再来は夜に・2
月夜に照らされ伸びる影、なんて不気味なのだろう
自分なのに自分より大きい姿をしている。まるで怪物のようだ
その影につられるように僕は家路に着いた
家に明かりはともっていない。家族は寝ているようだ
家を出たのは1時ごろだったはずだ。寝ていて当然だろう
音を出さないようにドアを開け、忍び足で自室に戻る
崩れるようにベッドに沈む身体。鉛のようにうごかない
「やっぱあれは幻じゃなかったか。まさか風貴が帰ってくるなんて」
ため息混じりに急に眠気が来た。あの空間で何時間もの集中をしたような気がする
ちがう、していなければいけなかったのだ。
あの状況で集中を崩したら喰われていた。あの風貴の後ろにいた黒い影に
「そんな力が僕にも力があるのだろうか・・・あの線が僕の力」
思考が止まり身体が深い眠りについた
「おはよ・・・って、いつもの早朝組しかいないか」
はやめに家を出て、学校に着いた。教室にはいつものメンバーが揃っていた
その中には祭と沙耶もいる。
「よっ、なんだよ。お前もこれからは早朝組に入るのか」
「おはよ〜、いつも早いね〜♪」
いつもの朝だ。学校に友がいて、同じ時間を過ごし別れる平和な日々
この時間がいつまでも続けばいいのにと願う自分がいた
叶うはずのない希望。僕は彼らとは違うから。僕は・・俺は異種だから
「なぁ・・・祭、ちょっと聞いていいか」
「ん、なんだよ。お前から俺に質問なんて聞いたことないぞ」
俺を茶化す祭。
「僕ってのは・・・変だよな。この口調だと俺だよな」
「はぁ?」
唖然とする祭。隣の沙耶まで首をかしげている
夜に風貴にいわれて考えていたがやっと自分でも変だと思ったのだ
「そりゃ、まぁ変だな。ずっと言ってたから思わなかったけどな」
「そういえば変だよね〜。強気な口調なのに”僕”って」
あきらかに笑いを抑えながら答えている。なんだか悔しい
自分で理解していることだから余計に悔しくて、恥ずかしい
「じゃ、今度から俺でいくかぁ。ぁーかったるい」
椅子に深くもたれる。なんだか一日の緊張がほぐれたみたいでどっと疲れた
俺はこんなことで悩んでいたのかと思うととても疲れた