表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

円盤・3

宙に浮く円盤。昼下がりに俺は何をやっているのだろう

いつもと変わらない日を過ごしていたのに、外に出てみるとこれだ

俺がなにしたっていうんだ。お前になにもしてないだろ。

「ほら、どうしたの?降参なら潔く死になさいよ」

円盤を弾くが、すべて弾けるわけがない。

かすれば服が裂け、当たれば肉が裂ける。こんなことはなかった

いままでこんなことはなかった。あるわけがない。

先生が生徒を殺す、そんなことがあってたまるか。その標的がなんで・・・

「なんで俺なんだよ!!」

叫ぶ、誰かに助けを求めるかのように。だが、そこには敵と守るものしかいない


拒絶する、俺はこの存在を拒絶する。敵とする俺の存在を拒絶する

椿を守り、和志のもとへ帰すだけなのに

「それだけなのに・・・なんで」

「いい加減にぃぃ!」

「なんでお前はそこにいるんだ―――」

風が吹く、すべてを薙ぎ払うかのように

円盤は舞うのを止め、動かなくなった。風が、円盤を押している

(・・・・視える。風の進む道が。これが俺の異種の力か・・)

血流は速く、体中を循環する

循環した液は、神経を伝い眼を紅く染め上げた。

「これが、あいつの言ってた眼なのか・・・視える」

無数の線が、風を伝い、地面を這い、どこまでも奥へ

その線は創れる。どんな形にでも、たとえそれが、そこに無くても

「そうか、そういう力なのか」

風は止み、円盤が再び宙を舞う。だけど、もう触れることは無いだろう

紅く染まった世界の中心から外へ、外へと黄金の世界が広がっていく

「なんだったの、今の風は。でも、次はもうない!」

「それは・・・お前も一緒だ!!」

向かう円盤を視る。

(・・・線を創り、円盤を包む。―潰れろ!)

グシャリと円盤が潰れていく。宙を舞う円盤は次々と地へ落ちていく

「な、なんでよ。わたしのシールが」

「俺は、ここを抜ける。だから―」

敵を睨みつけ

「お前はここから消えろ、穂波!」

世界を黒い線で円を、それを内側から潰していく

円の外殻まで潰し、世界は破裂した

「え、これって!――――」

数十メートル吹き飛んだ穂波の声はここまで届かなかった

すべてが終わり、気を緩めた。

「はぁぁ、疲れた。マジで死ぬかと思ったぁぁ・・・」


「椿、もういいぞ。いくぞー。」

隠れていた椿が出てきた。こちらを見て何かいいたそうだ

「なんだ、何か言いたそうな顔だな」

「眼、というより瞳が金色だよ。どうしたの?」

世界はもう黄金じゃないはずだが、眼は黄金のままらしい

「いや、まぁ。あれだ・・・そうだな」

「なにか悪いものでも食べたの?」

「そう!ここに来る前にパン食べたんだった。それが当たったのかな」

適当な嘘だ。騙せるはずない。

「やっぱり〜。なんでも口にするからいけないんだよ」

騙せた。なんて純な子なのだろう

「じゃ、帰ろうか。先生はもう帰ったよ。ところでいつから隠れてた?」

「ん?一回注意してからわたしだけ疎外感感じてたからそこから」

疎外感って最近の子は高度な言葉を話すものだ

二人は校舎へ帰る。あとで保健室で怒られるだろうな

腕に裂けた痕があるなんてどう説明したらいいものか

「式さん、かっこよかった〜♪また守ってもらおうかな」

「冗談。もうこりごりだ。これからは和志に一言いってからどっかいけ」

笑いながら帰る二人。俺の周りをグルグル回りながらはしゃぐ椿

そのうちこけてしまうのだと思うと気が重かった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ