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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

美貌を失った悲劇の令嬢を捨てて殺されるクズ婚約者に転生した俺だけど、そんな彼女が理想のドスケベボディーの持ち主だったから絶対別れないぞ!

作者: 雨稀 河流

 しばらく小説をロクに書いていなかったのでリハビリ感覚で書いてみた作品です。

 深くは考えずに面白く読んで戴ければ幸いです(笑)


「ヨアヒム様、このようになった私を……変わらず愛してくれますか?」


 そう言って、俺の婚約者であるヒルダは顔に巻いた包帯をゆっくりと解き、その下に隠されていた素顔を晒した。


 その直後、俺の頭の中に今までの人生で経験した事のないはずの情報が洪水のように溢れ、今までの記憶と新しい情報が混ざり合って、俺はとある確信を抱いた。


 此処は前世で読んだダークファンタジーホラー小説『ヒルダ 凶相の魔女』の世界で、俺は彼女に呪い殺されるクズ婚約者のヨアヒムになっている、という事に。


 目の前にいる彼女は、ヒルデガルト・ルチウス伯爵令嬢、俺を含めた親しい者達からはヒルダの愛称で呼ばれている――この作品の悲劇のヒロインだ。


 そして、俺達が今いるのは異世界が舞台の小説でよく見る中世ヨーロッパチックなファンタジーな世界で、国の名前はマルクヘイム帝国。

 そして、俺が今いる場所は西部に広大な領土を持つルチウス伯爵領にある、伯爵邸のヒルダの寝室だ。


 ヒルダは幼い頃から帝国一の美少女と称賛され、多くの人々から女神だ、妖精だ、と愛されながらも驕る事無く、優しく清廉な人柄で国中から愛され、その名声は周辺国にまで伝わっていた。

 そんな神から多くの祝福を授けられたような彼女に、大きな悲劇がその身に降りかかったのは二月程前の事だった。


 ヒルダが近隣の町にある孤児院へ慰問をしていた時、貴族を目の敵にしている無法者が侵入し、護衛騎士達がヒルダに近付く孤児の相手をしている隙を突いて、彼女の顔に毒薬を浴びせ掛けたのだ。


 無法者はすぐに取り押さえられ、ヒルダはすぐに応急処置を施された。

 優秀な治癒師の力をもってしても回復するまで予断は許されず、そんな過酷な状況を一ヶ月近くヒルダは懸命に耐え続け、幸い一命は取り留めた。

 しかし、ヒルダの美貌は毒薬の影響で修復不可能なまでに破壊されてしまった。


 多くの人達から褒め称えられていたヒルダの顔は、女神どころかアンデッドのようだと嫌悪される程に変わり果て、周囲の人々は彼女を視界に入れる事すら厭うようになった。


 領民どころか長く共に過ごした使用人達から、果ては家族までヒルダと距離を置くようになり、孤独と簡単に手の平を返す人々の軽薄さにヒルダは心から絶望した。


 そんな連中の中でも特に酷かったのが、ヒルダの婚約者である、ヨアヒム・ヘッセ侯爵令息――つまり、俺だ。


 もう誰にも会いたくないと寝室に閉じ籠るようになったヒルダが、最後の希望として縋りついた相手である。


 ヒルダにとってヨアヒムは、幼い頃から互いを想い合う恋仲であり、いつも自分に優しく微笑んでくれる理想の貴公子だった。

 だから、ヒルダはヨアヒムに救いを求めたのだ。


 しかし、ヒルダの想いに反して、無情にもヨアヒムはヒルダを化け物だと罵り、しかも醜い女は自分に相応しくないと婚約破棄を一方的に突きつけた挙句に妹の方に乗り換える事を宣言した。


 ヨアヒムにとって大事だったのは、裕福な伯爵家の資産とヒルダの美貌と名声だった。

 美貌も名声も失ったヒルダには何の価値もなく、それなら元々のヒルダの美貌ほどではないが美少女である妹に乗り換えた方が断然マシだと切り捨てたのだ。


 そもそも、ヨアヒムが見舞いに来たのも入院中の一度きりで、本来ならもっと見舞いに来るべき婚約者という立場なのに、何かと忙しいからと理由を付けてヒルダを避けていたのだ。


 今回ヒルダの寝室に来たのも、ヒルダ本人の強い懇願をヒルダの父親であるルチウス伯爵経由で正式に申し込まれ、断り切れなくて来たのが理由である。


 最初の見舞いに来た日に、ヒルダが顔に毒を掛けられたと事情を聞いた時点で、ヒルダはもう傷物で自分に相応しくない、とヨアヒムは内心で見切りを付けていた。


 婚約者の最低な本性を知り、一縷の希望が消え去って、絶望と憎悪に心が染まったヒルダは魔女へと覚醒し、憎悪によって増強された魔力でヨアヒムを呪い殺し、それから両親と妹、使用人に領民、遂には帝国中の人間を無差別に呪っていき、次々と血祭りに上げていった。


 そして、小説のラストは唯一ヒルダを見捨てず、心配し続けていた孤児院の院長や子供達を前にした時、顔だけでなく心まで醜くなった自分自身を許せなくなったヒルダは、自分の手で己の心臓を抉り、悲惨な最期を迎えるという何処までも救いのないストーリーだ。


 残念な事に、そんな悲劇の契機となったクズ婚約者に俺は転生していた。

 普通の大学生だった俺は、バイトの帰りに歩道橋の階段を降りる途中で、背後から走って来た相手にぶつかり、そのまま足を滑らせて頭から転落した。


 頭頂部に強い衝撃と経験した事のない痛みを覚えて、そのまま意識が遠退いていって消失し、気が付くと俺は前世の記憶が蘇ると同時に、自分がヨアヒムになっていた事を悟ったという訳だ。


 記憶の中にある作中の世界観と身の回りの状況が色々一致しまくっているので、先ず間違いないだろう。


 そんな俺が現在迎えている場面は、美貌が失われる前は甘い言葉を吐いて、外面良く振る舞っていたヨアヒムの事を信じてきっていたヒルダが、こんな顔になっても私を愛してくれるかと尋ねながら、包帯で隠していた素顔を晒すシーンだ。


 ヒルダが魔女へと覚醒する契機となった、作中でかなり重要なシーンを迎えたタイミングでヨアヒムになっていた俺は、全てを思い出したのである。


 ちなみに原作では、ヒルダの変わり果てた素顔を見てビビったヨアヒムはクズな本性を表し、ヒルダを口汚く罵りながら部屋を去っていくという胸糞悪い展開になっている。


 前世の記憶が蘇った俺の目から見ると、悲劇のヒロインであるヒルダの現在の顔は、確かにかなりグロテスクで怖いとは思う。


 毒薬によって顔の皮膚の大半が焼け爛れてしまい、形の良かった眉も長い睫毛も当然無くなり、皮膚の真下にある赤い肉が所々露出し、歪に腫れ上がったりしている上に失明した右目は灰色に濁っている。


 更に毒薬が多く掛かった鼻と唇は腐敗して崩れ落ちたらしく、今では失われて鼻孔と歯茎が剥き出しになっているせいで、ガチでホラーの領域である。


 酷い例えだが、ゾンビを銃で退治するゲームにゾンビやクリーチャーとして登場しても違和感ないレベルだ。


 人としてどうかと思うけれども、原作のヨアヒムがヒルダの顔にビビッてしまった気持ちは分からなくもない。

 しかし、そんなヒルダの顔を目の当たりにしても、俺は大して気にならなかった。


 何故かと言うと、確かにヒルダの顔はゾンビのようにグロくて怖かったが、他の所が気になって一瞬顔の事も今後の展開の事すらも忘れていた。


 そうなってしまうくらい目を惹いたのは、ヒルダのめちゃくちゃスタイルの良い身体だった!


 バストはメロンを連想させる程に大きく形の綺麗な素晴らしさ!

 ウエストは見事なくびれがバストとヒップを引き立てる、最高にバランスの良い細さ!

 そして、ヒップはスカート越しからでも触りたくなる曲線美と程良い大きさが堪らない!


 そう、まさに理想的なボンッキュッボンなのだ!

 何だよこれ!?

 ヒルダ! お前の身体、最高のドスケベボディーじゃないか!!


 俺は女性の好みに関しては顔よりもスリーサイズ、スタイル重視だったので、前世の頃は身体付きが最高にエロいけど顔が微妙なグラドルやブサイク女芸人をよく好きになり、男友達からはマニアックだと笑われ、女性からは身体目当ての最低野郎とゴキブリのように敬遠されていた。


 だが、俺の信念は一切揺らがなかった。


 顔よりおっぱいやお尻を重要視して何が悪い!?

 顔が良くても腹や尻が弛んでいたり、骨と皮だけみたいにガリガリだったりしたら嫌だろ!?

 俺はロリコンでもデブ専でもないから凹凸のない身体やボリュームのあり過ぎる身体にも興奮出来ないんだよ!!


 あと、一応性格とか内面も重要視してるよ、マジで……。


 しかも、顔の皮膚はダメになってしまっているものの、顔から下は無事なので、白磁のように滑らかな肌をした首筋や指先は綺麗だし、幸い無事だった左目の澄んだ青い瞳も金糸のような淡い金色の長い髪も整然と並んだ白い歯も、かつて彼女が女神だと謳われた頃の名残は微かにある。


 これだけ残っていれば、元は本当に美人だったんだろうな、と少なくとも俺は思える。


「……やはり、貴方もですか? 今の私はもう、認められないのですか?」

「へ?」


 俺が色々考え込んで黙っていた事を、拒絶の態度だと勘違いしたヒルダが涙を溢しながら、そう問い掛けてきた。


「皆が褒めてくれた綺麗な顔を失った私に……もう価値などないと思っているのですね? ヨアヒム様、貴方も皆と同じように……」


 いかん! ヒルダが悪い方に勘違いしてる!!

 このままじゃ闇堕ちして、呪い殺されてしまう!!


 何よりも、顔よりもスタイルが大事という俺の信念を勘違いされてしまう!!


「入院していた時に、お見舞いに来て下さったのも一度きりと聞きました……意識が戻って、退院してから今日までずっと私の元へお訪ねにならなかったのも……もう、私のような醜い怪物のような女に会いたくないから……」

「そんな事はない! ヒルダよりも最高な(スタイルをした)女性は他にいない!」

「…………え?」


 追い詰められてドス黒いオーラが出そうな雰囲気だったヒルダの口から、毒気の抜けたような声が上がった。


「顔が変わったから何だって言うんだ!? そんなものなんかよりも素晴らしい物(おっぱいとかお尻とか!)を君はたくさん持っているじゃないか! こんな事で俺は君の事を嫌いになるなんてあり得ない!! 俺は君の(ドスケベボディーの)全てを愛してる!!」


 転生した事実やら命の危機が迫っていた事も相まって、軽くパニック状態だった俺はアドレナリン過多な興奮気味の状態でヒルダに対する自分の思いをぶち撒けた。


 一拍置いて、俺は幾ら何でもハッチャケ過ぎたかも、と少しばかし冷静になった。

 

「あ、ええっと……急に大声を出して、ごめん……ヒルダ、俺はさ……」


 改めて、俺がヒルダの事を嫌悪していない事を伝えようとした時、ヒルダが泣いている事に気が付いた。


「ううっ、うう……うああああ……」


 泣いているヒルダの顔は、やはりお世辞にも綺麗とは言えなかった。


 鼻がないせいで鼻水は鼻孔からドロドロと流れているし、唇もないので涎も垂れ流しだった。

 涙と共に溢れる他の汁でベトベトに汚れた顔は、お化け屋敷やホラー映画でも中々お目に掛かれないくらいにグロ怖い。


 でも、そんな恥も外聞もなく泣いているヒルダの姿を見ていると、顔に対する恐怖感と一緒に、本当に辛かったんだろうな、という同情心が出てきた。


 だが、それらよりも大きく俺の心を占めたのは、流れた様々な液体がヒルダの見事な胸の谷間を伝っていく様子や、彼女が着ている純白のネグリジェが濡れて、ちょっと透けてきている所だった。


 エッロいな!!


 それが、その時の俺の正直な心の言葉だった。


「ヨアヒム様っ!! あああっ、ヨアヒム様ぁ……うううっ……」


 そんな俺の煩悩に塗れた心の内を知らないであろうヒルダは、まるで親に泣きつく子供のように勢いよく俺に抱き着いてきた。


 正面から飛び付いてきたヒルダの細い身体を、俺はしっかりと受け止めた。


 失われていなかったヒルダの髪や肌から香る良い匂いと、俺の身体にしっかりと当たっている柔らかなメロンサイズのバストの感触を、ヒルダが泣き止むまで静かに堪能した。


   ※


「ああー、疲れたぁ……」


 俺が前世の記憶を取り戻してから、あっという間に半年が経った。


 本来の原作通りならば、とっくの昔に闇墜ちしたヒルダに殺されているはずの俺だったが、今もこうして生きている。


 どうして、死んでないかと言うと……。


「ヨアヒム様、お疲れ様です。はい、どうぞ」


 疲労回復効果のあるハーブティーの匂いが漂う白磁のティーポットとカップを乗せた盆を持って、ヒルダは穏やかな声音で俺に労いの言葉を掛けてきた。


 爛れた頬が微かに上がったのを見て、ヒルダが笑いかけてくれた事に気付いた俺は、ありがとう、と一言礼を言ってから彼女がカップに注いでくれたハーブティーをゆっくりと飲んだ。


 最近、ヒルダはよく疲労回復とリラックス効果のあるお茶を俺の為に淹れてくれる。

 ハーブティーなんて前世では全然飲んだ事なかったが、ヨアヒムになってからは結構好んで飲むようになっていた。


 ヒルダが淹れてくれるハーブティーは疲れが和らいで心も落ち着くから好きだが、俺はそれ以上に欲しい物があった。


「ヒルダ~、疲れたから癒してくれ~」

「ええ?」


 俺が甘えるような声でそう言うと、その意味を察したヒルダは身体を少し強張らせ、首筋を微かに紅潮させてモジモジとし始めた。


 ああ、恥ずかしがってる仕草が可愛い。


 お互いそれ以上は何も言わずに、黙ったまま相手の出方を伺っていたが、いつも先に折れてくれるのはヒルダで、今回もそうだった。


「…………もうっ……ヨアヒム様、どうぞ……」


 緊張しつつも諦めの混じった様子で、ヒルダは椅子に凭れていた俺の顔に自分の胸を近付けてきた。


「ヒルダさんきゅっ! 最高っ!!」


 心からの礼を言った俺は、遠慮なくヒルダのたわわに実ったメロンバストに顔を埋めた。

 俺のスケベ心全開の行動にヒルダは、きゃあ、と可愛い声で驚いていた。


「ヨアヒム様ったら、もう……」


 今はヒルダのバストで視界がいっぱいだが、声の様子からして多分、俺の事を怒ったような呆れ顔で軽く睨んでいるんだろうな。

 しかし、怒っているとは言っても、ヒルダは俺の事を罵倒したり叩いたりは決してしない。


 まあ、ヒルダの綺麗な声で罵られたら、それはそれで興奮しそうな気がするけど……。


 有り難い事にヒルダはこの通り、俺に対してかなり甘々なのだ。

 原作と違って、お互いに相手が好き合っている良好な関係を築いている。


 半年前、前世の記憶が戻った俺はヒルダとの関係を修復した事により、彼女が魔女に覚醒してしまう悲劇を回避したと同時に、お互い相手の事を一層想い合うようになった。


 なので、今もヒルダの婚約者である俺は、今後の将来の為の勉強として、ヒルダの父親の仕事である領地経営や事業の書類仕事等を手伝うようになっていた。


 しかし、俺は本当に原作のヨアヒムは馬鹿な奴だったと思う。

 この至福のメロンサイズバストの持ち主であるヒルダを捨てるなんて、マジで何考えてたんだろうか?


 しかも、バストだけじゃない。


 思わず抱き付きたくなるウエストのくびれも魅力的で、今日までに何度もヒルダを抱き締めた。


 二ヶ月くらい前にいつかヒルダと海に行く時の為に用意した、と言って、俺の実家がある侯爵領にいる服飾系の職人に頼んで秘密に作って貰った、前世の記憶フル活用の特注マイクロビキニを試着して貰った時に見たヒップも最高だった。


 最初は恥ずかしがって、絶対に着ないって言ってたけど、俺が土下座して必死に頼んだら、恥ずかしがりながらも試着してくれる姿は、本当に可愛かった。


 しかも、あの最高のドスケベボディーでマイクロビキニを着てくれたから、ただの可愛いじゃなくエロ可愛いだ。


 それに賢くて優しいから、俺が悩んでいると為になるアドバイスをくれたり、伯爵領の業務関係の事で分からない事は丁寧かつ親切に教えてくれるし、今のように疲れた俺の我儘を叶えて、癒してくれる。


 本当にスタイルも性格も良過ぎて、グロい顔の事なんて全然気にならん。


 最初の頃は、急に俺が手の平を返すのではないかと不安そうだったヒルダも、今では俺の前で素顔のままで普通に接してくれるようになった。


 疎遠になりつつあったヒルダの家族達との仲も少しずつ修復されてきて、まだ俺の付き添いが必要だが、屋敷と孤児院の往復のみではあるものの外出も出来るようになった。


 前世からの原作知識で、孤児院の院長や職員、子供達はヒルダの事を純粋に心配していた事は知っていたので、安心してヒルダを連れて行く事が出来た。


 ヒルダの家族に関しては、可哀想なヒルダの事を冷たくあしらう薄情な毒家族のように原作では書かれていたが、実際に色々話をしてみるとヒルダの事を案じていない訳ではない事が分かった。


 両親にとっては自慢の娘であり、妹にとっては憧れの姉であるヒルダの身に起こった不幸と変化を受け入れられず、そのせいで距離を取ってしまっていたようだった。


 今では、一番辛い思いをしているヒルダを孤独にして、余計に苦しめていた事を家族全員が深く反省しているようだった。


 そういえば、原作のヨアヒムは妹に鞍替えすると言っていたな。

 仮にヒルダが魔女にならず、そのまま婚約者の交換を申し込んだとしても、恐らく家族全員の怒りを買って破談になっていただろう。


 それにしても……今思えば、俺がヒルダにした告白の内容はかなり酷かった気がする。


 ハッキリとは覚えていないが、ヒルダを闇墜ちさせたくない一心で勢い任せだった上に、自分の性癖を暴露してしまっていたような気もする。


「ヨアヒム様? どうかなさいましたか?」


 黙り込んで色々と考え始めた俺の事を心配したのか、ヒルダが俺の両頬を優しく手で包みながら、覗き込むように顔を近付けてきた。


 うん、やっぱり何度見てもヒルダの顔はグロくて、正直おっかないと今でも思う。

 俺のヒルダへの好意は基本的に、彼女の理想的なドスケベボディーに向けられているという自覚もある。


「ヒルダ」


 だけど……。


「愛してるよ」


 最近、ヒルダの魅力はドスケベボディーだけじゃない、とハッキリ思えるようになった。


「え?」


 何の前触れもない俺の言葉に、ヒルダは驚いていた。

 顔中の皮膚が毒のせいで失われ、残った皮膚は引き攣るようになっているヒルダの表情の変化は乏しい。

 それでも、声とか雰囲気とかでヒルダの感情が、今の俺には分かる。


「俺の婚約者がヒルダで良かった……ヒルダを幸せに出来るよう頑張るから、これからもずっと一緒にいような」


 自分から言っておきながら、格好付けた感じの言葉に我ながら照れくさい気持ちになる。

 でも、これが俺の嘘偽りのない本音だ。


「……はい、私もヨアヒム様をお慕い致します」


 ポロポロと涙を溢し、強張り剥き出し気味になっている口元の筋肉を僅かに吊り上げながら、ヒルダは答えてくれた。


 涙を流して喜んでくれたので、嬉しいような余計に照れ臭いような気持ちになり、俺はもう一度ヒルダの豊かなバストに顔を埋めた。


 ああ、やっぱり俺のヒルダのおっぱい最高過ぎる。

 書いていた当初、ここまでブレない性癖を持ったヨアヒムはすげーなと思っていました(笑)

 ヒルダとヨアヒムの幸せを願いつつ、ここまで楽しく読んで下さったのでしたら嬉しい限りです。

 ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
とても楽しく読ませてもらいました。 本能にここまで忠実な主人公すごい(笑) ぜひ続編が読みたいです! ヒルダの恥ずかしがりながらも幸せそうにしてるとこもっと見たいです。
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