表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】やいまファンタジー、もうひとつの世界  作者: BIRD
第3章:七海の願いとリッカの夢

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/39

第21話:光の魔術(アカガイヌマジティー)

 挿絵(By みてみん)


 ぼくとムイがヤイマ国に来てから、2週間くらいが過ぎた。

 魔力(マジグテー)()きるまで魔術(マジティー)を使うと、魔力の最大値というのが増える。

 それを知ったリッカにぃにぃは、毎日コッソリ魔力を使い切って気絶している。


「よし、そろそろだな」

「はーい」


 練習場に人がいないときに、大きな魔術を使い続けるリッカにぃにぃ。

 腕輪(ウディコールー)が光ったら、ぼくの出番だ。

 出番といっても、にぃにぃをだっこするだけ。

 今日もぼくはリッカにぃにぃが気絶する前からだっこしてあげて、にぃにぃが地面に頭をぶつけないように守っている。


氷柱(クウリハーヤ)!」


 最近にぃにぃがよく使うのは、氷の柱を作る魔術。

 それも、練習場をぐるりと囲む、大量の柱だ。

 この魔術なら、あとからここへ来た人のめいわくにならない。

 すずしくて気持ちいいはず。

 腕輪が光るのは、魔力が残り少なくなったときらしいけど。

 今のにぃにぃは、赤く光り始めたときでも大きな魔術を使える。


「今日もナナミの腕輪は光らなかったな」


 にぃにぃがぼくの腕輪を見て言う。

 ぼくはにぃにぃが新しい魔術を使うと、まねっこして使っているのだけど、どんな大きな魔術でも何回使っても、ぼくの腕輪が光ったことは一度も無い。


「オレもけっこう多くなったはずだけど、まだまだナナミには届かないなぁ」

「でもこうやって毎日増やしていけば、いつかにぃにぃの方が多くなるよね」

「だといいな。でも、その前に大きいにぃにぃたちを追いこしてやるぞ」

がんばって(ちばりよ)!」

任せろ(まかちょーけ)!」


 そんな話をしたからかな?

 リッカにぃにぃが残りの魔力を使って作ったのは、大きいにぃにぃたちの氷の像だった。

 像を完成させたあと、気絶したリッカにぃにぃを部屋に運んだから、ぼくたちは気づかなかったのだけど。

 その氷の像はよくできていたからか、見つけただれかが保存の魔術をかけたらしい。



 翌朝、練習場へ行ってみたら、氷の像はとけずに残されていた。

 オマケに、花かざりまでつけられているよ。


「リッカにぃにぃの作品が、だれかに気に入られたみたいだね」

「女官たちかな? 大きいにぃにぃたちは女の人に人気があるんだ」


 ぼくといっしょに氷の像を見上げているリッカにぃにぃは、ちょっと困り顔だ。

 なんとなく作っただけなのに、練習場のオブジェにされちゃったからね。


「おぉリッカ、にぃにぃたちの像を作るなんて。そんなに好き(カナサン)だったのかい?」


 後ろからそんな声がして、リッカにぃにぃがギクッ! とした感じでふり返った。

 いっしょにふり向いたぼくも、そこにいるのがだれか、すぐに分かった。

 うれしそうにニコニコしているのは、大きいにぃにぃたちだ。


凄く(マール)嬉しいよ(サニシャン)~」

かわいい(ンゾーサーン)リッカ、だきしめてもいいかい?」


 って言いながら、大きいにぃにぃたちが近付いてくる。

 リッカにぃにぃは、すごくイヤそうな顔で大きいにぃにぃたちを見たあと、ギュッとぼくにだきついた。


帰還(ケーラ)


 ボソッとつぶやくような声で移動魔術を使って、リッカにぃにぃはぼくを連れて練習場からにげ出した。

 すっかり見慣れた星の海で、リッカにぃにぃはフゥッとため息をついている。


「あぶないあぶない、大きいにぃにぃたちにだきしめられたら骨が折れてしまうぞ」

「えぇっ?!」


 リッカにぃにぃの言葉に、ぼくはビックリしてしまったよ。

 骨が折れるって……。

 たしかに、大きいにぃにぃたちは筋肉がいっぱいあって力が強そうだけど。


「まあ、本当に骨が折れたことは無いが、息ができなくて気絶したことはあったな」

「それはあぶないね」

「ナナミも大きいにぃにぃがだきしめようとしたらにげろよ」

「う、うん」


 星の海に入れば安全だ。

 ぼくたちはちょっと一休みしたあと、書物庫へ移動した。

 リッカにぃにぃが見つけた魔術書(マジティーショムチ)を、ぼくに読むように差し出した。

 それは、ぼくがまだ読んだことが無い、光の魔術の本だ。


「もうすぐ夏まつりだからな。ナナミといっしょにやりたいことがあるから、これを覚えてくれ」

「はーい」


 そうして覚えた光の魔術は、何かを清めたり回復したりする効果があるものが多かった。

 ゲームでよくあるキュアとかヒールとかの魔法(まほう)みたいな効果だ。


「オレもあと少し魔力が増えたら使えるようになる。そうしたらお手本を見せてやるよ」

「うん!」


 光の魔術、楽しみだなぁ。

 ぼくは、リッカにぃにぃが使えるようになる日を楽しみに待った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ