真性・2
午前の授業は退屈だ。理由はないのだが退屈なのだ。
特に国語なんてものは退屈で仕方ない。知っている知識を高めて何の意味があるのだろうかと。
しかし、単位は落としてはならない。成績がいまいちなのは自分でも理解しているつもりだ
(だからといって、僕は自分の生理反応を抑えるなんて思いはしない!!)
教科書を前におき、隠れるようにして眠る。
そして、僕の後ろの席では祭が先に寝ていた。
「んんっ・・・よく寝た。」
昼休みになったと同時に起きた。もう身体が覚えているのだろう
席を立ち、食堂へ向かう。今日はうどんの気分だ
食堂へと続く廊下。他の人は個々で移動したのだろうか誰も居ないようだ。
突然、視界の色がなくなり
ぐにゃ!と空間が歪み、その場に膝が落ちた
「え・・・・?なん・・だ・・よ・・これ・・」
吐き気がする。ここでは自分でいられないような気がする。
まるでここだけ死んだような感じ
動けないのではない、これは本能で動かないのだ。
あきらかに次元が違う。ここは自分の入れる場所ではないことがすぐにわかった。
視界が戻る。ようやく正気に戻れた。
あれはなんだったのかわからないが、いやな予感がするのはわかっていた。
早くなにかで紛らわせなければ身が持たない。食堂へ急いだ。
「遅かったな、何してたんだ?」
そこには一足先に祭が来ていた。
「僕にだって事情があるんだよ」
景色が歪んだなんていったら嫌味を言われるに決まっている。
そんなのはこっちから御免だ。それに信じてくれるはずもないだろう
食券を買い、注文して席に着いた。今日は力うどんだ。
『・・・次のニュースです。昨夜未明、風鳴市で男性3人の死体が見つかりました。
被害者は全員両腕がなく、出欠多量で亡くなった模様で・・・』
テレビからのニュースに耳を傾けていた。殺人らしい。
餅を噛み切ろる途中で、テレビを見ていると祭が
「しかし酷いよな。両腕なしで放置なんてな。生き地獄だぜ。」
「たしかに。なんで止めを刺さなかったんだろう。」
「お前、今のはかなりぶっ飛んでるぞ。ま、いいけどさ。なんていうか
かなり恨んでたんだろうな。じゃなきゃここまでしないだろうに。」
カレーを食べながら祭が答えた。確かにいうとおりだ。
一時的な感情なら致命傷か殺しているはず。しかし、こいつは殺さないでいる。
相当恨んでいるか、明らかに狂っているやつだ。
そう思いながら、最後のつゆを飲み干して食堂を後にした
午後の授業を軽く流して(聞いていないのだが)放課後になった。
誰もいない校舎。この孤独感は好きだ。理由なんてない、ただ好きなんだ。
時刻が6時を回ろうとしている。
「そろそろ帰るか、遅くなるといけないし」
外は日が落ちる寸前、家の間から薄っすらと藍と朱の太陽が顔を出している。