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隣の誰かが泣いたから

作者: 菜の花


隣の誰かが泣いたから

僕もなんだか涙が溢れてくる

真っ赤に腫れたまぶたの裏に

鮮明に映る嫌な言葉は

忘れてしまいたいけれど

心臓に絡みついて離そうとしない


ガラスと化した尖った言葉が

鋭いナイフのようになって

僕の胸を一突き二突き

貫いてはすぐに抜き

溢れた深紅の水溜りは

ひそかに影を落とした


静かに息を吐くたび

胸の奥でまだ鈍く疼くのは

割れたガラスのように尖った破片が

いくつも刺さったままだから


粉々になった破片を

すべて取り除くことなんてできやしない

知らない誰かはもちろん

親にも、友人にも

あなたにも、僕にさえも


それでも

決して諦めたりしないで

掌をそっと差し出して

どうか温もりを感じさせて


ひとつ、ふたつ、みっつ

小さな破片を溶かすように

支え合って生きよう


生きていこうよ


隣の誰かが笑うから

僕もつられて笑顔を浮かべる

曇り模様の心が晴れて

傷がすべて消えるかといわれると

そうでもないけれど

蛍の淡い光くらいは灯ったかもしれない

ご覧いただきありがとうございました。


隣の誰かが笑ったら、僕も笑顔になれる。


誰かに届きますように。

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