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ある朝の恋

作者: レイノJ
掲載日:2012/04/19



「なんで起こしてくれなかったのよ」


 そういって彼女は、毎朝僕を睨みつける。


「今日も学校遅刻しちゃうじゃんっ!」

 手早く制服と学生鞄を用意しながら、イライラと頭をかきむしる彼女。

 今朝でもう、一か月は同じ台詞を言われている。


 夜寝るとき、「明日こそは起こしてよね」と言われる僕。

 それに笑顔で頷く僕を見て、彼女は毎晩少し安心した顔をする。

 そしていつも、裏切られる。


「なんでいっつもいっつも起こしてくれないの!?」

 ぐしゃぐしゃになった髪の毛を手で整えながら、彼女が再び僕に尋ねてきた。

「だって、眠そうだったから……」

「そりゃずっと寝ていたいけどね!?起きなきゃダメなのよ!」


 ああああっと天井を向いて咆哮したあと、ドアノブに手をかける彼女。

 もう振り向いてはくれない。


「もういやっ」


 バタン、と。

 ドアが彼女の心を語るかのように閉められた。


 毎日毎朝、こんな日々が続く。


 僕が彼女を、言われた通りに起こせばいいだけなのだ。

 寝相の悪い彼女をたたき起して、大欠伸をするのを眺めればいいだけ。

 僕と彼女が同じ部屋で生活するようになった初日にしたように。

 そうすれば彼女は、遅刻することもイライラすることもない。

 僕も怒鳴られなくてすむ。





 それでも僕は、彼女を起こしはしないだろう。



 大欠伸をしながら君が呟いた一言が、忘れられないから。



「ねむたい」



 だから僕は、今夜も君に約束する。


 「明日は起こすよ」


 そしてまた、裏切ろう。









「お母さん」




「あの目覚まし時計、やっぱ壊れてるみたい」





「今日、帰りに新しいの買ってくるわ」





思いつき短編でした。読んで下さってありがとうございます。

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