円盤・2
「つばきー、どこいったー。」
昼休みだというのに校舎裏で叫んでいる自分
なんだか少しだけ虚しい気がする。でも、和志と約束したんだ
「なんで約束なんてしたんだろ。こんなことすることなかったのにな・・・」
不貞腐れながらも椿を探す。あの予感を感じたらそうも言っていられない
あの予感はあきらかに嫌な予感だ。身の回りで何かが起こる前触れ
「くそ、どこいったんだよ」
休みもなくなってきたが、まだ椿は見つからない
外をだいぶ歩いて疲れてきた。頬を汗がたどる
「あと行ってない所・・・旧校舎か。あそこなら誰もいかないな」
走りだす。不安を消すかのように、忘れるかのように走り出す
「はぁはぁ・・ぁ、つばきー!いるかー!!」
「あ、式さ〜ん♪」
手を振っている。間違いなく椿がいた
「なんでこんなところにいるんだ。和志が心配して泣き崩れてたぞ」
「え、なんでって。穂波先生に呼ばれたんですよ。」
なんで先生が、直接職員室に呼べばいいじゃないか。
何か理由があるのか、あったとしてもなんでここへ
「・・・・・・・シール」
気配に気付き振り向く。目の前に円盤が見えた
「くっ、円盤?―こんなもの!!」
横回転の円盤を下から腕を振り弾く。後ろに椿がいるので避けるわけにはいかない。
―スッ・・・
「式さん、もう一枚!!」と言われたが、遅かった
円盤は左腕を裂き、穂波のもとへ返っている
「ん、異種じゃないの?たしかに感じるんだけどな」
裂かれた腕を押さえながら見てみるとそこに穂波が立っていた
周りには三枚の円盤が穂波の周りを回っている。弾いた一枚も返っている
「なんだっていうんだ・・・あんたも異種なのか」
「なんだ、やっぱり異種なんだ。じゃあ、消さないとね♪」
耳に掛かった髪を払い、鋭いまなざしでこちらを見る
ふざけた口調だが目は大真面目だ
やられる。でも、椿だけでも帰さなければ
(約束だもんな、和志・・・)
「先生よぉ・・・椿はどうするんだ。関係ないだろ」
「逃げれたら見逃してあげる。でも・・・」
バシンッ、バシンッ、バシンッ―
「わたしの円盤から逃げられたらね♪」
道路と壁が削られ、円盤が増える。円盤の数が十を越えた
逃げ場ははじめからないんだ。敵を倒し、約束を守るために。
俺は、この道を、切り抜ける。