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『日本改造計画』外伝:その肆< 『多夫多妻』ドラマ(2)五年後_十年後>

 あれから五年後……舞奈は29歳になっていた。

「舞奈。ようやく首が安定してきたわね。」

「うん。三か月かかったわぁぁ。」

 三人目の子供を抱き上げた舞奈だった。

「これでようやく、美奈も抱っこの真似できるわね。」

「んん。どうだよねぇぇ。桜は、二歳だしまだ早いよねぇぇ。」

「で、遺伝子鑑定は、どうだったの。」

「勿論、大丈夫よぉぉ。ほら、ようやくできたのよぉぉ。遺伝子鑑定書ぉぉ。」

「えーー。父親:端練宝一はたね・たかかず母親:称行舞奈あげゆき・まいな

 子供:時雄。よかったわ。これで、端練さんから養育費貰えるわね。」

「うん。毎月五万円よぉぉ。これで、今までの三か月分十五万円も貰えるぅぅ。」


 * * * 


 あれから五年後……忠大28歳、那奈25歳。

「どうでした。あなた。」

「間違いない。俺の子供だった。これが、遺伝子鑑定書。」

「よかったですわ。これで、あなたにもタイボウの、ふたりめ。しかもソトのこども。」

「なら、二人目の子供を産んでくれるかい。那奈。」

「はい。」

 抱き合う夫婦だった。

「さあ、お父さんたちに報告に行こう。那奈。」

「そうですね。」


 * * * 


「これで、三人目の子供が生まれました。それぞれ父親は……

 第一子:美奈、父親:酒暁金銅さかき・ごんどう

 第二子:桜 、父親:巻府真札まきふ・しんれい

 第三子:時雄、父親:端練宝一はたね・たかかず

 と言う事でいいのですね。舞奈。」

「そうよぉぉ。」

「で、養育費として、三人の父親から毎月貰える金額は……

 酒暁金銅:五万円

 巻府真札:三万円

 端練宝一:一万円

 で、いいのですね。舞奈。」

「そうよぉぉ。ってか、なにケチ臭いわねぇぇ! ホント、ムカつく!」

「そうは言っても、憲法で決まっていますよ。『養育費の金額を決定する権利』は、

 父親、夫にある。ですから、一円でも貰えるだけマシなのですよ。舞奈。」

「マジ、ムカつくぅぅ!」

「そうは、言ってもベーシックインカムで、国から毎年73万円支給されています。

 しかも、子供にも支給されているのですから、毎年219万円支給されています。

 更に、父親から養育費として毎月九万円×12か月で、108万円。これで327万。

 最後にあなたの分のベーシックインカムで、毎年73万円。

 合計で400万円になります。『物価半減令』のお陰で、問題なく生活できます。舞奈。」

「こっちは、おまえらのクソ遺伝子で、子供産んでやってんのよ!

 マジ、ムカつくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」


 * * * 


「よかったわ。忠大、これで二児の父親ね。」

「ありがとう。かあさん。それで、養育費なんだけど、毎月5万円を考えているんだ。」

「そうよね。ここは、ケチっても仕方ないし、5万円くらいが、妥当よね。」

「わたしからも、ひとついいでしょうか。おかあさま。」

「何かしら。那奈さん。」

「わたしとしては、ハンタイです。あなた、おかあさま。」

「何故です。那奈さん。」

「ワタシとしては、もうヒトリ、うむべきとおもいます。ここで50000エン。

 まいつきコドモが、セイジンするまで20ネン。20000エンでよいとおもいます。」

「あら、あなたが、三人目を産んでくれるの。………………まあそれならいいかしら。」

「いや、憲法と法律で相続が禁止されたとは言え、生命保険は目こぼしを貰っている。

 お母さんの生命保険は、丸々僕が受け取った。月5万から2万に下げなくてもな……。」

 ここで、口をはさんだ忠大の父親だった。

「なら、折衷案として、毎月2万円、年末だけ5万円、年間27万円、20年。

 これなら、ベーシックインカム73万円と合わせて100万円になる。どうかな。」

「………いいんじゃないかしら。三人目も併せていいでしょう。那奈さん。」

「ワかりました。では、アナタのイケンで、ドウイします。」


 * * * 


 あれから十年後……舞奈は34歳になっていた。

「結局、あの娘と一緒に暮らす男性が、まだ見つからないのよ。」

 そう、ため息を漏らす舞奈の母親だった。

「はい。ご飯ですよぉぉ。」

 そう言って、子供たちの前に、食事を並べる舞奈だった。

 美奈(第一子、9歳)には。ご飯、とんかつ、キャベツの千切り、ひじき、漬物、みそ汁。

 桜(第二子、7歳)には、ご飯、焼き鮭、みそ汁、ひじき、漬物。

 時雄(第三子、5歳)には、ご飯、生卵。

「いただきます。」

 子供達の声が、唱和した。

「早く食べなさい。片付かないでしょうぅぅ。」

「いいのかい。舞奈。」

「お母さん。毎日毎日同じ質問繰り返さないでよ。子供達が誤解するじゃないぃぃ。」

「いいのよ。美奈の父親は、親として義務を果たしているわよ。月五万養育費払っている。

 桜の父親は、たかが三万円ですけど、一応払ってます。時雄の父親は一万よぉぉ。

 マジ、ムカつくぅぅ!」

「おかーーさん、トキオが、たまごワリそこなちゃった。ユカよごれたの。」

「なぁぁんですっっっっっっってぇ! このバカ! 卵一つ割れないのぉぉ!」

 時雄に往復ビンタを喰らわす舞奈だった。

「私から言って聞かせるよ。今日はそのへんでやめてあげなさいな。舞奈。」

 時雄の鳴き声をBGMに、まだも平手打ちをやめようとしない舞奈に話しかける舞奈の母。

「いいですか。この子は、もう五歳なんですよ! こんな簡単な事もできない!

 もっと、お仕置きが必要です! このバカぁぁ!」

 時雄を仰向けにすると、手鹿にあったプラスチック製の『布団叩き』で背中を叩く。

「このバカぁぁ!」

 時雄の鳴き声をBGMに、何度も布団叩きを、時雄の背中に振り下ろす舞奈だった。

 そして、何度も母親から制止の言葉をかけられるも無視して息も絶え絶えになるまで続けた。何とか、荒ぶる呼吸を無理やり整えようとして、できていない舞奈だった。

「お母さん、掃除と後片付けしといてねぇぇ。」

 布団叩きを頬り捨て、その場を後にした舞奈だった。

「時雄、大丈夫かい。」

「うぅ……うっ……うっ……うっ……おばあっ……ちゃん。」

「はい。よしよしよし。背中見せなさい。」

「うん……。」

「大丈夫だね。ケガはしてないね。少し赤くなっただけだよ。よかったね。時雄。」

 しばらく抱き合う祖母と孫だった。

「そう言えば、時雄。今朝、お昼は、上手くタマゴ割れてたね。

 どうして、さっきは、上手くできなかったの?」

「うん。タマゴが、ぬるってしてたの。で、すべっておちたの。」

「おや、そうだったのかい。じゃ、ご飯にみそ汁かけてあげるね。たんとおあがり。」

「うん。おばあちゃん。」


 * * * 


 あれから十年後……忠大34歳、那奈30歳。

 子供の年齢は、以下の通りである。

 勇希(第一子、13歳)同居

 幸子(第二子、5歳)別居

 憲希(第三子、4歳)同居

 今日も職場から帰宅した納形忠大だった。

「おかえりなさい。あなた。」

「おかえりなさい。お父さん。」

「おかえりなさい。おとうさん。」

「おかえりなさい。忠大。」

「おかえりなさい。忠大。」

「ただいま。お父さん、お母さん、那奈、勇希、憲希。」

 そう言って、長男、次男の順番にハグしてやる忠大だった。

「おや、眠そうだな、憲希。おかあさん、お願いします。」

「はい。忠大の事、お願いしますよ。那奈さん。さ、お部屋に帰りましょう。」

 そう言って子供達を引き連れ、奥に引っ込む忠大の母親。無言でついていく父親だった。

「今日の献立は、何かな。那奈。」

 忠大の鞄を持って先に進む那奈に話しかける忠大。

「今日は、カレーです。」

「そっか、子供達が喜んだだろうな。」

「勇希は、カツカレーにしましたわ。二人ともヨロコんでいました。」

「そうだな。憲希は兎も角、勇希は、育ち盛りだからな。よくやったな。那奈。」

 部屋に到着すると、部屋着に着替える忠大。脱いだ背広をしわのばししつつしまう那奈。

 そんなこんなで、DKに場所を移しての夕食とする。

「はい。どうぞ、あなた。」

「ありがとう。ところで、今日のお漬物は、キュウリじゃないね。」

「はい。ズッキーニです。おかあさまは、ガイコクのヤサイをツケモノにすること、

 ハンタイさなっていました。が、お父さまは、オイシイといってました。」

「そうだね。美味しいよ。歯ごたえが、いいね。」

「ありがとうございます。憲希の口にあわせましたので、カレーはウスアジです。

 おこのみで、チリパウダーをどうぞ。」

 そんなこんなで、今日の職場の人間関係などを話しつつ夕食に舌鼓を打つ忠大だった。


<END>


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