけれど、犬も猫もいないの。

わたしをさらったマゾクが泣いていたけれど、まおうさまは見えていないのかしら、わたしの手を取って歩き始めて。

わたしを見て「……ひらひらでだいじょうぶか?」と仰ったのだけれど、何のことだったんでしょう。

わたしはまおうさまのお手があたたかくて、すごくほっとしたのを覚えているわ。


- - - - - - - -



まおうさまの仰る「ペット」とはわたしのことだったらしい。

びっくりしたけれど、まおうさまは優しくしてくださるから、気にしないわ。


時々、まおうさまの前で泣いてしまうの。お父さまやお母さまと離れてしまって、お兄さまもどこにいらっしゃるのか分からないままで悲しくなってしまうから。

そんなとき、まおうさまは困ったようにきょろきょろとあちこち見て、それからそっと、私の頭をぽんぽんと撫でて下さるの。

本当にお優しいまおうさま。

でも、ある日「フロに入るぞ!わがはいが背を流してやろう」と言われたときは、あまりにもびっくりして、思いっきり首を横に振って断わってしまったわ。

だ、だってまおうさま……おふろだなんて、わたしたち、まだ、子どもですわ……。



- - - - - - - -



まおうさまとは、一日ご一緒することが多いの。

朝はまず、まおうさまのお部屋に行って朝のご挨拶をするの。それから昼まではお勉強や習い事の教養の時間がある。まおうさまと一緒に勉強することもあれば、まおうさまが習っているのを見ていることもある。

タシナミとして、剣術の稽古もされているわ。でも、まおうさまはドラゴンと遊んでいるほうがお好きらしいの。

ドラゴンと遊んだあと、まおうさまがわたしに手を出すように仰ったの。

手の上に置かれたものを見て、わたしは叫んだわ。

ネズミとトカゲの死骸に、動物の頭部の骨。

触ったことはもちろん、見たこともなかったのに。

叫んで、放り投げて、泣いて。手も洗いたくて。

「まおうさまのばか!こんなのいらないの!」

まおうさまの顔も見ずに、走って部屋に戻ったわ。

部屋に帰ったあとはよく手を洗って、布団にくるまって寝ることにしたの。

でも、その日は夜の間ずっと雷が鳴って、こわくて眠れなかったわ。



- - - - - - - -




ある日、まおうさまがミヨを彩るソウレイなるタイカンシキに出られるということで、わたしは部屋でお留守番をしていたの。

……久しぶりのひとりぼっちだわ。なにをしたらいいのかしら。

わたしが読めるニンゲンの本は全部読んでしまったし、刺繍も飽きてしまったわ。ひとりでお茶をいただいても退屈だし。

そうよ、ボウケンすればいいのだわ。

まおうさまが仰っていたの、「いつかわがはいも、世界中をボウケンするのだ!」って。

でも、ひとりじゃ寂しいから一緒に来て欲しいんですって。

わたしもひとりじゃ寂しいから、まおうさまと一緒にいたいってお答えしたの。

いつかわたしもまおうさまとボウケンするのだから、練習しておかなくっちゃ。

まずはお部屋を出るのよ、そして行ったことのない場所に行くの。

……地下だわ!

お菓子をポケットに忍ばせて、さあ、行くわよレシィ。

ボウケンの練習よ!





数刻後、わたしはあまりにも広い魔王城で迷子になってしまったの。

探してくださったまおうさまも、わたしも、泣きすぎて目を真っ赤にしていたわ。

結局マゾクが見つけてくれたんだけど、数刻ぶりにお会いしたまおうさまがわたしをぎゅうって抱きしめてくださるから、マゾクは顔を真っ赤にして怒っていたの。

まおうさまは見えていないのか知らんぷり。

その日はまおうさまにぎゅうってされたまま、眠ってしまったわ。

だって疲れちゃったんだもの。

あたたかくって、安心しちゃったのは、秘密よ?




- - - - - - - -




最近、まおうさまと一緒にいる時間がもっと増えたの。

朝は隣で眠るまおうさまを起こしてさしあげるの。まおうさまはランプをつけたまま眠られるの。わたしは眩しいとあまり眠れないから、いつもわたしのほうが早起きなのよ。

昼までは教養の時間。まおうさまと同じ書物を学び、タシナミの剣術は見学しているの。でも、ドラゴンとは一緒に遊ぶようになったのよ。

ネズミの死骸はドラゴンのお菓子だったらしい。まおうさま、ペットとはいえ、わたしとドラゴンを一緒にするだなんて……失礼しちゃうわ。

まおうさまとご一緒する時間が、とても幸せなの。

わたし、この時間を大切にしているの。

まおうさまも、同じように思ってくれているかしら?



今度、まおうさまに聞いてみようかしら。なんて答えてくださるかしら。




「まおうさま、

大切なものはありますか?」










* * * * * * * *



ご拝読いただき、ありがとうございます。


「まおうさまの愛玩日記」

「まおうさまを愛玩日記」

に続くまおうさまストーリーでした。



感想・評価いただけると嬉しいです♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まおうさまとレシィのやりとりがすごく微笑ましいです(*´∀`) 将来もしかしたら結婚しちゃったりして~( ´∀`) とニヤニヤ想像しながら読んでしまいました(笑)
2015/09/20 20:24 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ