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お客様の中に柴犬はおられませんかっ?!


 ああ、なんて美しいのだろう


 赤、黒、胡麻、白


 くるりと巻いたその尾の根元


 その背中側に


 私を挟んで放さないで欲しい


 私は走ろう、あなたの尾に巻かれて


 けっして振り落とされずに


 あなたの背中で、あなたと走りきって


 そうしてはっはっと息を吐こう


 二人ならそう、どんな場所だって


 制約があろうと無かろうと


 走り抜けてみせよう


 ああ、なんて美しいのだろう


 縁取られたその額のもよう


 富士額に眉のような白い毛


 ああ、わたしはその縁に掴まり


 滑り落ちてあなたと遊びたい


 何度だって滑り落ち、また登り


 あなたが面倒くさそうに


 ふしゅんと鼻を鳴らしたのなら


 わたしはその息に飛ばされて


 富士山のてっぺんの雪に埋もれて


 気持ちよく高く笑えるだろう


 あなたは気高いこころの持ち主


 簡単に誰かの気持ちに


 添ったりなんか


 決してしないの


 その孤高さにわたしを溶かし入れて


 自我なんかよりあなたが大事よ


 ひとつの真心あなたに注ぐわ


 一生よ ぜったいなの



 

 ああなんて美しい


 ああなんて素晴らしい


 私をあなたの抜け毛に入れて


 私をあなたの足のしたに押しやって


 私をあなたの鼻水で汚して


 ああ、たくさんなじって


 ねえ、わたしに吠えかかってきて


 さあ、私を選んでーー。



 わたしはあなたの為なら

 なんでもしてみせる


 わたしは、あなたが、だあいすき


 なんて美しい

 なんて素晴らしい

 生き物なんでしょう


 あなた、あなたたち……


 柴犬は。

 柴犬……柴犬……私に柴犬を……!

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