学校の中庭に刺さるクリスマスツリー
学舎の湿気を含んだ陰鬱な中庭の土壌に、まるで不条理な十字架のように垂直に刺突されていた。
クリスマス・ツリー。
それは、去ったはずの卑俗な祝祭の、あるいは近代が捏造した「幸福」という欺瞞の、不格好な墓標にほかならなかった。
「抜いてみよう」
誰の口からともなく漏れたその一言は、退屈な神への革命の合図であった。青年たちの手が、痩せ細った幹へと掛けられる。青年の筋肉がその若き義務を果たすべく密密と収縮する。引き抜く瞬間、それは単なる樹木の移動ではなかった。それは、彼らの肉体を包む「何にでもなれるが、何者でもない」という、あの甘美で残酷なモラトリアムを内側から爆破する象徴的行為であった。
引き抜かれた大地の傷口から噴き出したのは、聖なる血ではなかった。法科大学院の2年間ないし3年間、この地にとぐろを巻いていた泥濘のごとき黒濁したマグマである。
しかし、奇跡はまさにその瞬間に起こる。
地中から解放されたその暗黒のエネルギーは、大気と触れ、青年たちの放つ不遜な情熱と衝突した瞬間、眩暈を覚えるほどに純白で、明るすぎる『希望』の火柱へと結晶化したのだ。
こうして、青年たちは小さな犠牲のもとに小さな革命をここに完成させ、大人になっていく。クリスマス・ツリーはその代償として青々しい色を失い、茶色となった。
クリスマス・ツリーは、この大人によって再び植えられるであろう。




